『ノン子36歳(家事手伝い)』
監督:熊切和嘉
出演:坂井真紀,星野源,津田寛治,佐藤仁美,新田恵利,鶴見辰吾他
『空の穴』(2001)の監督の作品です。
『鬼畜大宴会』(1997)や『揮発性の女』(2004)など、
その内容はグロかったり、エロかったり、ユルかったりと多岐に渡っていますが、
タイトルにはいつも引きつけられます。上手いですね。
ノブ子、通称ノン子、36歳。
東京で芸能界入りしたものの、鳴かず飛ばず。
当時のマネージャーと結婚するが、すぐ離婚。
バツイチ、無職となって、郷里へ戻ってくる。
実家は神社。神主の父親は、出戻りの娘に渋い顔。
母親は無邪気な笑顔をノン子に向ける。
なんとなく家には居たたまれず、
昔からの友人、富士子が経営するスナックへ行っては
金をせびるような自堕落的生活。
ある日、神社の祭りの日にヒヨコを売りたいという若者が
突然やってくる。彼の名前はマサル。
テキ屋を仕切る時生のところに連れて行くが、
「もう空きがないから」と時生はつれない。
マサルの落胆ぶりに同情したノン子は、
祭りの当日になれば、時生が融通を利かせてくれるはずだと、
しばらくマサルを実家に泊めることにする。
父親は激怒するが、母親は温かくもてなす。
そんな折り、別れた夫が訪ねてきて、
もう一度、東京で一旗揚げようと言いだし、復縁を迫る。
『空の穴』同様、ゆるゆると物語は進んで行きますが、
『空の穴』の妙子の不思議ちゃんぶり以上に共感しがたい、
ノン子のふてくされっぷり。
芸能界にいたプライドなのか何なのか、態度だけはでかく、
富士子に嘲笑われているのもわかりません。
あ、富士子役はおニャン子世代なら感涙ものの新田恵利です。
ふてくされっぷり以上に凄いのは、坂井真紀の脱ぎっぷり。
別れた夫役の鶴見辰吾、マサル役の星野源と、それぞれ濡れ場を大熱演。
最初、なんで本作がR-15なの?と思っていましたが、
見たあとにはR-15でいいのか?とすら思いました。
この映画で脱がなくても~と思わんこともないのですが、
本作から坂井真紀のそのシーンを除いたら、何もなくなるような感も否めず。
本作だったからこそ、ハダカに痛々しさと切なさが感じられて
よかったということもできます。
ノン子がマサルといるときに見せた本当の笑顔を
こっそり見つめる父親の表情は秀逸。
また、ラストのひよこを追いかけるシーンは、
荒んだ気持ちの中に少し見えた希望みたいで効いていました。
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