『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』(原題:A Big Bold Beautiful Journey)
監督:コゴナダ
出演:コリン・ファレル,マーゴット・ロビー,ケヴィン・クライン,フィービー・ウォーラー=ブリッジ,リリー・レーブ,ハミッシュ・リンクレイター,ジェニファー・グラント,サラ・ガドン,ビリー・マグヌッセン他
さて、ここからしばらくは旧年中に観た作品。「今年観た映画50音順」を始めてから中断していた分を順番にUPします。TOHOシネマズ伊丹で観た2本ハシゴの1本目。
『コロンバス』(2017)のコゴナダ監督がコリン・ファレルとマーゴット・ロビーを主演に起用したファンタジー。かつて悪童と呼ばれていたコリン・ファレルも今年還暦。すっかり落ち着いたオッサンになりました。マーゴット・ロビーは“バービー”や“ハーレイ・クイン”のせいでちょっとキワモノ的なイメージすらありますが、美人ですよねぇ。キャストを見たときに「おっ!」と思ったのはケヴィン・クライン。一回り以上年下のフィービー・ケイツと結婚して話題になったのが1989年のこと。出産を機に女優業を辞めたフィービーを見て、まるで三浦友和と山口百恵だなと思ったものです。
友人の結婚式に出席するために家を出たデヴィッドは、路駐していた車がタイヤロックされているのを見て唖然。しかも雨が降り出して途方に暮れる。そんなとき、車のすぐそばにレンタカー屋のチラシを見つけ、藁をも掴む思いで電話をかける。訪れたレンタカー屋は見るからに怪しげな建物の中。まるで面接官かのように座る男女から、レンタカーはえらく古い1994年の車“サターン”であると告げられる。カーナビが必要かどうかを聞かれて、携帯があるから不要だと返答すると、携帯はいつ何時こわれるかわからないとしつこく言われ、結局カーナビを付けてもらうはめに。ようやく結婚式会場へと出発する。参列者はほとんどみんな連れ合いのいるなか、デヴィッドと同じくひとりで来ていたのがサラ。新郎新婦から紹介されて挨拶は交わしたものの、話が弾むこともなくその日は別れる。
翌朝、サターンに乗車、カーナビから「旅に出たいか」と問われて頷くと、最初はファストフード店に行ってハンバーガーを食べるように指示される。たどり着いたバーガーキングではサラがやはりチーズバーガーを頬張っていた。退店してびっくり、サラもあのレンタカー屋で借りたらしく、店の前には2台のサターンが停まっている。各々の車に乗り込むが、サラの車にエンジンがかからない。すると、カーナビは「サラを乗せるように」と指示してくる。こうしてふたりは一緒に旅をすることになるのだが……。
次々と到着する「目的地」。そこには不思議なドアがあり、ドアを通り抜けた先にはデヴィッドとサラそれぞれの人生のターニングポイントとなったかつての日。高校生だったデヴィッドが告白してフラれた日や、サラの母親が誰にも看取られることなく亡くなった日、それに婚約者と別れた日などなど。相対する人たちにはデヴィッドやサラがその頃の年齢のまま映っています。
いちばん戻りたい日っていつですか。それがいちばん戻りたくない日であったりもするかもしれません。すごく惨めだったり悲しかったりして。そのときに戻れたとしても人生はやり直せないわけですが、もう一度そのときの自分と向き合えるならば戻ってみるのもいいかも。これはやり直しの話ではなくて、あの頃を振り返って逃げずに向き合ったうえでこれからの生き方を決める話。前向きに。
ミュージカルの場面などは楽しかったし、イケメンと美人を見られる分、『エディントンへようこそ』(2025)なんかを観ているよりはずっとよかったけれど、作品としてはインパクトに欠けます。美しいシーンが多いから大画面で観たのは正解だったということで。
好きだった映画、嫌いだった映画〈2025年〉
