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2作目の憂鬱

前述の『八月のクリスマス』は、ホ・ジノ監督のデビュー作でした。
デビュー作が巷で絶賛されると、2作目にかかる重圧は相当なものと思われます。
「ライバルは自分」になってしまうわけで。

ホ・ジノ監督の2作目は『春の日は過ぎゆく』(2001)。
録音技師のサンウはラジオ局のDJでバツイチのウンスと出会う。
一緒に番組を作るうちに親しくなり、つきあうふたり。
しかし一筋縄ではいかなくて……。

私はこの作品はダメでした。
ウンスの言動はヒステリーとしか思えない。
天真爛漫とわがままは紙一重だと思いますが、
私にはウンスの態度は身勝手以外のなにものでもなく、まったく共感できず。
ウンスを追い続けるサンウの態度もまるでストーカー。
賛否両論でしょうが、私は『八月のクリスマス』の重圧とみました。

『CUBE』(1997)で有名になった、カナダのヴィンチェンゾ・ナタリ監督。
突然立方体のなかに閉じこめられた6名。
立方体からの脱出を試みるが、進んでも進んでも同じ立方体の部屋が現れる。
しかも、どの部屋にも罠が仕掛けられており、安易に踏み込むと殺されてしまうのだ。
これをクリアできるのは誰か?
低予算で作られた、非常におもしろい作品だと絶賛されました。

この作品のおかげで使えるお金は増えたナタリ監督ですが、
やはり2作目の重圧はスゴかったものと思われます。
それから新作の噂が絶えず出てはいたものの、できあがるまでに5年を費やしました。
2作目は『カンパニー・マン』(2002)。
現在レンタル店の新作コーナーに並んでいます。

モーガン・サリバンという会社員。
彼は産業スパイとして、とある会社に雇われる。
仕事を順調にこなす彼だったが、頻繁に頭痛に悩まされるようになる。
ある日、謎の女性が現れ、彼の仕事の裏には巨大な陰謀計画があることを伝える。

お金がつぎ込めるようになったことを知り得るシーンが随所に。(^^;
役者もそれなりの知名度の人が出演しています。
しかし、ハリウッド的にはなりたくないと言いたいのか、
小品のイメージを保とうとしている印象があります。
「がんばっとるのぉ」という感じ。
がんばってヒネりすぎのような気もしますが、
前のような暗さはないし、オチも予想を裏切ってさわやか。

前作『CUBE』がカナダの曇天そのまんまの作品なら、
この『カンパニー・マン』は秋の素晴らしいカナダも
かいま感じられる作品というところでしょうか。
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