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『阿修羅のごとく』

『阿修羅のごとく』
監督:森田芳光
出演:大竹しのぶ,黒木瞳,深津絵里,深田恭子,小林薫,
   仲代達矢,八千草薫,板東三津五郎,中村獅童他

このあいだのレディースデイ。
そんなに混むこともないやろとタカをくくっていたら、
げげっ、『阿修羅のごとく』だけ満席。
そのまま帰るのも悔しいので、2回目の上映に席を確保。
まずは『キル・ビル』を観るにいたりました。
『マトリックス・レボリューションズ』ですら満員じゃないのに、
恐るべし、向田邦子。

そんなわけで、いまさら説明はいりませんね。
向田邦子が飛行機事故で亡くなってから20年と少し。
いまだ人気を博しつづける作品の映画化です。

舞台は昭和54年の冬。
三女・滝子の呼びかけで集まった4人姉妹。
滝子によれば、70歳になろうかという父に、どうも愛人とその子どもがいるらしい。
動転する姉妹は、母の耳にだけはなんとか入れまいとする。

このできごとをきっかけに描かれる4人それぞれの毎日。
長女・綱子は未亡人。
華道の師匠であり、出入りの料理旅館の旦那と不倫関係にある。

次女・巻子は夫と2人の子どもをもつ主婦。
夫の浮気を疑っているが、誰にも相談できずにいる。

三女・滝子は図書館の職員。ド真面目で潔癖症。
父の浮気調査を依頼した興信所員が気になっている。

四女・咲子はパッとしないボクサーと同棲中。
彼が新人戦で勝てば結婚しようと思っている。
同棲をいやらしいと思う滝子からは目の敵にされており、
咲子のほうも滝子とはなんとなくソリが合わない。

こんな姉妹の悩みをよそに、
母は父の愛人騒ぎなどまったく知らない様子。
毎日穏やかな顔で過ごしている。

映画館のなかは年齢に多少の開きはあるものの、なんと100%おばちゃん。
性格も生き方もちがう4人姉妹が、それぞれに悩みを持っていて、
おばちゃんたちはどこか自分を重ね、この作品を観て笑い、泣く。
おばちゃんのハートをわしづかみの作品と言わざるを得ません。
観終わったあとの、みんなの満足げな表情。
こうしておばちゃんがおばちゃんに伝え、
そして今日も『阿修羅のごとく』は満員御礼。

興信所の調査員役、中村獅童はおばちゃんにウケまくり。
『ピンポン』(2002)とはうってかわり、
どもり症の純朴な青年がハマったようです。
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