2025年に劇場鑑賞した作品は418本、配信やDVD鑑賞した作品は50本で、合計468本。2024年までに人生6度の300本超を記録していますが、400本超は初めて。各月の劇場鑑賞本数は、1月35本、2月34本、3月37本、4月33本、5月39本、6月37本、7月38本、8月34本、9月30本、10月33本、11月36本、12月32本。配信またはDVD鑑賞した作品については「今年観た映画50音順」で昨日までにつぶやいたので、ここに挙げるのは劇場鑑賞した作品について。
ベストよりもワーストのほうが簡単なので、ワーストを先に。意味不明だった、不快感全開だった、気持ち悪いだけだった、退屈すぎた、時間と金を返してと思うほどの作品はそんなにないけれど、これは返してと言いたい。そんな5本。
『SKINAMARINK/スキナマリンク』
『あの歌を憶えている』
『ガラ』
『メガロポリス』
『サッパルー!街を騒がす幽霊が元カノだった件』
ベストのほうは順位をつけるなんて無理だから、好きだった作品を観た日付順に20本。万人受けしない作品もあるので、皆さんにお薦めできそうな作品ばかりではありません。ただただ私が好きだったというだけ。
『盗月者 トウゲツシャ』
『サンセット・サンライズ』
『ファーストキス 1ST KISS』←6回観ました。
『愛を耕すひと』
『ブルータリスト』
『デュオ 1/2のピアニスト』
『アンジェントルメン』
『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』
『年少日記』
『雪子 a.k.a.』
『F1/エフワン』←これも6回観ました。
『罪人たち』
『愛されなくても別に』
『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』
『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』
『バード ここから羽ばたく』
『ブラックドッグ』
『ハンサム・ガイズ』
『秒速5センチメートル』
『ブレイカウェイ』
アニメで好きだったのは次の6本。
『Flow』
『ヨウゼン』
『ナタ 魔童の大暴れ』
『ひゃくえむ。』
『ホウセンカ』
『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』
2025年いちばんの話題作『国宝』ももちろん良かったけれど、あえて私のベストには入れません。私にとっての2025年の「この人」も、吉沢亮と横浜流星(顔も演技もふたりとも大好きだけど)よりも、松村北斗とブラピです。
以下つらつらと書いてみると、『ブレイカウェイ』と共にマッツ・ミケルセン生誕60周年祭で上映された『アダムズ・アップル』と『メン&チキン』も面白かったなぁ。変態すぎて普通の人には鑑賞を勧められませんけれども。変態といえば、『サブスタンス』と『愛はステロイド』のオチがかぶっていて強烈。後者はそのオチまではベスト入りさせたいぐらい好きでした。あのジャイアント化がなければ(笑)。変わった環境の中で観たという点で面白かったのは『The 4 Rascals』。好きだったわけではないけれど、痛々しくて忘れられそうにないのは『盲山』と『スノードロップ』。観た直後はなんとも思わなかったのに、日が経つに連れてじわじわと心に沁みてきて今もよく思い出す『プレゼンス 存在』なんて作品もあります。VR用のヘッドセットを装着しての鑑賞を初めて体験した『CHA EUN-WOO VR CONCERT : MEMORIES』も忘れがたい。だってチャウヌめっちゃ可愛かったから(笑)。『大統領暗殺裁判 16日間の真実』のイ・ソンギュンがもうこの世にいないのが本当に寂しいです。韓国作品は去年も本当によく観ました。ハマった韓ドラは『埋もれた心』でしたね。
一方、これだけ映画に時間を費やしたせいで、本を読む時間は激減。弟が癌だとわかったときにスマホを持ったのも影響ありすぎ。おかげでそれまでは本を読んでいた時間がスマホを触っている時間になってしまいました。2025年いちばん心に残った本は凪良ゆうの『汝、星のごとく』と『星を編む』。横浜流星と広瀬すずの共演で映画化、今秋公開予定です。2冊の内容を盛り込んだ映画になるのか、前者だけの話になるのか楽しみです。正直言って広瀬すずってどうなん!?と思ってはいますが、藤井道人監督が決めたキャストなら信じます。
