近頃の私はトマトに取り憑かれています。
ひとり暮らしの伯母が入院したために、
入院前に注文していたトマト1箱を代わりに受け取って
病室まで運ぶことになったのですが、
生産農家の事情で入荷が遅れています。
伯母は病室でトマトを心待ちにしているようだし、
毎日トマトに思いをめぐらせていたら、
人の話す言葉を「トマト」と聞きまちがう始末。
数日前には「能楽教室」が「トマト教室」に聞こえました。
なんでやねん。
こんなときにたまたま借りた映画がトマトだらけ。
『最後の晩餐 平和主義者の連続殺人』(1995)は
ブレイク前のキャメロン・ディアスが出演する劇場未公開作品。
3年前にDVD化されていますが、先日レンタル店で見つけて。
一軒家で共同生活を営む自由主義者の大学院生5人。
毎週日曜日の晩、ゲスト1名を招いて議論するのが習慣。
ある日のゲストは愛国心に溢れる戦争礼讃者。
言い争いのあげく、ナイフを振りかざすゲストを
大学院生らはふとしたはずみで殺してしまいます。
事態に動揺しつつも、危険因子の抹殺だと自らを正当化。
庭にゲストを埋めることに。
以後、同性愛者に偏見を持つ牧師をはじめ、
過激な差別主義者を次々と招くと、
議論の途中でひそかに審判を下します。
白、赤、1本ずつ用意したワインのうち、
赤にはヒ素をあらかじめ入れておき、
抹殺が妥当と思われるゲストには赤を勧めて。
いつしか白のデザートワインを勧めることはなくなり、
ゲストは必ず庭に埋められる運命となります。
養分を吸って、庭でトマトが育つんですよ。
これでもか!っちゅうぐらい。オエッ。
生で食べるにも料理に使うにも限りがあり、
トマトを煮詰めてみてもやっぱりキリがない。
瓶に入ったトマトソースが棚にズラッと並ぶ様子は壮観。
トマトが嫌いになりそうな作品ですが、
最初は議論が目的で、料理もとても凝っていた晩餐が、
殺人が目的になるにつれて料理が手抜きになっちゃうのがおもしろい。
トマトといえば、巨大トマトが人に襲いかかる、
“キラートマト”シリーズは外せませんが、
トマトがおいしそうな映画なら『フライド・グリーン・トマト』(1991) を。
アメリカ南部のアラバマ州のカフェが舞台です。
このカフェの名物料理がタイトルそのまま。
スライスして衣をつけるトマトは青いトマト。
油で揚げたあつあつのトマトにわくわくします。
トマト、トマト。
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