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『Black Box Diaries』

『Black Box Diaries』
監督:伊藤詩織

豊中駅近くのホテルでおこなわれた友人の一周忌の法要に参列後、そのまま阪急電車で売布神社駅前、4年半ぶりにシネ・ピピアへ。久しぶりだとは思っていたけれど、せいぜい3年ぶりぐらいのつもりでした。時が経つのってはやい。日付を見て、そうかぁ、ちょうどが癌だとわかった頃に行っていたのだなぁと思う。

シネ・ピピアに出向いたのは後述の作品を観るためでした。本作の上映終了時間と後述作品の上映開始時間が10分かぶっていたから、シネコン並みの予告編上映があるとも思えないこんなミニシアターでは10分経てば後述作品の本編に突入していることは確実。しかし本作を観る機会はほかになさそうだし、観ようと決めたのでした。

TBSのワシントン支局長だった山口敬之氏にレイプされたとして実名で訴えたジャーナリストの伊藤詩織氏。彼女自らが監督を務め、6年に渡る記録を綴っています。本作はアカデミー賞をはじめとする各国の映画祭等で優れたドキュメンタリー作品として賞を授かりながらも、映像や録音の使用許諾を得ずに用いていたことが問題視されました。それゆえ伊藤氏のいちばんの味方であったはずの弁護士の顔にモザイクをかけて本作を日本で公開するという異例の事態に。これはとても残念なことです。また、事件に関してはどう考えても伊藤氏寄りだったろうと思う望月衣塑子記者が、許諾を得ないままの作品を海外では上映しつづけている点などについて意見したところ、伊藤氏から名誉毀損で訴えられた(が後に取り下げ)というのも残念な話。

『新聞記者』(2019)や『朽ちないサクラ』(2023)を観れば、戦うと恐ろしい目に遭わされる人がわかるし、こうして映画の感想を書くだけでも公安に目をつけられるかもしれないと思ったりもします。こんなブログでそんな心配は不要でしょうが(^^;、『シチズンフォー スノーデンの暴露』(2014)のエドワード・スノーデンの話なんか聴くと、すべてを見られているのではなんて気にさせられてしまいます。

だから本作についてあれこれは書けないけれど、レイプなどの性暴力事件が取り沙汰されるたびに思うのは、男性から飲食に誘われて出向くと、それだけで「そのつもりがある」と思われるのは勘違いですということ。そのつもりがあって出向く人ももちろんいるでしょうけれど、ただ単に楽しく飲んでしゃべりたくて出向いただけなのに、男性とふたりで食事に行くこと=そのつもりありだと思われたら困るんです。昔、セクハラ上司に呆れて「女性を食事に誘ったら、そのあとも誘わないと失礼だとか思っていませんか」と尋ねたら、「思ってる」。「それは大きな間違いです」と言うときましたが、たぶんそんなことはないやろとお思いだったでしょうね。そしてそのままお亡くなりにならはったけど。

伊藤氏の相手が社会的に地位の高い男性だったせいで、事件をもみ消そうとする動きがあるなか、証言すると立ち上がったシェラトンホテルのドアマン。証言すれば仕事を失う可能性もあったのに、彼の態度は立派だと思います。

泣いているお客さんもいました。同じような経験がおありなのかなぁと思うのは邪推に過ぎませんが、訴えたくても訴えられない人はきっとたくさんいるし、訴えたら訴えたで誹謗中傷を受ける。どうすればいいのでしょうか。

『映画 教場 Requiem』

『映画 教場 Requiem』
監督:中江功
出演:木村拓哉,綱啓永,齊藤京子,金子大地,倉悠貴,井桁弘恵,大友花恋,大原優乃,猪狩蒼弥,中山翔貴,丈太郎,松永有紗,中村蒼,岡本夏美,佐藤仁美,和田正人,荒井敦史,高橋ひとみ,白石麻衣,染谷将太,川口春奈,大島優子,三浦翔平,濱田岳,福原遥,杉野遥亮,趣里,坂口憲二,林遣都,森山未來,小日向文世,市川染五郎他