今年もおつきあいのほどよろしくお願い申し上げます。
2025年12月に読んだ本
2025年12月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2196ページ
ナイス数:619ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2025/12
■爆弾 (講談社文庫 こ 90-6)
原作を先に読了していた場合のみ、【再読ではなくて映画版を観たので】として映画の感想をこちらに書き込んでいます。本作は先に映画版を観たため、いつもの私のルールに倣えば映画の感想は書かないケース。だけどあまりに原作に忠実で、読んでいる間すべてのシーンが映画に脳内変換されました。日頃から原作と映画は別物と考えるようにはしているものの、目が点になるような改変があるとがっかりすることも多い。その点、本作は佐藤二朗は当て書きされたのかと思うほどそのまんま。山田裕貴と染谷将太もよかった。って、結局映画の感想になっとる。
読了日:12月07日 著者:呉 勝浩
https://bookmeter.com/books/22004329
■凶変 警視庁異能処理班ミカヅチ (講談社タイガ ナ-B 18)
前作で結構な佳境に入っていると思っていたけれど、本作こそ佳境ど真ん中でしょうか。どんどん悪魔化してゆく赤バッジ。なのに妹のことを心配している様子には泣けてきます。怜がすっかり逞しくなっちゃって。チームとしての結束力が高まってきて目が離せません。今回いちばん驚いたのは、私の勤務先の名前がそのまんま出てきたことです。最初は「おおっ」とウキウキしていたのですが、その後すぐに雲行きが怪しくなって館長の首がぶった切られる展開に。四天王の一尊だったのなら光栄と思うべきか。あー、びっくりした(笑)。みんなに教えよっと。
読了日:12月14日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/22956557
■有罪、とAIは告げた (小学館文庫 な 33-4)
“静おばあちゃん”シリーズを読んでいた頃、この賢く可愛い孫娘もそのうち主人公になって登場しますようにと願っていました。彼女もこうして裁判官になったのだなぁと思うと感慨深い。父親を殺した罪に問われている18歳の少年。誰かをかばっているとしたら弟しかいないから、七里センセのわりには驚かないオチ。けれど本作はそこよりもAIに裁判を任せるのがありかどうかの話。来月公開のクリス・プラットとレベッカ・ファーガソン主演の『MERCY/マーシー AI裁判』の予告編が劇場で流れ始めています。本作とどう違うのか楽しみです。
読了日:12月18日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/22983603
■兄の終い (CEMH文庫 む 01)
映画版のタイトルとは違うのねと思いながら読みはじめました。『兄を持ち運べるサイズに』というフレーズは序盤に登場。上手くこれを拾って映画のタイトルにしたものだなぁと思います。映画も原作も最初はこの兄のクズっぷりに嫌悪感すら抱く。部屋の様子を見れば、息子をちゃんと育てていたのかどうかすら疑わしい。けれど息子の表情や別れた妻子が彼について語る言葉からは破天荒ながらも楽しませてくれる人だったのかと思わなくもない。原作そのままのようでありつつファンタジーの要素を含めた中野量太監督の映画版、とてもよかったです。
読了日:12月20日 著者:村井理子
https://bookmeter.com/books/22840519
■赤い月、廃駅の上に (角川文庫)
どうやら酔っぱらった状態で読んではいけない作品だったようです。飲酒後の帰り道、電車の中で読んでいたはずが、摩訶不思議な世界に引きずり込まれ、頁をめくりつつも訳がわからなくなっていました。酔っぱらっていたらどれを読んでもそうなるか(笑)。奇しくも私が乗車したのは地下鉄御堂筋線と北大阪急行。読みながらまさにその駅を通って帰ったから、出てきた駅名だけははっきりと頭に残っています。そのほかの話も「三途の川を渡る列車の運転が荒かったら嫌やなぁ」などと思ったことだけは覚えていて、薄気味の悪い寝起き。途中下車はしない。
