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『大長編 タローマン 万博大爆発』

『大長編 タローマン 万博大爆発』
監督:藤井亮
出演:山口一郎

数カ月前から予告編はさんざん目にしていました。ばーくはつだ、ばーくはつだ♪という歌詞とメロディーが頭にこびりついて離れず、仕事中もよく口ずさんでいたけれど、これがどういう作品なのかさっぱりわからず。109シネマズ大阪エキスポシティでは公開週に舞台挨拶付きの回が上映され、チケットが販売開始となっていることに私が気づいたときにはすでに完売。何この人気!?と思いつつ、普通上映開始になってからでいいやとスルー。割引のある翌週水曜日に観に行きました。

観はじめてからもなんだかよくわからない。予告編にも登場していたサカナクションのフロントマン・山口一郎と本作はどういう関係なんですか。本編前に自己紹介があり、本編終了後にまたお会いしましょうとの台詞。私はどういう姿勢で鑑賞に臨めばよいのか困惑してしまい、結局最後までそんな感じのままでした。もうちょっと予習してから行けばよかったと後悔。

作品自体の色調はレトロ。旧作の再上映なのかなと思ったけれど、鑑賞前に唯一名前を調べていた藤井亮監督は1979年生まれだから、1970年の大阪万博のときにはまだこの世に誕生していない。ならば新しく撮影したモキュメンタリー作品ってことでしょうか。それにしたって出演陣は知らない俳優ばかり。ここに出てくる岡本太郎はご本人なのかしら。わからない~。

で、鑑賞後に調べてようやくわかる。本作自体はやはりモキュメンタリーなわけですね(と言っていいのかどうか自信はないけど)。「太陽の塔をはじめとする岡本太郎の作品群をモチーフにした特撮ヒーロー番組が1970年代に放送されていた」という架空の設定。で、当時放送されていたとする架空の特撮番組を実際に制作し、これまたタローマンマニアという設定の山口一郎が解説を担当する形で放送したのがNHKの『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』。その劇場版が本作なのだそうです。

2025年の未来から1970年の奇獣がやってきます。彼らの目的は2025年の関西万博を消滅をさせること。その阻止に立ち上がったのが地球防衛軍とタローマンらしい。あまりにわからなくて私は寝ちゃったんですが、こうして調べて書いてみてようやくわかりました。わかったうえでもう一度観に行きましょうかね。

居眠りはしたけれど、岡本太郎の金言はわりと心に残ります。そして「でたらめ」であることが時には大切だということも。気を張ってばかりじゃなくて、でたらめに生きてみよう。他人様には迷惑をかけない程度に(笑)。

5回目の『F1/エフワン』と2回目の『バレリーナ:The World of John Wick』

仕事帰りにシュッと寄れる劇場では本当に観るものがなくて。『F1/エフワン』なんてまだまだ客が入りそうだったのに、追いやってくれちゃった『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が恨めしいと思っていたところ、109シネマズ大阪エキスポシティで1週間限定の再上映。

1回目は同劇場でIMAXレーザーGT版を観て、2回目は109シネマズ箕面でScreenX版3回目は109シネマズ大阪エキスポシティで4DX2D版4回目はシアタス心斎橋のグランシアターで鑑賞しました。5回目は1回目と同じくIMAXレーザーGT版。平日の晩1回のみの上映で連日大入り、ほぼ満員。私と同じく上映終了を寂しく思っていた人が多いんだと思うと、嬉しくて涙が出そうになります。

何度観てもオープニングからテンションが上がる。ハンス・ジマーの音楽が本当に良いし、クイーン“We Will Rock You”がかかるシーンなんかはさらに気分が高揚。もしかすると36回観た『トップガン マーヴェリック』(2022)よりも私はこっちのほうが好きかもしれないと思うほど。

以前にも書いたことがありますが、日本人俳優って、笑うのがあまり上手でない人が多いような気がします。泣くのはみんな上手い。でも私たちだって、たぶん泣きマネはできるけど、心底笑っているふりをするのは難しい。すぐバレる。人の不幸には共感しやすいけれど、人の幸せを一緒に喜ぶのは嫉妬も絡んだりして簡単ではないということもあるのかなと思います。それを思えば、このブラピの笑顔は凄い。優しい笑顔のときもあれば、阿呆みたいな笑い方のときもあって、でもどれも演技という感じがしないんです。ジョシュアとソニーが映る写真のアホ面にはいつも笑ってしまう。ジョシュアがいとこから「あのチャック・ノリスに勝てよ」と言われているのも可笑しい。