2部作の前編『映画 教場 Reunion』はNetflixで独占配信して、後編は劇場公開って、売り方がセコないかいと思いつつ、公開初日にイオンシネマ茨木にて。前作で何名かの退校者が出た後の神奈川県警察学校、教官・風間公親(木村拓哉)の教場が舞台です。

訓練生たちはそれぞれ目標を持って日々臨んでいる。たとえば星谷舞美(齊藤京子)はストーカー犯罪の撲滅を目指す警察官に、笠原敦気(金子大地)は暴力団から町工場を守る警察官になるという目標がある。ひとり違うのは木下百葉(大原優乃)で、両親が警察官だという彼女はなんとなく警察学校に入っただけ。ここで将来有望な訓練生を見つけてとっとと結婚し、子どもも産んで専業主婦になるのが彼女の目標。そんな彼女が見込んだ相手は真鍋辰貴(中山翔貴)。最初は洞口亜早紀(大友花恋)と交際していた真鍋を奪い取った格好。洞口はふたりの仲を応援しているような言葉を木下にかけ、クリスマス前に扁桃炎を起こしたらしい真鍋には病院へ行くように勧めるが、風間は洞口の思惑に気づく。

校内の長距離走イベントに出場する初沢紬(井桁弘恵)は、妹の環(岡本夏美)が隣人による嫌がらせを受けていると聞き、退校した若槻栄斗(中村蒼)のもとへ環を連れて行くと、護身術を教えてほしいと頼む。嫌がらせは止むことなく続いているらしく、あるとき環が泣きながら電話をかけてくる。「どうすればいいか」と問う妹に、「何もしなくていい」と答える初沢。その後、解剖見学実習に参加中の訓練生たちを見て、風間は初沢の態度に不審を抱く。

というふうに、前作も本作も訓練生たちをめぐってさまざまなことが起こり、そのいずれにも風間は気づいているという超人。売り方がセコいなと思うものの、やっぱり面白いんですよねぇ。それに、成長していく訓練生たちを見ていると、若手俳優の成長も同時に見ることができているような気がして楽しい。特に綱啓永猪狩蒼弥がイイ。金子大地もこんな誠実な役とクズの役どちらでもできる俳優なんだと驚く。善人役のほうが多いイメージの倉悠貴も新境地開拓。解剖を担当する医師役で市川染五郎が出ていたのも嬉しくなりました。善人役のイメージといえば、林遣都のイカれっぷりが凄い。彼にとってもこれは新境地ですよね。

それにしても冒頭の明石家さんまとそれにつきあわされる女将役の富田望生は何ですか。TVドラマ版を未見の私にはまったく意味不明。真面目な作品をおちょくっているかのようにすら感じます。どうでもええけど。

このタイミングで神奈川県警の不適正な交通違反取締まり発覚って、白バイ隊員の鳥羽(濱田岳)が泣きまっせ。教場の訓練生たちに恥ずかしくないふるまいをお願いします。

『純愛上等!』

『純愛上等!』
監督:八重樫風雅
出演:山中柔太朗,髙松アロハ,白鳥晴都,嵐翔真,浅野竣哉,小平大智,高橋璃央,宮脇優,葵揚,黒澤諒,大川泰雅,早瀬圭人,閏木ときたか,那須ほほみ,山中聡,オラキオ,堀夏喜他

前述の『射鵰英雄伝』をTOHOシネマズなんばで観た後、なんばパークスシネマで本作を鑑賞するかどうか迷う。出演者に推しがいるどころか、誰が誰なのかさっぱりわからず。この時点で21時は過ぎていて、本作も観るとすれば帰宅は23時半を過ぎるけど、どっちみち車を駐めているなんばパークスへは戻るわけだから、まぁ観るかという気持ちになり。

