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『新解釈・幕末伝』

『新解釈・幕末伝』
監督:福田雄一
出演:ムロツヨシ,佐藤二朗,広瀬アリス,岩田剛典,矢本悠馬,松山ケンイチ,染谷将太,勝地涼,倉悠貴,山下美月,賀来賢人,小手伸也,高橋克実,渡部篤郎,山田孝之,市村正親他

TOHOシネマズ伊丹にて、前述の『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』の次に。客はまぁまぁ入っているけれど、どないやねん、これ。思わず「しょーもな!」と苦笑いしてしまいました。

まぁ、設定は面白いですよねぇ。幕末の英雄と称された偉人たちについて、彼らは本当に英雄だったのかを歴史学者(市村正親)が研究を重ねたうえで推測。彼が語り部となって私たちに話してくれます。大人気の坂本龍馬は本当にそんな出来た人物だったのか。調べれば調べるほどチャラい人物像が浮かび上がってきますよと。

始まりはペリー来航のシーンから。でっけえ船だなぁと海辺から見て感心していた坂本龍馬(ムロツヨシ)は、見物人の向こう、ひとりで筏らしきものを作っている桂小五郎(山田孝之)に近づき、何をしているのかと問います。釣りに出るための筏を作っているという小五郎に、実はペリーの船に密航しようとしているのではないのかと詰め寄ると、図星を指された小五郎はドキッ。吉田松陰(高橋克実)とふたりで密航するつもりだったらしい。「僕もあんなデカい船を見てみたいから連れてって~」とごねる龍馬。小五郎に拒否されると、3人乗りの筏を作ればいいんでしょとあきらめない龍馬。そこへ西郷隆盛(佐藤二朗)もやってきて、結局4人で密航を図ります。これが密航未遂事件の真相(笑)。

勝海舟(渡部篤郎)と親しくなった龍馬は、用心棒として岡田以蔵(岩田剛典)を海舟に紹介。3人は女性店員(山下美月)がくノ一に扮するというコンセプト茶屋“忍茶屋”へと出向きます。新撰組の面々もコンセプト茶屋なるものに入店してみようとやってくるけれど、局長の近藤勇(小手伸也)が表に掲げられていたメニューを見て値段にたまげる。土方歳三(松山ケンイチ)と沖田総司(倉悠貴)は局長におごってもらう気満々で、あーだこーだと騒いでいたところ、出てきた龍馬が海舟先生は気前がいいからみんなの分もきっと出してくれるよ〜と3人を中に招き入れます。

こんな感じの勝手な解釈で進んで行きますが、歴史の時間に習ったことはあっても私なんて全然覚えていない尊皇攘夷だとか大政奉還だとか、大筋でわかるのはありがたいこと。後藤象二郎(賀来賢人)、大久保利通(矢本悠馬)、三吉慎蔵(染谷将太)、徳川慶喜(勝地涼)の立ち位置とかもなんとなくはわかるような気がしますし。

それにしたってふざけすぎ。そしてしつこい(笑)。福田雄一監督の作品は一貫してこうだから、今さら変えるつもりはないでしょう。出演者たちもきっとみんな楽しくて和気藹々とした現場であることは間違いない。でももういいかげん飽きてきたなぁ。っちゅうても福田監督はまだ50代。いつまでこういうのを撮りつづけるのか見守りたい気もしています。

『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』

『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』(原題:A Big Bold Beautiful Journey)
監督:コゴナダ
出演:コリン・ファレル,マーゴット・ロビー,ケヴィン・クライン,フィービー・ウォーラー=ブリッジ,リリー・レーブ,ハミッシュ・リンクレイター,ジェニファー・グラント,サラ・ガドン,ビリー・マグヌッセン他

さて、ここからしばらくは旧年中に観た作品。「今年観た映画50音順」を始めてから中断していた分を順番にUPします。TOHOシネマズ伊丹で観た2本ハシゴの1本目。

『コロンバス』(2017)のコゴナダ監督がコリン・ファレルマーゴット・ロビーを主演に起用したファンタジー。かつて悪童と呼ばれていたコリン・ファレルも今年還暦。すっかり落ち着いたオッサンになりました。マーゴット・ロビーは“バービー”“ハーレイ・クイン”のせいでちょっとキワモノ的なイメージすらありますが、美人ですよねぇ。キャストを見たときに「おっ!」と思ったのはケヴィン・クライン。一回り以上年下のフィービー・ケイツと結婚して話題になったのが1989年のこと。出産を機に女優業を辞めたフィービーを見て、まるで三浦友和と山口百恵だなと思ったものです。

