MENU
ChatGPT-Image01
previous arrow
next arrow

2025年11月に読んだ本まとめ

全然読書がはかどらないまま12月に突入してしまいました。でもこれだけ映画を観たら本まで読むのムリやろとも思う。しゃあない(泣)。

2025年11月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:1008ページ
ナイス数:535ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2025/11

■【映画化決定】愚か者の身分(徳間文庫)
4分の3位まで読んだところで映画版を鑑賞。読み始めたときの私のイメージでは、マモルが北村匠海、タクヤが綾野剛だったのですが、それでは年齢的に行き過ぎでしたね。てっきり男性作家だと思っていたから、女性だと知って驚く。『ババヤガの夜』の王谷晶といい、この人といい。登場人物たちが愚か者であることは間違いない。だけどこんな境遇を生き抜いてきたのを知ると、クズだと罵れなくなります。映画版で木南晴夏が演じた由衣夏は、原作のほうが出番が少なくもやはり良い味。鰺の煮付けと塩むすびに感じる幸せ。みんなどうにか生きてほしい。
読了日:11月05日 著者:西尾潤
https://bookmeter.com/books/17866574

■ミステリなカフェ 午後3時の謎解きアンソロジー (双葉文庫 み 36-03)
50頁足らずに短編3つと、80頁弱と100頁ちょいの中編2つ。頁の差に関わらずどれも軽妙なタッチ。読み応えを欲する人は少々物足りなさを感じるかもしれませんが、長編に疲れたときならどれも楽しい。特にカフェが舞台というわけではない話にもシフォンケーキだったりナポリタンだったりチョコレートだったり、あがり性の店長が手を震わせながら煎れるあまり美味しくない珈琲が出てきたりして(笑)、ひと息つきながら読みたくなる話ばかり。謎解きもしっかり。特に楽しんだのは『猫の世話をするだけの簡単なお仕事』。断じて、簡単ではない。
読了日:11月18日 著者:大崎梢,加納朋子,坂井希久子,東川篤哉,望月麻衣
https://bookmeter.com/books/22616040

■禁忌の子
「似ている」などというレベルではない、自分とまんま同じの見ず知らずの人が死体となって目の前に運ばれてきたら。導入部から話に引き込まれます。最も犯人像からは遠い人、けれど急に登場したわけでもない人。ひゃーと驚かされ、5分の3の意味がわかったときには自分の先入観にも驚きました。精子の提供を取り上げた話は映画でもよく観ますが、今はSNSで取引されることもあると知って愕然。城崎には強烈に惹かれます。人の感情を解しない、けれど思いを巡らすことに努めるイケメン。彼の推理をまた聴きたいから、次も文庫化まで待てないかも。
読了日:11月28日 著者:山口 未桜
https://bookmeter.com/books/22154734

『インターステラー』【再上映】

『フォロウィング』(1998)で映画監督デビューを果たしたクリストファー・ノーランは『メメント』(2000)でハリウッド期待の新鋭と呼ばれ、その後の活躍は映画好きなら誰もが知っているところ。『ダンケルク』(2017)や『オッペンハイマー』(2023)のようなSFではない作品もありますが、根強い人気を持つのはやっぱりSFということになるでしょうか。『TENET テネット』(2020)なんかは私にとって超難解な作品ではあるのに、わからなくても面白い。

『インターステラー』が公開されたのは2014年。ノーラン監督作品の中でトップクラスの人気を誇る作品でしょう。これも難解なのに何度でも観たくなる。てか、ノーラン監督作品ほどIMAX版での再上映が願われる作品はなかなかないかもしれません。数カ月前の『ダークナイト』の再上映に続き、今度はこれを上映してくれるとは、なんと嬉しいこと。あらすじは前回の記事をご覧ください。

10年前に観たときとはキャストの認知度が違います。主演がマシュー・マコノヒーだったことは覚えていたけれど、共演がアン・ハサウェイだったことやマット・デイモンがこんな役で出演していたことはすっかり忘れていました。大人になってからの娘をジェシカ・チャステインが演じていて、後半では彼女がほぼ主人公と言ってもよいぐらいなのに忘れていたし、彼女の同僚役でトファー・グレイスが出ているなんてまるで覚えなく。いちばん驚いたのは、子どもの頃の息子役がティモシー・シャラメだったこと。彼は今も昔も砂に縁があるってことですね(笑)。大人になってからの彼を演じるのはケイシー・アフレックですか。なるほど。