原作は七緒による同名BL(ボーイズラブ)コミックで、電子書籍配信サイト“コミックシーモア”にて2024年12月より連載中。監督はTVドラマを中心に活躍する八重樫風雅。

紅桜高校と白岩高校はライバルだが、2年前の出来事をきっかけに停戦協定を結んでいる。なのにある日、白高のトップ・佐藤美鶴(山中柔太朗)が紅高に姿を現す。騒然となった紅高の生徒たちは美鶴に殴りかかるも、簡単に伸されてしまう。「大変なことになっている」と報告を受けた紅高のトップ・亀井円(髙松アロハ)はなぜか笑顔。実は円の祖母・梅子が営む駄菓子屋の2階に美鶴が下宿することになったために美鶴が円を訪ねてきただけだったのだ。

停戦とともに恋愛も封印してきた円だったが、美鶴はタイプど真ん中。仲間たちにそう指摘されるのを笑ってかわしてみるものの、美鶴にどんどん惹かれてしまう。一方の美鶴は誰に対しても愛想がないが、円のことが気になっている様子。しかし、ふたりの間には因縁があって……。

ネタバレですが、2年前の出来事とは、紅高と白高がやりあって当時の白高トップ・貴明(堀夏喜)を円がボコボコにし、円を恨んだ貴明が円と間違って円の弟・樹(白鳥晴都)を刺した事件。樹は脚に障害が残り、円は自分のせいだと悔いています。そして貴明こそが美鶴の兄だったという展開で。

不良漫画にしてBL。昔は考えられなかったジャンルが出てきたもんですねぇ。でもイケメンが無駄脱ぎすれば「キャー」となる(笑)。嵐翔真、小平大智、高橋璃央、宮脇優、葵揚、黒澤諒らが演じる仲間たちとの絆も良くて、なんだかんだで観ることにしてよかったとなるのでした。ゲイだなんて言葉は一度も出て来ず、男子と絡む女子もひとりもなし。時代が変わったことを感じます。

ところで客層がやっぱり若い。彼女たちは誰推しなんでしょう。山中くんと髙松くんのどっちですか。意外とほかの男子とか。

『射鵰英雄伝』

『射鵰英雄伝』(原題:射雕英雄伝:侠之大者)
監督:ツイ・ハーク
出演:シャオ・ジャン,ジュアン・ダーフェイ,レオン・カーフェイ,フー・ジュン,チャン・ウェンシン,バヤルト,アールーナー,エイダ・チョイ,ウー・シンクオ他

郵便局→老健→なんばの洋食店でひとりランチ→なんばパークスシネマで『スペルマゲドン 精なる大冒険』→なんばグランド花月で漫才&吉本新喜劇→NGKにご一緒した姉様となんばマルイでお茶→TOHOシネマズなんばで本作。

御年76歳のツイ・ハーク監督が金庸の同名小説を映画化。金庸は香港出身の作家。彼が書く武侠小説は、中華圏での人気はもとより、世界でもトップクラスの売り上げを誇るそうです。本作の原作は1957年に著され、中華圏ではTVドラマや映画などさまざまな形で映像化、漫画化、ゲーム化も。日本ではそのほとんどが未公開でしたが、その人気を知った徳間書店が1990年代半ばに“金庸任侠小説集”と名づけてシリーズ化。たちまち売れて、漫画版も大ヒットとなった様子。

舞台は13世紀初頭の中国。南宋と金が対立を深めるなか、北方ではモンゴルが台頭しつつあった。宋に生まれた漢人でありながら、チンギス・ハーンの庇護を受けて育った郭靖(シャオ・ジャン)は、侠客集団“江南七怪”から心技一体の武術を教え込まれる。その途中、江南で黄蓉(ジュアン・ダーフェイ)と知り合い、恋に落ちて共に過ごすと誓う。

