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続・ちょっと涼しい話でも。

20年近い博物館勤務の間、
背筋がゾーッとするような思いをしたことは
残念ながら(?)ありません。

博物館には、展示資料以外に、
20万点以上の標本資料が保管されています。
搬入された標本資料を開梱、破損状態などをチェック、
燻蒸してから収蔵庫へ。
標本資料には、収蔵庫内で通し番号を付けてゆきます。

だだっ広い収蔵庫でひとりで作業するときは、確かにちょっとビビります。
だけど、私には霊感が皆無で、何にも見えないし、何も感じません。
ま、こういうのって、霊感のない人のほうがビビるようなので、
絶対にひとりでは収蔵庫に入りたくないと言う人もいるのですが、
私はたぶん、収蔵庫で昼寝できますね。
何か出てくるなら、前々述の『ナイトミュージアム』のように
標本資料とお友だちになりたいぐらいです。

霊感のある人と収蔵庫に一緒に入ったときに、
棚が端からダダーッと、さざ波のように揺れて行くのを見た人がいます。
収蔵庫の扉の取っ手が、まるで誰かが開けようとしているかのように
ガチャガチャ回ったと言って、恐怖のあまり、
収蔵庫から飛んで帰って来た人もいます。
標本資料である揺りかご付近で、赤ちゃんの泣き声を聞いた人も。
鎧武者の前で写真を撮ると、心霊写真ができあがるそうです。

これらは私が聞いた話ばかり。
私が実際に関わった話としては、私の霊出現疑惑があります(笑)。

収蔵庫は土足厳禁で、入室するさいは上靴に履きかえます。
私は歩き方に問題があるのか、それとも上靴のせいなのか、
その靴で歩くと、やたらペタペタ音がして、
抜き足差し足忍び足で歩いても、
私が収蔵庫内にいることがいつもバレバレでした。

私が休暇を取った翌日のこと。
「昨日、○○さん(=私)はお休みだったのに、
○○さんの足音が聞こえたんです」と後輩。
「どこで?」と尋ねたら、ある収蔵庫でとのこと。

そう言えば、休む前日、
ボロボロになった上靴を、もうそろそろ替え時だろうと
私はその収蔵庫内のゴミ箱に捨てました。
もしかして、私の上靴だけが歩き回っていた?
あんなペタペタと音を立てて、と思ったら笑えました。
え、笑えませんか。

今まで、何よりも怖い思いをしたのは、
収蔵庫にてひとりで作業中に、
ふと振り向いたら、そこに上司が立っていたことです。
私とちがって、足音を立てない人で有名なんですけど。
お願い、いきなり背後に来るのはやめて~。
心臓が止まるかと思ったがな。
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