読了日:12月25日 著者:有栖川 有栖
https://bookmeter.com/books/5310066
■SOUL 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花 (角川ホラー文庫)
内藤了の新刊2冊のうちどちらを先に読むか迷い、“藤堂比奈子”シリーズのスピンオフよりも進行中のこちらを優先することに。殺人をまったく後悔していない様子の死刑囚が告白する別の殺人。調査を進めたところで時効が成立している昔の話。告白が本当だったとしても今更どうなるというのかと思う清花に班長がかけた言葉が心に残ります。この仕事、損得で考えるようになったら終わりだと。もしかするとそれはいろんな場面で思い出さなければならない言葉なのかなと思う。人生すべてが嘘だった人なんていない。千にひとつでも本当のことがあるはず。
読了日:12月28日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/23023409
■越境刑事 (PHP文芸文庫)
内藤了と中山七里だけはどんだけのスピードで書いてるねんといつも思う。いくつものシリーズを同時進行して、好きなシリーズの新刊がなかなか出ない間も何かしら読むものが用意されていますよねぇ。このシリーズもそうだけど、アマゾネス高頭はそこらじゅうで見かけるから久しぶりな気がしない。巷で話題になっている事件を取り込むのが上手い七里センセ。今回はウイグル族弾圧をテーマにするなんて、あなたこそが公安に目をつけられそうです。拷問のシーンは特に女性は目を伏せたくなる描写。部下の郡山の信頼度がダダ上がり。これからも死ぬなよ。
読了日:12月30日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/22848631
今年観た映画50音順〈わ行〉
《わ》
『私たちは天国には行けないけど、愛することはできる』(英題:No Heaven, But Love)
2024年の韓国作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
母子家庭に育つ女子高生ジュヨン(パク・スヨン)はテコンドー部に所属。階級を上げるために短期間での増量をコーチから命じられて困っている。実はジュヨンが階級を上げることになったのは、同階級の親友ソンヒ(シン・ギファン)を国家代表にするべくソンヒの親がコーチに裏金を渡して個人指導を頼んでいたから。しかも階級を上げた試合ではコーチに八百長試合を指示され、憤ったジュヨンは退部する。ちょうどその頃、少年院上がりの少女イェジ(イ・ユミ)を家で預かることになり、同い年のジュヨンとイェジは自分たちの間にある感情が単なる好意ではなく愛であることに気づく。ふたりで過ごす時間にこれ以上にない幸せを感じるジュヨン。一方、ソンヒはコーチから性的虐待を受け続けていた。自殺を図ったソンヒの力になりたいと警察に通報するも、学校も警察もコーチの味方で……。
彼女たちがスマホではなくてポケベルを使用していることから、時代は今よりかなり前だということがわかります。鑑賞後に知ったのは、1999年が舞台とのこと。スポーツ選手が指導者から性的虐待を受けている話はつらい。国家代表のスポーツ選手になることが社会的には大切で、そのためならいくらでも金を積もうとする親や、そういう親を持ち上げる教師たちの姿にも反吐が出そう。彼女たちに幸せになってほしいと切に願います。
《を》《ん》
なし。
今年もおつきあいをありがとうございました。
どうぞ良い年をお迎えください。また明日、新年に。(^^)
今年観た映画50音順〈ら行〉
《ら》
『ランサム 非公式作戦』(英題:Ransomed)
2023年の韓国作品。今はなきシネマート心斎橋で観損ねた作品です。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