友人の結婚式に出席するために家を出たデヴィッドは、路駐していた車がタイヤロックされているのを見て唖然。しかも雨が降り出して途方に暮れる。そんなとき、車のすぐそばにレンタカー屋のチラシを見つけ、藁をも掴む思いで電話をかける。訪れたレンタカー屋は見るからに怪しげな建物の中。まるで面接官かのように座る男女から、レンタカーはえらく古い1994年の車“サターン”であると告げられる。カーナビが必要かどうかを聞かれて、携帯があるから不要だと返答すると、携帯はいつ何時こわれるかわからないとしつこく言われ、結局カーナビを付けてもらうはめに。ようやく結婚式会場へと出発する。参列者はほとんどみんな連れ合いのいるなか、デヴィッドと同じくひとりで来ていたのがサラ。新郎新婦から紹介されて挨拶は交わしたものの、話が弾むこともなくその日は別れる。

翌朝、サターンに乗車、カーナビから「旅に出たいか」と問われて頷くと、最初はファストフード店に行ってハンバーガーを食べるように指示される。たどり着いたバーガーキングではサラがやはりチーズバーガーを頬張っていた。退店してびっくり、サラもあのレンタカー屋で借りたらしく、店の前には2台のサターンが停まっている。各々の車に乗り込むが、サラの車にエンジンがかからない。すると、カーナビは「サラを乗せるように」と指示してくる。こうしてふたりは一緒に旅をすることになるのだが……。

次々と到着する「目的地」。そこには不思議なドアがあり、ドアを通り抜けた先にはデヴィッドとサラそれぞれの人生のターニングポイントとなったかつての日。高校生だったデヴィッドが告白してフラれた日や、サラの母親が誰にも看取られることなく亡くなった日、それに婚約者と別れた日などなど。相対する人たちにはデヴィッドやサラがその頃の年齢のまま映っています。

いちばん戻りたい日っていつですか。それがいちばん戻りたくない日であったりもするかもしれません。すごく惨めだったり悲しかったりして。そのときに戻れたとしても人生はやり直せないわけですが、もう一度そのときの自分と向き合えるならば戻ってみるのもいいかも。これはやり直しの話ではなくて、あの頃を振り返って逃げずに向き合ったうえでこれからの生き方を決める話。前向きに。

ミュージカルの場面などは楽しかったし、イケメンと美人を見られる分、『エディントンへようこそ』(2025)なんかを観ているよりはずっとよかったけれど、作品としてはインパクトに欠けます。美しいシーンが多いから大画面で観たのは正解だったということで。

好きだった映画、嫌いだった映画〈2025年〉

2025年に劇場鑑賞した作品は418本、配信やDVD鑑賞した作品は50本で、合計468本。2024年までに人生6度の300本超を記録していますが、400本超は初めて。各月の劇場鑑賞本数は、1月35本、2月34本、3月37本、4月33本、5月39本、6月37本、7月38本、8月34本、9月30本、10月33本、11月36本、12月32本。配信またはDVD鑑賞した作品については「今年観た映画50音順」で昨日までにつぶやいたので、ここに挙げるのは劇場鑑賞した作品について。

ベストよりもワーストのほうが簡単なので、ワーストを先に。意味不明だった、不快感全開だった、気持ち悪いだけだった、退屈すぎた、時間と金を返してと思うほどの作品はそんなにないけれど、これは返してと言いたい。そんな5本。
『SKINAMARINK/スキナマリンク』
『あの歌を憶えている』
『ガラ』
『メガロポリス』
『サッパルー!街を騒がす幽霊が元カノだった件』

ベストのほうは順位をつけるなんて無理だから、好きだった作品を観た日付順に20本。万人受けしない作品もあるので、皆さんにお薦めできそうな作品ばかりではありません。ただただ私が好きだったというだけ。
『盗月者 トウゲツシャ』
『サンセット・サンライズ』
『ファーストキス 1ST KISS』6回観ました。
『愛を耕すひと』
『ブルータリスト』
『デュオ 1/2のピアニスト』
『アンジェントルメン』
『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』
『年少日記』
『雪子 a.k.a.』
『F1/エフワン』←これも6回観ました。
『罪人たち』
『愛されなくても別に』
『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』
『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』
『バード ここから羽ばたく』
『ブラックドッグ』
『ハンサム・ガイズ』
『秒速5センチメートル』
『ブレイカウェイ』

アニメで好きだったのは次の6本。
『Flow』
『ヨウゼン』
『ナタ 魔童の大暴れ』
『ひゃくえむ。』
『ホウセンカ』
『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』