109シネマズ大阪エキスポシティのIMAXレーザーGT版は本当に最高です。それを知っている人が多いのか、ここで再上映される作品はどれも満席に近い状態になるくらい客が入ります。IMAXシアターでは映画を観たことがないという人も、ほかの劇場のIMAXシアターには行ったことがあるけれどここには行ったことがないという人も、みんな一度は来てほしい。素晴らしいから。ここで本作を観られてよかった。ジワジワ来ます。

『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』

『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』(原題:Deliver Me From Nowhere)
監督:スコット・クーパー
出演:ジェレミー・アレン・ホワイト,ジェレミー・ストロング,ポール・ウォルター・ハウザー,スティーヴン・グレアム,オデッサ・ヤング,ギャビー・ホフマン,マーク・マロン,デヴィッド・クラムホルツ他

テアトル梅田で『メン&チキン』を観た後、まっすぐ帰りゃいいものを109シネマズ箕面に寄ってもう1本。

若き日のブルース・スプリングスティーンに焦点を当てたという本作は、スルーしてもいいかなと思っていました。だって私はまったくと言っていいほど彼に興味がない。それでも『カセットテープ・ダイアリーズ』(2019)を観たときにはずいぶんイメージが変わりました。彼は単なるロックスターというよりは、テレサ・テン的な扱いだってことはありませんか。いろんなものを背負っていて、同じような思いを持つ人を支えつづけてくれる存在。まるで違ったらすみません。

幼少期、酒浸りの父親をバーから連れ戻すのが役目だった少年ブルース。酔って帰ってきてはブルースを殴る父親のことを母親は責めたが、それで態度を改める父親ではなかった。ずっと父親に怯えながら過ごしていたブルース。それでも映画『狩人の夜』(1955)を父親と観たことはきらめく思い出。

1980年、『ハングリー・ハート』の大ヒットで一躍スターとなったブルース。新曲が期待されるなか、レコーディングエンジニアの友人マイク・バトランを自宅へ呼びつけたブルースは、アコースティックギターのみでカセットテープへの録音を進める。デモテープを受け取ったマネージャーのジョン・ランドーは、ブルースの望みに100%沿ったアルバムに仕上げようとするのだが……。

自宅の寝室に古い機材を持ち込んで録音した曲のイメージそのままでアルバムを作りたいのに、録音スタジオには最新の機材しかないからブルースの望みどおりにはなかなかなりません。新しい機材で古い機材の音を出すことがこんなに難しいとは。素晴らしいのはジェレミー・ストロング演じるマネージャーのジョンで、こんな人が付いていたからこそ、そして誰もがブルースの願いを笑ったり呆れたりせずに仕事に取り組んだからこそ、納得できる形になったアルバム『ネブラスカ』。常識外と言われた名盤の誕生は観ていてうれしくなりました。

ただ、ブルースの恋愛話には首をひねってしまいます。名前が売れた途端、増える知り合い。「体育で一緒だっただろ」と言われて誰が思い出せるねん。そんな元同級生が「俺の妹」だと言って紹介してきた女性フェイとつきあいはじめるって、グルーピーのうちのひとりとつきあうのと変わらんことないですか。しかも彼女、子持ちだし。どれだけ真面目につきあっていたのか知らんけど、を発症したブルースから別れを切り出されて「逃げているだけ」とか「自分と向き合わないと」とか言われても。そもそも彼が鬱病だとは知らなかったので、それはびっくりしました。

クイーンの『オペラ座の夜』を聴いたプロデューサーが駄目出ししたのと違って、こっちのプロデューサーはこんなの売れねぇだろと言いつつも「でもどうせ言うこと聞かないでしょ」と大切に扱うことを約束するのもよかったですね。とはいうものの、彼の曲にはのめり込めそうにありません。メッセージ性が強すぎる。

