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伯母のこと(その3)

伯母が亡くなってから、明日でちょうど1週間になります。
思い出話をあと少しだけ。

伯母をはじめとして、母方の一族はかなり天然ボケが入っていると思います。
一族をひと括りにしてはいけませんが、私も含めてということで。

いつだったか、伯母が「新しい扇風機がほしい」と言い出しました。
電器店に並ぶ扇風機を見ながら、
「どんな機能が付いてるのがいい?」と聞いたら、
伯母はひと言、「インターネット」。
インターネット付の扇風機はないで、伯母ちゃん。
結局、リモコンのまちがいだったんですけど。

ある日、職場に寄ってくれた伯母に、
カレイの干物をおすそ分けしました。
帰宅すると、留守電に伯母のメッセージが。
「干物をありがとう。一緒に入ってたん、
なんや白いキレイな食べ物やけど、これは何かな」。
慌てて伯母に電話しました。
「伯母ちゃん、それ、保冷剤やで。食べたらあかん!」。

間一髪のところでした。私の帰宅後の返事を待ちきれず、
保冷剤の袋を開けて、ガラスの容器に移した伯母は、
お隣の人にそれを見せて聞いたそうです。
「これ、姪がくれたんやけど、なんやわかれへんねん。
どないして食べたらええんやろ」と。
お隣の人曰く、「さぁ、わさび醤油でもつけたら美味しいんとちゃう?」。
保冷剤と気づかず、食べようとする伯母も伯母ですが、
お隣の人もお隣の人です。

黒豆を炊いた母が、伯母にも食べてほしいと言いました。
出勤途中、タッパーに入れた黒豆を伯母に届けると、
伯母は「これ、美味しい飴やから食べて」と、
私に小さな缶を持たせてくれました。

職場に着いてから缶を開けてみたら、
そこには飴ではなく、アリナミンAが。
可笑しくて、伯母に電話しました。
「伯母ちゃん、これ、飴とちゃうで。アリナミンAやで」と言ったら、
伯母も笑いながら、「そやったん。ごめんね。それでね、
あんたのお母さんがくれた黒豆やねんけど、
これ、どう見ても、黒豆やないねん。椎茸に見える」。
母よ、椎茸を渡してどうする。
姉妹ともにボケボケです。

葬儀の日、昼食のお造りに目が点になりました。
なんと大胆な盛りつけ。ひとり分ずつ、保冷剤の上に、
じかに刺身が盛られているではないですか。
伯母が保冷剤を食べかけた話を知っているのではないかと思いました。

保冷剤は空の上でも食べたらあかんで、伯母ちゃん。
わさび醤油つけても、美味しないからね。
忘れへんよ、伯母ちゃんのこと。
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