修行ののち、秘伝の武術書『九陰真経』を体得した郭靖を狙うのは、西毒(レオン・カーフェイ)。九陰真経を得た者が最強になれるとわかっているから、郭靖と黄蓉を執拗に追いかける。九陰真経が悪人の手に落ちぬようにと郭靖に教授した師たちの思いに応え、郭靖は西毒と戦うのだが……。

あかん、観ている間はめっちゃ話をわかっているつもりだったのに、こうして書いてみると何が起きたのかちゃんと説明できません。でも凄く面白くて、あっという間の147分だったのは確かです。何よりも主演のシャオ・ジャンがカッコイイ。中国のアイドルグループ“X玖少年団”のメンバーだった彼は(知らんかったけど(^^;)現在34歳。日本人にも好まれそうな顔立ちで、見ているだけで嬉しくなります。黄蓉のジュアン・ダーフェイが知的で可愛いし、チンギス・ハーンの娘で郭靖に想いを寄せる華箏役のチャン・ウェンシンの鼻っ柱の強いところも可愛げがあって○。

西毒は郭靖に負けたものの、死なずに逃げ出したところで終わるから、これまた続編があるのかなぁ。これは絶対観るけど。中国作品を避けてきた人、これを一度観てみませんか。

『スペルマゲドン 精なる大冒険』

『スペルマゲドン 精なる大冒険』(原題:Spermageddon)
監督:トミー・ウィルコラ,ラスムス・A・シヴェルトセン
声の出演:ラランド・ニシダ,大橋彩香,福原かつみ,天沢カンナ他

休暇を取って郵便局→老健→なんばパークスシネマへ。珍しいノルウェーのアニメ作品で、これも字幕で観たかったけど、どこの劇場も吹替版しか上映していません。観てみれば、吹替版のほうがわかりやすかっただろうと思います。そしてこれを吹替版にするのはかなり大変だったろうとも思う。偉い。

精子を擬人化した作品といえばすぐに思いつくのが『ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう』(1972)。てか、これしかありませんよね。アニメのほうが生々しくなくて良いような。だけどこりゃ日本の子どもには無理だ。いかにも性教育がさかんな北欧の作品かと。

高校生男子イェンスの体内では、無数の精子が今か今かと出番を待っている。その機会を待つ間に、精子諸君の心構えに関する授業もある。精子のひとりであるシメンは大の勉強好き。教授が精子と卵子以外について学ぶのは邪道かのように話すのが腑に落ちず、人体そのものについて知るべきだと思うが、そんなシメンを教授は落ちこぼれ扱い。

一方、イェンスは、親抜きで友人たちと過ごす夏休み、1年ぶりにリサと会ってドキドキ。リサのほうも今夏は初体験の予感を持ってやってきたらしく、ふたりは部屋を抜け出してまさにそのときが目前に迫るのだが……。

面白いです。卵子と結ばれる確率は10億分の1。その競争に勝つべく、武装して臨む精子もいます。仲良し3人組の精子は、三つ子として生まれるチャンスを狙って並走。この若さで妊娠は避けたいリサは、当然のことながらイェンスにコンドームの装着を求め、行為後は殺精子剤を塗り、アフターピルも服用する。コンドームの壁を突き破ろうとする精子が凄いです(笑)。

精子は男性に限らないのも面白いとこ。男女の精子でどちらかが想いを寄せているなんてシーンもあり、女精子が男精子にプレゼントしようとするのがホームメイドのイカケーキとか。シメンは一生イェンスの体内にいてもいいと思っていますが、ここから一刻も早く脱出したい精子などは「こんなぎゅうぎゅう詰めのイカ臭いとこ」と言ったりも。

個人的には『はたらく細胞』(2024)よりずっと面白くてオススメです。人体がどうなっているのかわかっていいやんと思ったけれど、「人体のつくりはこうはなっていません」とエンドロールに注釈が出るのも笑った。

いや~、やっぱり凄いわ、北欧の性教育って。男性の体内では精子がフェスを開催していて、フライングVを弾き倒しているところを想像したら、楽しくないですか。あ、それは性教育と関係ないか。(^^;