『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(原題:A History of Violence)
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ヴィゴ・モーテンセン,マリア・ベロ,エド・ハリス,
ウィリアム・ハート,アシュトン・ホームズ他
タイトルの「ヒストリー・オブ・バイオレンス」とは
「犯罪の前歴」、つまり前科のことです。
目の前にいる穏和な夫が、実は凄腕の殺し屋だったと知ったら?
“ロード・オブ・ザ・リング”シリーズのアラゴルン役、
ヴィゴ・モーテンセンが、そんな夫を演じています。
インディアナ州の田舎町、ミルブルック。
トムは小さな食堂の経営者。
店はそこそこ繁盛し、妻のエディ、高校生の息子ジャック、まだ幼い娘のサラに囲まれ、
愛情に溢れた幸せな日々を送っている。
ある晩、店に見慣れない男が2人やってくる。
閉店後だというのにコーヒーを注文すると、
ウェイトレスをいきなり捕まえ、銃を向ける。
すると、トムはカウンターをすばやくまたいで
男たちの銃を取り上げ、逆に撃ち殺す。
もちろん正当防衛とみなされ、またたく間に町のヒーローとなったトム。
マスコミに追いかけまわされるようになるが、寡黙なヒーローは大人気。
店にはひっきりなしに客が訪れる。
数日後、全国的に有名になったトムのもとへ
片目の潰れたマフィア、フォガティとその部下が
フィラデルフィアから乗り込んでくる。
トムはフォガティと面識がないはずだが、
フォガティはトムのことをジョーイと呼び続ける。
トムの本名はジョーイで、マフィアのリッチーの兄弟であり、
その昔、諍いからフォガティの目を潰したのだと。
ほかの仲間を殺して出て行ったジョーイのことを
リッチーやフォガティはずっと捜していたらしい。
トムはまったく何のことかわからないと言い切るが、
その日以来、フォガティらにつけ狙われて……。
ネタバレ御免。最初はどう見ても善人のトムなので、
とても気の毒な人違いだと思わされます。
ところが意外にあっけなく、フォガティの言うことが真実だとわかり、
トム自らそれを認めてからは状況は急展開。
学校でいじめられっぱなしだった息子のジャックは、
今まで彼の奥底に潜んでいたかのような暴力性を見せ、
相手に仕返しして停学を喰らいます。
トムに「暴力で解決しようとするな」と叱られ、
ジャックは「銃でならいいのか」と反論。
言葉に詰まるトムの表情は何とも言えず、辛い。
最後のシーンのあとに続く台詞は?
私なら「おかえり」って言いたいけれど、甘いかな。
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