2025年いちばんの話題作『国宝』ももちろん良かったけれど、あえて私のベストには入れません。私にとっての2025年の「この人」も、吉沢亮横浜流星(顔も演技もふたりとも大好きだけど)よりも、松村北斗ブラピです。

以下つらつらと書いてみると、『ブレイカウェイ』と共にマッツ・ミケルセン生誕60周年祭で上映された『アダムズ・アップル』『メン&チキン』も面白かったなぁ。変態すぎて普通の人には鑑賞を勧められませんけれども。変態といえば、『サブスタンス』『愛はステロイド』のオチがかぶっていて強烈。後者はそのオチまではベスト入りさせたいぐらい好きでした。あのジャイアント化がなければ(笑)。変わった環境の中で観たという点で面白かったのは『The 4 Rascals』。好きだったわけではないけれど、痛々しくて忘れられそうにないのは『盲山』『スノードロップ』。観た直後はなんとも思わなかったのに、日が経つに連れてじわじわと心に沁みてきて今もよく思い出す『プレゼンス 存在』なんて作品もあります。VR用のヘッドセットを装着しての鑑賞を初めて体験した『CHA EUN-WOO VR CONCERT : MEMORIES』も忘れがたい。だってチャウヌめっちゃ可愛かったから(笑)。『大統領暗殺裁判 16日間の真実』イ・ソンギュンがもうこの世にいないのが本当に寂しいです。韓国作品は去年も本当によく観ました。ハマった韓ドラは『埋もれた心』でしたね。

一方、これだけ映画に時間を費やしたせいで、本を読む時間は激減。弟が癌だとわかったときにスマホを持ったのも影響ありすぎ。おかげでそれまでは本を読んでいた時間がスマホを触っている時間になってしまいました。2025年いちばん心に残った本は凪良ゆう『汝、星のごとく』『星を編む』。横浜流星と広瀬すずの共演で映画化、今秋公開予定です。2冊の内容を盛り込んだ映画になるのか、前者だけの話になるのか楽しみです。正直言って広瀬すずってどうなん!?と思ってはいますが、藤井道人監督が決めたキャストなら信じます。

今年もおつきあいのほどよろしくお願い申し上げます。

2025年12月に読んだ本

2025年12月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2196ページ
ナイス数:619ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2025/12

■爆弾 (講談社文庫 こ 90-6)
原作を先に読了していた場合のみ、【再読ではなくて映画版を観たので】として映画の感想をこちらに書き込んでいます。本作は先に映画版を観たため、いつもの私のルールに倣えば映画の感想は書かないケース。だけどあまりに原作に忠実で、読んでいる間すべてのシーンが映画に脳内変換されました。日頃から原作と映画は別物と考えるようにはしているものの、目が点になるような改変があるとがっかりすることも多い。その点、本作は佐藤二朗は当て書きされたのかと思うほどそのまんま。山田裕貴染谷将太もよかった。って、結局映画の感想になっとる。
読了日:12月07日 著者:呉 勝浩
https://bookmeter.com/books/22004329

■凶変 警視庁異能処理班ミカヅチ (講談社タイガ ナ-B 18)
前作で結構な佳境に入っていると思っていたけれど、本作こそ佳境ど真ん中でしょうか。どんどん悪魔化してゆく赤バッジ。なのに妹のことを心配している様子には泣けてきます。怜がすっかり逞しくなっちゃって。チームとしての結束力が高まってきて目が離せません。今回いちばん驚いたのは、私の勤務先の名前がそのまんま出てきたことです。最初は「おおっ」とウキウキしていたのですが、その後すぐに雲行きが怪しくなって館長の首がぶった切られる展開に。四天王の一尊だったのなら光栄と思うべきか。あー、びっくりした(笑)。みんなに教えよっと。
読了日:12月14日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/22956557

■有罪、とAIは告げた (小学館文庫 な 33-4)
“静おばあちゃん”シリーズを読んでいた頃、この賢く可愛い孫娘もそのうち主人公になって登場しますようにと願っていました。彼女もこうして裁判官になったのだなぁと思うと感慨深い。父親を殺した罪に問われている18歳の少年。誰かをかばっているとしたら弟しかいないから、七里センセのわりには驚かないオチ。けれど本作はそこよりもAIに裁判を任せるのがありかどうかの話。来月公開のクリス・プラットレベッカ・ファーガソン主演の『MERCY/マーシー AI裁判』の予告編が劇場で流れ始めています。本作とどう違うのか楽しみです。
読了日:12月18日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/22983603

