『人生万歳!』(原題:Whatever Works)
監督:ウディ・アレン
出演:ラリー・デヴィッド,エヴァン・レイチェル・ウッド,パトリシア・クラークソン他
NYを愛してやまないウディ・アレンが、
ロンドンで3本(これとかこれとか)、バルセロナで1本(これ)撮ったあと、
久々にNYで撮った1本。
昨年暮れに公開された2009年の作品で、このGWにレンタル開始。
かつてはノーベル賞候補にもなったことのある、自称天才物理学者ボリス。
気難しく厭世家の彼は、離婚を決めた折りに窓から飛び降りるも、
障害物に自殺を阻まれ、脚を負傷するにとどまった。
いまはその脚を引きずりながら、ひとりで暮らしている。
毒舌ぶりには磨きがかかり、ときには昔なじみの友人も引くほど。
チェス指南の子ども相手であろうとクソミソにけなす。
ある夜、アパートの階段に座り込んでいた若い女が、ボリスにすがりつく。
メロディと名乗るその女は、南部から出てきた田舎娘。
厳格な母のもとを飛び出してきたという彼女は、
仕事と部屋を見つけるまでの間、泊めてほしいと言う。
ほんの少し同情したボリスは彼女を追い返せず、同居することに。
ところが数日後、親子以上に年の離れたボリスのことを
メロディは好きになってしまったと言い出して……。
絶対に嫌いになれない監督なのですが、
ヒロイン役のボケの間(ま)がしっくり来ないのか、最初はテンポが微妙。
しかし、話が半分以上経過した辺りから、
原題の“Whatever Works”のとおり、「何でもあり」になってワヤクチャ、絶妙に。
以下、思いっきりネタバレです。
NYへやって来たメロディの母親マリエッタは、性に目覚めて奔放に。
ボリスの男友だち2人と、3人で暮らすようになります。
と書くとエロいですけれど、ちっともエロくありません(笑)。
メロディの父親ハワードは、マリエッタの親友との浮気が原因で離婚しましたが、
マリエッタと復縁するつもりで、これもNYへ。
ところが、変貌したマリエッタにあっさりフラれ、
ふらりと入ったバーで、自分が実はゲイであることに気づきます。
ボリスとメロディの「知性格差結婚」はやがて駄目になり、
若い二枚目俳優と恋に落ちたメロディはボリスにサヨナラ。
再び自殺を図ったボリスは、今度は女性占い師の上に落っこちて。
もう無茶苦茶な可笑しさ。
人生はほぼ偶然の要素で成り立ち、
その偶然の中で、本当の相手を人は探し求めていると言う監督。
本作で偶然がもたらす結末は最高にハッピー。
人生、なるようになる。心配は無用。
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