今週末は超話題作『ダ・ヴィンチ・コード』の封切り。
舞台となるルーヴル美術館をちょっと覗いてみるには
2004年に公開されたドキュメンタリー映画、『パリ・ルーヴル美術館の秘密』(1990)。
それよりお薦めしたいのは赤瀬川原平さんの書籍、
『ルーヴル美術館の楽しみ方』です。
まずは著者の赤瀬川原平さんについて。
私が彼を知ったのは友人が教えてくれた1冊の本がきっかけでした。
もう何年も前、友人から「何気なく買ったらおもしろかったから」と聞き、
なんとなく購入したのが赤瀬川さんの著作『超芸術トマソン』。
タイトルの意味もわからないまま読み始めたら……、
電車内だったら怪しい人と思われそうなぐらい、
笑いのツボに入りました。
“超芸術トマソン”とは、赤瀬川さんによれば、
「不動産に付着していて美しく保存されている無用の長物」で、
その由来は1982年に巨人に在籍していたトマソン選手。
元メジャーリーガーの彼は、鳴り物入りで巨人へ。
ところがスイングすれどもボールはまったくバットに当たらない。
「扇風機」というありがたくないあだ名を付けられたほど
ビュンビュンとバットを振りまわし、三振の山を築きました。
赤瀬川さん曰く、「そこにはちゃんとしたボディがありながら、
世の中に役立つ機能がなく、それを巨人は丁寧に保存している。
皮肉ではなく、これは素晴らしいことです」。
そして、トマソン選手のような素晴らしい無用の長物を
赤瀬川さんは“超芸術トマソン”と名付けました。
無用の階段、無用の扉、無用の窓。
気をつけて町を歩けば、無用の長物のなんと多いことでしょう。
しかもそれらはきちんと主張しているのです。
本書で取り上げられている数々の無用の長物のなかで、
私がもっとも気に入っているのは2階以上のドア。
建物のいちばん端っこ、非常階段にでも続くと思われるドアです。
これを開けるとそこには何もないなんてどーゆーことよ。
「車で送ってもらって、ドアを開けたらあまりに路肩すぎて、
そのまま田んぼに落っこちた」という知人がいましたが、
本書に写真付きで掲載されているドアたちは、
開ければ着地とともに昇天のパターンでしょう。
路上観察学会の中心メンバーであり、
屋根に韮を生やした「にらハウス」に住む赤瀬川さんが
トマソンの視点から挑んだとも言えるルーヴル観覧記。
それが『ルーヴル美術館の楽しみ方』です。続く。
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