『悲しき天使』
監督:大森一樹
出演:高岡早紀,山本未來,河合美智子,筒井道隆,
松岡俊介,松重豊,峰岸徹,岸部一徳他
なぜか今年は邦画を観る率が高くなっています。
多摩川河川敷で男性の死体が発見される。
射殺されたその中年男は、松下泰造。
刑事の河野薫とその上司である沖島啓介は、
現場近くに住む泰造の息子、和夫のアパートを訪れる。
すると、暗い部屋にうずくまっていた和夫が、
泰造を殺したのは自分の姉、那美だと言う。
身柄を拘束された和夫によれば、
那美と和夫は幼い頃から泰造に酷い扱いを受け、早々と家を飛び出した。
泰造から離れて平穏な生活を手に入れた姉弟だったが、
和夫が仕事で成功し、それが雑誌に取り上げられると、
息子の居所を知った泰造が金の無心にやって来たのだった。
断られると泰造は逆上。
和夫に殴りかかる泰造に那美が発砲。
那美は姿を隠すから心配しないでと言い残し、和夫の前を立ち去る。
那美の行き先に心当たりはないかと問われ、
和夫が思いついたのは、かつて那美の恋人だった、関川慎二のことだった。
結婚まで考えていたふたりの仲は泰造に引き裂かれ、
サッカー選手を目指していた慎二の夢も潰された。
その後、連絡を取り合っていたのかどうかはわからないが、
那美が必ず慎二を訪れると考えた薫と啓介は、
今は別府で温泉旅館の娘婿となっている慎二のもとへ向かい、
近くの宿で張り込みを開始するのだが……。
映画というよりは、なんたらサスペンス劇場を見ているかのようですが、
最後まで飽きずに楽しむことができます。
岸部一徳がいると、なんとなくドラマ全体の格が上がるような気が。
興味深かったのは、その岸部一徳演じる、沖島啓介刑事の台詞。
見るからに実直そうな旅館の主人、慎二(筒井道隆)が
那美(山本未來)と密かに連絡を取っていると知り、
さらには警察の目をごまかして、
旅館の一室に匿おうとしていることを知ったとき、
唖然とする河野薫刑事(高岡早紀)に、こう言います。
「よっぽど自信があるんだな。妻に話す自信か、隠し通す自信が」。
さて、どちらの自信だったと思います?
副題は「その後の恋する女たち」。
同監督が10代の女性3人の生き様を描いた『恋する女たち』から20年、
30代の女性3人を描いたものとなっています。
女刑事と、殺人犯と、殺人犯の元恋人の妻。
どの恋に共感が持てますか。
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