『メン&チキン』【マッツ・ミケルセン生誕60周年祭】

『メン&チキン』(原題:Mænd & Høns)
監督:アナス・トマス・イェンセン
出演:ダーヴィッド・デンシック,マッツ・ミケルセン,ニコライ・リー・コス,ソーレン・マリン,ニコラス・ブロ,オーレ・テストラップ,ボディル・ヨルゲンセン,リッキー・ルイーズ・アンダーソン他

前日に観た『ブレイカウェイ』がめちゃめちゃ良かったので、これはもう“マッツ・ミケルセン生誕60周年祭”の上映作品を観られるだけ観ておこうと、連日のテアトル梅田通いとなりました。

アナス・トマス・イェンセン監督による2015年のデンマーク作品で、「あなたの“マッツ愛”が試される?! 狂気的な怪演が光る」とあるとおり、これは変態でイケてないマッツ。彼を本作で初めて見る人がいるとすれば、この人が“北欧の至宝”だなんてなんでよ!?と思うかもしれません。

大学教授のガブリエルは兄エリアスに父親の危篤を知らせる。父親の最期にエリアスは間に合わなかったが、遺品の中のビデオレターがあるのを発見。ふたりで観てみると、実父であることを疑いもしなかった父親が実父ではなかったことがわかる。しかもガブリエルとエリアスの母親も実母ではなく、彼らの実母はどちらもすでに亡くなっているというではないか。生物学的な父親に会いたいと考えるガブリエルが父親の所在を突き止めて会いに行こうとすると、エリアスもついてくる。

実父はエベリオ・タナトスという研究者で、彼が住んでいるのは人口わずか42人の村。タナトス邸は廃墟と言いたくなるほど寂れていて、エリアスを車で待たせたままガブリエルが玄関のドアをノックすると、出てきたのは醜男3人。自分がエベリオの息子であることを伝えると、3人に突然襲いかかられる。

慌ててその場から逃げたガブリエルとエリアスは、雨に降られて途方に暮れていたところを村長のフレミングに拾われる。翌日、フレミングに連れられてタナトス邸に戻るとやはり3人が殴りかかってくるが、腕っぷしの強いエリアスが3人を伸す。それを気に入られて邸内へ招き入れられ、事情を聴いて仰天。なんとその3人、フランツとヨセフとグレゴールもエベリオの息子で、それぞれ別の母親を持つと言う。つまりその3人とガブリエルとエリアスは全員異母兄弟で……。

エリアス役のマッツはちっともカッコよくない。というのか全員醜悪な顔つきで、どう観ても変態映画。ホラーと言ってもいいでしょう。でもものすごく面白い。

邸内では家畜が放し飼いされていて、妙な動物がいっぱいいます。エベリオは幹細胞研究を専門とする遺伝学者だという時点で不気味な予感しかなし。ガブリエルは優秀な研究者らしいけど、咳というのかくしゃみというのか変な癖がある。エリアスは日に何度もマスターベーションしないと生きていけないようだし、ヨセフはやたらとチーズが好き。こうして書いていても思い出して不快です(笑)。

じゅうぶんに予想できる展開だからネタバレにはならないかと思いますが、5人ともエベリオの実験によって生まれてきました。男性不妊だったエベリオは人間と動物を交配させる研究に没頭し、それが成功してこの世に生まれたのが彼ら。交配の相手は牛、梟、鶏、鼠、犬。ぞっとするでしょう。だからそれぞれその動物の特徴を持っている。こんな実験をしていながら、エベリオは自分が想定していたよりも出来が悪いと思えば養子に出していました。養子に出されたのがガブリエルとエリアスで。

おぞましいにも程がある話なのに、最後は妙に晴れやかな気分になるのはなぜなのか。どんな命も命。それを尊重する村人たちというのもすごい。マッツ初心者には到底薦められない作品ですが、すでにハマっている人にはぜひ。

『ブレイカウェイ』【マッツ・ミケルセン生誕60周年祭】

『ブレイカウェイ』(原題:Blinkende Lygter)
監督:アナス・トマス・イェンセン
出演:ソーレン・ピルマーク,ウルリク・トムセン,マッツ・ミケルセン,ニコライ・リー・コス,オーレ・テストラップ,フリッツ・ヘルムート,ソフィエ・グロベル,イーベン・ヤイレ他

