『映画秘宝』ではずいぶん前から紹介されていたにもかかわらず、
観客動員がまったく見込めないので、
日本では公開が危ぶまれてた『ホテル・ルワンダ』。
1994年にアフリカのルワンダで実際に起こった、
フツ族によるツチ族の大量虐殺事件を描いた作品です。
人口850万人足らずの小国ルワンダは、
1962年に独立するまではベルギーの統治下にありました。
ベルギー人は、多数派のフツ族よりも少数派のツチ族のほうを上とみなし、
さまざまな面でツチ族を優遇したそうです。
不満の募るフツ族は、独立すると同時に政権を握ります。
そして1994年、フツ族の大統領を乗せた飛行機が
何者かによって撃墜されたことをきっかけに、フツ族はツチ族の虐殺を開始。
人口の10分の1である約80万人が殺害されたのです。
『ホテル・ルワンダ』は、そんな虐殺の渦中、
ホテルの副支配人でフツ族のポールが、
駆け込んでくるツチ族の人びとを匿うという、
まさに『シンドラーのリスト』(1993)のオスカー・シンドラー、
はたまた『ビザと美徳』(1997)の杉原千畝。
日本で公開が見送られてきたのは、
主演のドン・チードルが知名度イマイチのせいです。
配給会社としては、主演にデンゼル・ワシントンか
ウェズリー・スナイプスあたりを起用したかったらしいのですが、
監督が「絶対、ドン・チードル」と譲らなかったために
公開しないことが決定的に。
ところが、公開を求める署名運動が起こりました。
それが実って先週末から東京で公開。
来月以降、関西でも公開されることに。
知名度が低いと言われたドン・チードルですが、
『オーシャンズ12』(2004)では重要なメンバーとして活躍。
『16歳の合衆国』(2002)や『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』(2004)でも
印象に残る脇役を務めています。
基本は優しくてちょっと情けない顔の似合う善人役。
カントリー音楽好きの黒人(一般的に黒人はカントリー嫌い)を演じた
『ブギーナイツ』(1997)が笑かしてくれます。
『ホテル・ルワンダ』の共演者には、
知名度のあるわりに客を呼べないと言われているニック・ノルティ。
おなじみのジャン・レノやホアキン・フェニックスなど。
公開しないと決めたおかげで一気に話題作になった『ホテル・ルワンダ』。
めっちゃ楽しみです。
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