客がめちゃめちゃ入っているから、もしや1週間限定の再上映が延長になるかもしれないと思っていたら、はい、そのとおり。ただし、今度は上映終了時刻が24:00という回のみで、さて、客入りはどうなるでしょう。きっとそれでも入ると思う。もういっぺん観に行こう。(^o^)

さて、これだけ観たら帰ってもよかったのですが、ららぽーとEXPOCITYの営業終了時間と重なると出庫に時間がかかる。で、ついでにもう1本観て帰ることにして、2回目の『バレリーナ:The World of John Wick』。1回目は通常版で今回は4DX2D版。洋画は字幕で観る派とはいうものの、字幕版は鑑賞済みだから吹替版を観たかったのに、字幕版しか上映していません。どんな作品でもたいてい客のよく入る4DX2Dだけど、時間が遅いこともあってか客は私を含めて3人のみ。たぶんあとのおふたりは初見でしょう。私のようにこんな短期間に2回目を観に来る奴はそうそういない(笑)。

劇場ではいつも靴を脱いで座席に体操座りをして観ていますが、4DX2Dシアターの座席は動くから、そんな体勢で観たことはありませんでした。今回は客も少ないし、疲れているし、いつもと同じ体勢で観ようと靴を脱いだら、あらら、座席が動くたびにずり落ちそうになります。隣2つ向こうの座席の「水噴射」のスイッチも切ってやったけれど、それでも水って飛んでくるのね。しかもやっぱりエアコン効き過ぎで寒い。上着を着込んでもまだ寒くて凍え死にしそう。このシアターで半袖でいられる人って何!?と思いました。

はい、こちらも2回目でも面白かったです。新たな発見は何もないけれど。観るものがなくなったらまた観てもいいぐらい面白いです。

『リンダ リンダ リンダ』【4K】

『リンダ リンダ リンダ』
監督:山下敦弘
出演:ペ・ドゥナ,前田亜季,香椎由宇,関根史織,三村恭代,湯川潮音,山崎優子,甲本雅裕,松山ケンイチ,小林且弥,小出恵介,三浦哲郁,三浦誠己,りりィ,藤井かほり,浜上竜也,山本浩司,山本剛史,近藤公園,ピエール瀧他

芦屋でランチしてべろべろに酔っぱらった後、朝イチで『パルテノペ ナポリの宝石』を観た大阪ステーションシティシネマに戻り、2005年製作の本作を観ました。2005年当時、『バカのハコ船』(2002)や『リアリズムの宿』(2003)を観て山下敦弘監督のことを面白い作品を撮る人だなぁと思っていました。なのにそれよりもずっと話題になった本作はなぜか観ていなかったのです。20年経った今、再上映してくれて嬉しい。

芝崎高校軽音楽部。高校生活最後の文化祭を3日後に控えて途方に暮れる女子3名。もとは5名だったのだが、ギター担当者が指を骨折したことに端を発してメンバーが決裂。ギターとボーカルがバンドを抜け、残ったのはドラムの響子(前田亜季)、キーボードの恵(香椎由宇)、ベースの望(関根史織)。そんなとき、偶然耳にしたブルーハーツの“リンダ リンダ”。これなら3人しかいなくても演奏できるんじゃないだろうか。そこをたまたま通りかかった韓国人留学生ソン(ペ・ドゥナ)に声をかけ、ボーカルに抜擢。ギターは必須だから、キーボード担当だった恵がやむを得ずギターを弾くことに。こうして誕生した急造バンドは、本番に向けて猛練習を開始する。

韓国から来てなかなか周囲になじめずにいたソンが恵から突然声をかけられてふたつ返事で引き受けるところに笑う。ソンには何でも適当に返事をしてしまうところがあって、このときも深く考えずにした返事。けれど終盤、恵に「ありがとね。バンドに誘ってくれて」と言うシーンを見れば、やっぱり嬉しかったのだろうなぁと思います。青春って素敵だなと思わずにはいられない。