1980年代、内戦下のレバノンで実際に起きた韓国人外交官誘拐事件を基にしたフィクション。監督は『最後まで行く』(2014)、『トンネル 闇に鎖された男』(2016)のキム・ソンフン。
外交官イ・ミンジュン(ハ・ジョンウ)は米国駐在を志望していたのに、ソウル大卒の後輩にそれを持って行かれ、自身は外務部の中東担当に回されてがっかり。ある晩、退出しようとしたさいに受けた電話から外交官しか知らない暗号が聞こえてくる。それは2年前にベイルートで拉致されたままのオ・ジェソク(イム・ヒョングク)からの発信だった。ミンジュンは米国駐在を条件に外務部長官(キム・ジョンス)に派遣を直訴。外務部と犬猿の仲の安全企画部を出し抜きたい長官はそれを飲む。現地入りしたミンジュンだったが、ベイルートでは誰も信用ならない。早速空港でも危険に見舞われ、飛び乗ったタクシーの運転手が韓国人キム・パンス(チュ・ジフン)で……。
『極限境界線 救出までの18日間』(2023)と似た話。本作のオ・ジェソクは日本人と間違われて誘拐され、間違いなら解放すればよいものを、そのまま拉致されて酷い日々を送らされていたという不運。交渉するにはCIAやらスイスの実業家やら、あらゆる方面で用意することが必要です。ミンジュンとパンスのやりとりが最高で、韓国作品の面白さを再認識。
《り》
『リトル・シベリア』(原題:Pikku-Siperia)
2023年のフィンランド作品。Netflixにて配信。
フィンランドの田舎町リトル・シベリア。元ラリー選手だったタールヴァイネンが自殺するつもりで雪道を失踪中、突然堕ちてきた隕石が車の屋根を破って車内へ。そのおかげでタールヴァイネンが自殺を遂げられなくなったが、隕石の価値は100万ユーロらしく、町は大騒ぎに。自分のものだと主張するタールヴァイネンから隕石は取り上げられ、博物館に展示されることになる。一方、牧師ヨエルとその妻クリスタは隕石墜落の日に妊活に励んでいたところ、クリスタの妊娠がわかる。しかしヨエルはアフガニスタンに出征したときに被爆したせいで生殖能力がなくなってしまったことをクリスタに打ち明けられずにいた。クリスタの浮気を疑うヨエルは、ひそかに相手を探しはじめると同時に、不眠症に陥って夜間の隕石の見張りを請け負うのだが……。
『トム・オブ・フィンランド』(2017)のドメ・カルコスキ監督の作品。北欧の映画は結構好きだけど、ヨヘルの顔とヨヘルに相談にやってくる住人の顔が似すぎていて困りました(笑)。もっと緩い作品を期待していたら、隕石を狙う者が現れてかなり痛々しい。そんな輩とヨヘルがしょっちゅうやり合うはめに陥って毎度血まみれに。しかも血まみれの上着そのまま毎日過ごすって、服1着しかないんかい。結局、妊娠は隕石の日の奇跡で浮気相手はいません。なくなった隕石の行方を知るのはヨルヘとクリスタのみで、趣味にダイビングを始めるというオチは好き。
《る》
『ルツ&ボアズ』(原題:Ruth & Boaz)
2025年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
ルツとブリアナはジョージア州アトランタのクラブで活躍中の女性2人組ヒップホップアーティスト。メジャーデビューして売れるに売れることが予想される段になって、これは自分が歌いたかったものではないと感じていたルツは、マネージャーのサイラスに辞めると宣言。多額の契約金を手に入れるつもりだったサイラスは激怒し、ルツの恋人マローンとその父親イーライを強盗事件と見せかけて殺すと、次はマローンの母親ナオミの心配をするがいいとルツにつぶやく。夫と息子を一度に失って悲嘆するナオミがテネシー州ペグラムに帰郷すると聞き、ルツはナオミのそばにいるためについて行く。なかなか仕事を見つけられずにいたところ、ワイナリーで葡萄を収穫する仕事があると知り、やってみるしかない。ワイナリーを父親だった先代から受け継いだ経営者ボアズはルツを一目見る気に入り、ボアズを子ども時代から知るナオミも、ルツが息子の恋人だったことを忘れてついついふたりの恋を応援するのだが……。