■兄の終い (CEMH文庫 む 01)
映画版のタイトルとは違うのねと思いながら読みはじめました。『兄を持ち運べるサイズに』というフレーズは序盤に登場。上手くこれを拾って映画のタイトルにしたものだなぁと思います。映画も原作も最初はこの兄のクズっぷりに嫌悪感すら抱く。部屋の様子を見れば、息子をちゃんと育てていたのかどうかすら疑わしい。けれど息子の表情や別れた妻子が彼について語る言葉からは破天荒ながらも楽しませてくれる人だったのかと思わなくもない。原作そのままのようでありつつファンタジーの要素を含めた中野量太監督の映画版、とてもよかったです。
読了日:12月20日 著者:村井理子
https://bookmeter.com/books/22840519

■赤い月、廃駅の上に (角川文庫)
どうやら酔っぱらった状態で読んではいけない作品だったようです。飲酒後の帰り道、電車の中で読んでいたはずが、摩訶不思議な世界に引きずり込まれ、頁をめくりつつも訳がわからなくなっていました。酔っぱらっていたらどれを読んでもそうなるか(笑)。奇しくも私が乗車したのは地下鉄御堂筋線と北大阪急行。読みながらまさにその駅を通って帰ったから、出てきた駅名だけははっきりと頭に残っています。そのほかの話も「三途の川を渡る列車の運転が荒かったら嫌やなぁ」などと思ったことだけは覚えていて、薄気味の悪い寝起き。途中下車はしない。
読了日:12月25日 著者:有栖川 有栖
https://bookmeter.com/books/5310066

■SOUL 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花 (角川ホラー文庫)
内藤了の新刊2冊のうちどちらを先に読むか迷い、“藤堂比奈子”シリーズのスピンオフよりも進行中のこちらを優先することに。殺人をまったく後悔していない様子の死刑囚が告白する別の殺人。調査を進めたところで時効が成立している昔の話。告白が本当だったとしても今更どうなるというのかと思う清花に班長がかけた言葉が心に残ります。この仕事、損得で考えるようになったら終わりだと。もしかするとそれはいろんな場面で思い出さなければならない言葉なのかなと思う。人生すべてが嘘だった人なんていない。千にひとつでも本当のことがあるはず。
読了日:12月28日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/23023409

■越境刑事 (PHP文芸文庫)
内藤了と中山七里だけはどんだけのスピードで書いてるねんといつも思う。いくつものシリーズを同時進行して、好きなシリーズの新刊がなかなか出ない間も何かしら読むものが用意されていますよねぇ。このシリーズもそうだけど、アマゾネス高頭はそこらじゅうで見かけるから久しぶりな気がしない。巷で話題になっている事件を取り込むのが上手い七里センセ。今回はウイグル族弾圧をテーマにするなんて、あなたこそが公安に目をつけられそうです。拷問のシーンは特に女性は目を伏せたくなる描写。部下の郡山の信頼度がダダ上がり。これからも死ぬなよ。
読了日:12月30日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/22848631

今年観た映画50音順〈わ行〉

《わ》
『私たちは天国には行けないけど、愛することはできる』(英題:No Heaven, But Love)
2024年の韓国作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
母子家庭に育つ女子高生ジュヨン(パク・スヨン)はテコンドー部に所属。階級を上げるために短期間での増量をコーチから命じられて困っている。実はジュヨンが階級を上げることになったのは、同階級の親友ソンヒ(シン・ギファン)を国家代表にするべくソンヒの親がコーチに裏金を渡して個人指導を頼んでいたから。しかも階級を上げた試合ではコーチに八百長試合を指示され、憤ったジュヨンは退部する。ちょうどその頃、少年院上がりの少女イェジ(イ・ユミ)を家で預かることになり、同い年のジュヨンとイェジは自分たちの間にある感情が単なる好意ではなく愛であることに気づく。ふたりで過ごす時間にこれ以上にない幸せを感じるジュヨン。一方、ソンヒはコーチから性的虐待を受け続けていた。自殺を図ったソンヒの力になりたいと警察に通報するも、学校も警察もコーチの味方で……。
彼女たちがスマホではなくてポケベルを使用していることから、時代は今よりかなり前だということがわかります。鑑賞後に知ったのは、1999年が舞台とのこと。スポーツ選手が指導者から性的虐待を受けている話はつらい。国家代表のスポーツ選手になることが社会的には大切で、そのためならいくらでも金を積もうとする親や、そういう親を持ち上げる教師たちの姿にも反吐が出そう。彼女たちに幸せになってほしいと切に願います。

《を》《ん》
なし。

今年もおつきあいをありがとうございました。
どうぞ良い年をお迎えください。また明日、新年に。(^^)