この4人ももちろん今でも活躍中ですが、それよりもむしろ脇役だった男子たちが成長して俳優としていま活躍しているのが興味深い。響子が片想い中の一也を演じる小林且弥『水平線』(2023)で俳優としてのみならず監督デビューを果たし、ソンに好意を寄せる裕作役の松山ケンイチの売れっ子ぶりについては言わずもがな。恵の元カレ役が三浦誠己で、小出恵介ピエール瀧はいろいろあったけど復活していますし。今の彼らを知っていれば、かつての彼らを見られるのはうんと楽しいものですね。あ、周知の事実でしょうが、ブルーハーツの甲本ヒロトの実弟である甲本雅裕の先生役もとても良い。

カラオケ店が出てくるのは同監督の『カラオケ行こ!』(2023)の伏線かしらと思っちゃいませんか(笑)。

『パルテノペ ナポリの宝石』

『パルテノペ ナポリの宝石』(原題:Parthenope)
監督:パオロ・ソレンティーノ
出演:チェレステ・ダッラ・ポルタ,ステファニア・サンドレッリ,ゲイリー・オールドマン,シルヴィオ・オルランド,ルイーザ・ラニエリ,ペッペ・ランツェッタ,イザベラ・フェラーリ,ロレンツォ・グレイジェセス,ダニエレ・リエンツォ,ダリオ・アイタ他

友人とナポリ料理のお店でランチする約束をしていた日曜日、その前に映画を1本観られるのではないかと思い、あちこちの劇場スケジュールを調べてみたら、おおっ、うってつけの作品があるじゃあないか。ナポリを舞台にした本作に即決して、大阪ステーションシティシネマで8:45からの回を予約しました。

監督はまさにそのナポリ出身のパオロ・ソレンティーノ。イタリアの巨匠と言われていますが、私の中では巨匠って80歳ぐらいの爺さんのイメージ。ソレンティーノ監督はまだ50代なかばです。監督作だってそれほど多くないですしね。巨匠とか名匠って、いつどの時点で呼ばれるようになるのかしらん。

1950年の南イタリア・ナポリ。裕福な家庭に長女として生まれた娘はパルテノペと名づけられる。パルテノペとはもとはギリシャ神話に登場する人魚の名前で、ナポリの街を意味する言葉。長男のライモンドはパルテノペの誕生をほかの家族と共に見守り、妹にこのうえない愛情を抱いている。パルテノペと幼なじみのサンドリーノ、そしてライモンドは共に楽しい子ども時代を過ごし、美しく成長するパルテノペを女神と崇めて見守る。勉学も好むパルテノペは聡明さでも人々を魅了。大学では人類学を専攻し、試験の審査に当たる教授たちをも舌を巻く解答をしてみせる。

ある夏、ライモンドはパルテノペとサンドリーノをカプリへ行こうと誘う。パルテノペが歩けばその美貌に誰もが目を奪われて注目の的。プールサイドで声をかけてきたのが彼女の憧れの作家ジョン・チーヴァーだとわかり、パルテノペは興奮。ジョンについて行くが、その様子をヘリコプターで上空から見つめていた富豪も彼女を誘おうと必死。こんなふうにモテまくりのパルテノペを見るにつけ、どうしてよいかわからないライモンドとサンドリーノ。特にライモンドの苦悩は深まるばかりで、ついに海に身を投げてしまうのだが……。

ソレンティーノ監督の年齢を知ったのは鑑賞後でした。だから、もっとジジイだと思っていて。オープニング、ビーチや街で映し出されるセクシーな美女やマッチョなイケメンに、ジジイの妄想丸出しやなと思いました(笑)。ところが、ソレンティーノ監督はまだ若かった。そもそも1950年って、監督はまだ生まれてもいないじゃあないですか。最初はそんな感じで好意的に観ることはできなかったのですけれど、それでも風光明媚なナポリを眺めるのはそれだけで楽しいなと思っていたら、話はジジイの妄想ではなくなってゆきます。

パルテノペ役のチェレステ・ダッラ・ポルタはこれが映画デビューだそうで。大抜擢。確かに美しい。ただ、クールビューティーという感じではなく、誰にでもニッコリ微笑んで思わせぶりな態度を取るから罪。みんな骨抜きにされちゃうんです。こんな女性が裸に近いような服を着て歩いていても襲われないんだろうかと心配になるけれど、そうはならないのはナポリだからなんですか。知らんけど。