テアトル梅田にて開催中の“マッツ・ミケルセン生誕60周年祭”。全7作品を網羅したかったけど、そんなに私に都合の良い時間に上映してくれるはずもなく、とりあえず観たのは『アダムズ・アップル』(2005)でした。そうしたら凄く面白くて、残りもなんとか観たくなる。仕事帰りに梅田まで行くのはなかなかつらいんですが、時間が合うなら行っておこうと車を走らせました。11月半ばから始まっているクリスマスマーケットのせいで、平日の晩でも梅田スカイビルは大賑わい。

本作は2000年の作品で、日本では劇場初公開。本国デンマークでは歴史的大ヒットを飛ばし、デンマーク映画史上最高傑作と言われているそうな。『ライダーズ・オブ・ジャスティス』(2020)のアナス・トマス・イェンセン監督は脚本も必ずご自分で書く人。大好きです。7作品のうちでも最も人気が高いのではないでしょうか。満席で嬉しくなる。原題の“Blinkende Lygter”は英語で“Flickering Lights”。直訳すると「点滅するライト」。観れば意味がわかります。

コペンハーゲン出身の4人のチンピラたち。トーキッド(ソーレン・ピルマーク)をリーダーに、ヤク中のピーター(ウルリク・トムセン)、拳銃マニアですぐにキレるアーニー(マッツ・ミケルセン)、いちばん年下のステファン(ニコライ・リー・コス)はいつ何時も一緒。トーキッドは足を洗いたいと思っているが、ギャングのボス・エスキモーから借りている金を返さなければ抜けることは許されない。今度こそ金が作れると思った取引にも失敗し、エスキモーから指示された盗みを働かざるを得なくなる。

指示通りにある邸に侵入した4人は、金庫から400万デンマーククローネ(日本円で1億円近く)が入ったアタッシェケースを盗み出すが、いざ退散というときにやってきた警備員と撃ち合いに。急いで車に飛び乗って逃走する。途中、トーキッドがこんな暮らしはもうやめたいと言い出し、このまま金を持ってバルセロナを目指して逃げることにあとの3人も賛同する。ところがしばらく走ったところで車が火を噴き、警備員が発砲した銃弾が腹をかすめたピーターはヤク切れもあって具合が悪そう。身を隠せる場所を求めて森の中を歩いていると、数十年は放置されているとおぼしき廃屋が見つかる。

誰も来ないだろうと思っていたのに、ひょっこりやってきた近所の猟師アルフレッドから「レストランを開くのか」と聞かれ、ついつい頷いてしまうトーキッド。アルフレッドから紹介された医者カールはあきらかに4人を怪しんでいるが、金を握らせてピーターを診てもらう。すると、治療はカール自身の口に含んだ酒を傷口に吹きかけたのみで、2週間は安静だと言い渡される。致し方なく傷が癒えるまでの間はレストランを開店するふりをしてここにとどまることにするが……。

冒頭、「味なんてどうでもいいと思えるレストランがある」と女性の声が流れ、実に居心地のよさそうなレストランに人々が集う光景が映し出されます。ドンパチの後にこんなオチが待っていることは予想できず、これは夢物語なのかなと思っていました。そうか、こういうことだったのですね。

4人とも少しずつイカれていて、普通とは言えません。知的でもないし、いたって粗野な印象。性格的にも合うとは思えないのに、なぜ始終一緒にいるのか。4人の生い立ちを私たちが知らされた後に4人が出会うシーンでは切なくなって、彼らを抱きしめたくなります。エスキモーに追われて最後はみんな死ぬんだろうと思っていたら、そう来るか。エスキモーの「どうして俺だけ仲間はずれなんだ」という叫びに、入りたかったんかい!とツッコミ入れたくなりました。彼も入れてあげりゃあよかったのにとそれもちょっと切ない。

それでも、料理が美味しくないレストランには行きたくないでしょと思うけど(笑)、こんな場所があってもいいかもしれない。