旧約聖書の『ルツ記』がモチーフになっているのだそうですが、現代のフツーの話です。歌手が畑違いの仕事に就いて、それでも真面目に勤しむうち、さまざまな幸運がもたらされます。ボアズがベビーフェイスと知り合いなんですよね。ベビーフェイスに紹介してもらって一気に歌手への道が拓きます。黒人にワインが造れるわけがないという偏見を吹き飛ばすのも面白いところ。上手く行きかけたところにサイラスが登場するのは予想どおり。ハッピーエンドも予想どおり。後味の良い作品です。
《れ》
『霊薬』(原題:The Elixir)
2025年のインドネシア作品。Netflixにて配信。
業績不振に陥る製薬会社ワニワラスの社長サディミンから招集をかけられた親族一同。てっきり他社と合併してサディミンは引退する話を聞かされるのだと思っていたが、姿を現したサディミンは髪の毛フサフサお肌ツルツルでやたら若返っている。満面の笑みを浮かべて彼が言うには、永遠の若さを保てる新薬の開発に成功したから、会社はこのまま継続すると。ところがその後すぐにサディミンは血を吐いて倒れ、ゾンビとして蘇る。噛みつかれた使用人たちもゾンビ化し、サディミンの長男バンバン、長女ケネスとその夫ルディおよび幼い息子ライハン、サディミンの後妻でかつてはケネスの親友だったカリナがなんとか邸から脱出。しかし、邸の外にもゾンビが大量発生して、村は阿鼻叫喚の様相を呈していた。逃げ惑ううちにバンバンとケネス、ルディとライハンとカリナの二手に分かれてしまい、前者は地元のワニレッジョ警察署へ、後者は民家へとたどり着いてそれぞれ身を潜める。その民家の住人ニンシーの恋人がたまたまワニレッジョ勤務の警察官ラフマン。それぞれを心配しながら連絡を取り合っていたが、ルディもゾンビに噛まれて……。
この手のB級作品で116分は長い。中だるみもあるけれど、インドネシアのゾンビ映画を観る機会はなかなかないと思われ、この機会に観ておくのもいいのではないでしょうか。エンドロールでは、村のこのような状況など知らずに都会でサディミンからの連絡を待つタワマン暮らしの夫婦の姿。あの新薬が映し出されて、あら、次の舞台は都会なのね。楽しそう(笑)。
《ろ》
『ロイヤル・ネイビー 全滅地帯』(原題:Sunray: Fallen Soldier)
2024年のイギリス作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。日本では“未体験ゾーンの映画たち 2025”にて上映。
元エリート海兵隊員アンディは仕事柄家を空けがちだったが、一人娘のレイチェルは父親の仕事を理解し尊敬していた。アンディの言いつけを守ってレイチェルは麻薬には絶対に手を出さなかったのに、恋人のキャッシュと出かけた晩、キャッシュが不在にしている間にほかの女性たちから勧められてノリで麻薬を吸ってしまう。するとすぐに過剰摂取反応を起こし、泡を吹いて死亡。アンディはレイチェルを死に至らしめたのはキャッシュに違いないと考え、まだ会ったことのないキャッシュを探しはじめる。一方のキャッシュがレイチェル死亡を知ったのは葬儀の後。キャッシュの父親は犯罪組織のトップで、キャッシュに自分の後を継がせるべく麻薬取引にも関わらせていたが、キャッシュは決してレイチェルに麻薬を渡そうとはしなかった。しかしそんなことを知る由もないアンディは麻薬に関わる輩を激しく憎み、キャッシュのいそうな場所を探してはその場にいる者たちを殺してゆく。アンディのチームだった海兵隊員たちもそれに協力するのだが……。
かなり酷い作品でした(笑)。最初に出てきたのは間抜けな男たちだったから、こいつらが主人公のコメディかと思ったら、こいつら速攻で殺される。殺すほうが主役のアンディだったわけですが、話がぶつ切りで破綻しています。麻薬を吸っていそうな者が集う場へ乗り込んで皆殺しにして行くって、その死体はどうするんだ。引退した海兵隊員がここまでできるものですか。こんな神妙な顔をして行為を正当化されても。チームの面々はそれなりに格好いいけれど、邦題とまるで合っていません。劇場で観ても面白くなかったでしょうが、大画面のほうがまだよかったかなと思う。