普通に終わるのかと思ったら、終盤度肝を抜かれるシーンがあります。教授の息子、それ!? 塩と水でできている? 彼を見ても驚かず、「美しい」と微笑むパルテノペは只者ではない。だからこそ教授は息子をパルテノペに紹介したのでしょうね。このパルテノペの感覚は素敵だと思いました。

近親相姦的な雰囲気や、ゲイなのかゲイじゃないのかという雰囲気が印象に残ります。パルテノペ同様に思わせぶりな作品。退屈はしません。これだけ美しければ、何でもいい。

『大統領暗殺裁判 16日間の真実』

『大統領暗殺裁判 16日間の真実』(英題:Land of Happiness)
監督:チュ・チャンミン
出演:チョ・ジョンソク,イ・ソンギュン,ユ・ジェミョン,ウー・ヒョン,イ・ウォンジョン,チョン・ベス,ソン・ヨンギュ,チェ・ウォニョン,カン・マルグム,パク・フン,イ・ヒョンギュン,チン・ギジュ,ユ・ソンジュ,キム・パブレ他

に面会するため老健に寄り、そのまま車で大阪市内へと向かう。この日の最終目的地はなんばグランド花月だったから、新喜劇を観る前にTOHOシネマズなんばかなんばパークスシネマで何か映画を観たいと思っていました。しかし『隣のステラ』『バレリーナ The World of John Wick』は封切り日だった前日にすでに鑑賞済みで、相変わらず『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』『国宝』が席巻中のなんばでは観るものがない。で、駐車場代がバカにならんなぁと思いつつ、途中梅田スカイビルに入庫してテアトル梅田でこれ1本だけ観たのでした。

『KCIA 南山の部長たち』(2020)や『ソウルの春』(2023)でも描かれたパク・チョンヒ暗殺事件。こうも何度も同じ事件を取り上げて映画化しなくてもいいのではと思うのですが、それだけこの事件が衝撃的だったということですよね。「またぁ!?」と思いつつ観に行ったのに、結局私も居眠りする隙なんて一瞬たりともないまま最後まで。監督は『王になった男』(2012)のチュ・チャンミン。

1979年10月26日、独裁者と言われていた韓国大統領パク・チョンヒが暗殺される。犯人として逮捕され起訴されたのは、韓国中央情報部部長以下7名。民主主義のために闘おうとした彼らを見殺しにしてはならないと弁護団が結成されるが、中央情報部部長随行秘書官パク・テジュ(イ・ソンギュン)のみ弁護人が見つからない。なぜならテジュは7名のうち唯一の現役軍人だから。ほかの6名が三審制で裁かれるのに対して、テジュについては軍法に則った単審となるのだ。弁護団は彼の弁護を引き受ける者を手を尽くして探す。ようやく引き受けることになったのは、「裁判は善悪を決めるものではなく、勝つか負けるか」と言ってはばからないチョン・インフ(チョ・ジョンソク)で……。

軍法に則った裁判では確実に不利になるから、インフはなんとか方法を見つけてテジュにも三審制の裁判を受けさせようとしるのに、自分は軍人だから軍人として裁きを受けると言ってテジュは聞きません。寡黙で実直、上からも下からも軍人の鏡と言われていた彼にインフは自らの父親の姿を重ねます。インフの父親は牧師で、罪なき学生がアカ扱いされているのを見過ごせずに匿い、投獄されました。拷問を受けても屈することなく、学生たちをアカだとは決して言わなかった父親。そのせいで家族がつらい思いをしても主張を変えなかった父親。いまテジュの妻子も同じような目に遭っているのに、嘘はつけないと言うテジュ。

同事件を描いたなかでもいちばん柔らかめというのか、笑えるシーンが多々あります。それだけに最後は心が削り取られるよう。テジュを演じたイ・ソンギュンのこれが遺作となりました。エンドロール後の「彼を忘れない」という追悼句にも涙が出そうになります。

独裁者でも崇拝する人が多いのはなぜですか。独裁者につく人なんて、みんなすぐに寝返りそうな人ばっかりじゃないかと思ってしまうのですけれど。