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2025年9月に読んだ本

2025年9月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1588ページ
ナイス数:659ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2025/9

■ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】公開初日の昨日鑑賞。読んだときのことを驚くほど忘れていて、ただ「ここまでコロナに寄せるんだ東野圭吾」と思ったことと、東野作品の中ではあまり好きではなかったことだけを覚えていました。それを思えば、この映画版はコロナがうっすら背景にある程度です。胡散臭いマジシャン役に福山雅治を起用したことで一気に華やかになり、映像としての見せ場がたくさん。犯人が誰なのかも忘れていたから、存分に楽しんで観ることができました。ここまで映像向きの作品だとは思いもよらず。田中亮監督、ナイス。
読了日:09月13日 著者:東野 圭吾
https://bookmeter.com/books/16909684

■火之神の奉り
映画館通いに明け暮れて本をまったく読めないまま今月も半ばに。内藤さんの新シリーズは現在進行中のどのシリーズとも趣が異なる。あらすじを読んだときは時代物に若干の苦手意識がある私にはツライかもと思いましたが、なんと面白い。そのせいで丁寧に読みたくて2週間もかかっちまったのですけれども。どのシリーズとも異なると言ったけど、憑童の主人公・江姫の存在は『よろず建物因縁帳』の春菜に近いか。悪鬼が眠る土地の人々を救うために舞う江姫。最後の立ち回りはアニメ向きかもしれません。彼女のまわりはイケメンだらけのようだし(笑)。
読了日:09月16日 著者:内藤了
https://bookmeter.com/books/22732418

■8番出口
この人の著作を読んだときはいつも感想に困る。それはこの人の監督作を観たときも同じこと。特に面白いとは思わないし、好きでもない。でも売れる。物凄く売れる。プロデューサーとして十分お稼ぎなんだから、自ら本を書いたり映画を撮ったりしなくてもよろしいんじゃないですかというやっかみがあることを感じて自己嫌悪に陥ります(笑)。本作を読んでも同じで、このページ数といい、黄色く塗られた文字といい、手に取りやすくて関心をひくお手本のよう。そしてぶつくさ思いながらも楽しませられ、ちょっとした感動もある。結局上手い。妬ましい。
読了日:09月20日 著者:川村元気
https://bookmeter.com/books/22662794

■警視庁地下割烹 取調室のカツ丼 (角川文庫)
“鍋奉行犯科帳”シリーズは結構好きで読んでいました。食べ物を絡めた話には目がないし、いそいそと読み始めたのですけれど。警視庁の地下に存在する部署って、まるで内藤了の“警視庁異能処理班ミカヅチ”シリーズのようですよね。期待に胸が膨らんだものの、どんなダジャレだらけやねん。スベりまくりでキツイ。そのせいで肝心の事件が頭に入ってこない(笑)。それでも、生で活弁を何度か観た経験のある者としては、弁士がスクリーンの中に登場する活弁を観てみたくなります。ダジャレに辟易しつつも“恋の季節”はついつい歌ってしまった私。
読了日:09月25日 著者:田中 啓文
https://bookmeter.com/books/22605361

■俺ではない炎上 (双葉文庫 あ 71-01)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】これをどうやって映像化するのだろうと思っていたら、なるほどそういう改変ですか。数多のヒット作の脚本家だけあって話はわかりやすくなっていますが、『護られなかった者たちへ』は原作の犯人とは性別が変わり、『少年と犬』は原作とまるで別の展開になっていたりして、しばしば目が点になります。本作はそこまでは行かなかったものの、えばたんが彼とは。「どうり」への違和感をおぼえるのも奥さんだし。でも芦田愛菜の「諸悪の根源はおまえだろうが!」、大好きです。悪かったと言い合える家族、◯。
読了日:09月28日 著者:浅倉 秋成
https://bookmeter.com/books/21939441

『最後のピクニック』

『最後のピクニック』(英題:Picnic)
監督:キム・ヨンギュン
出演:ナ・ムニ,キム・ヨンオク,パク・クニョン,リュ・スンス,イ・ハンナ,コン・サンア,シン・イェソ,チェ・ユリ他

前述の『ブロークン 復讐者の夜』で少々期待を裏切られて意気消沈。気を取り直して本作を同じくキノシネマ心斎橋にて鑑賞。『ブロークン』とは打って変わって穏やかな話のはずが、意外とヘヴィーな中身です。

ソウルに暮らす老女ウンシム(ナ・ムニ)。手塩にかけて育てた一人息子ヘウォン(リュ・スンス)は詐欺まがいの商売を始めて行き詰まっているらしく、ウンシムの部屋に勝手に入っては通帳やら生命保険証書などを探している。そんなヘウォンの妻はウンシムの親友グムスン(キム・ヨンオク)の娘ミヒョン(イ・ハンナ)。ふたりが結婚すると聴いたときは驚いたものだが、しっかりしているミヒョンならヘウォンのことを任せられると当時は思った。しかし今はヘウォンが金に困っているから、ウンシムが家を売って金を工面してくれることをミヒョンも願っているようだ。

ウンシムは60年ぶりに故郷の南海に戻ってみることに。そこには昔と変わらずグムスンが暮らしている。彼女と旧交を温めているところに通りかかったのがテホ(パク・クニョン)。醸造所を営むテホの初恋の相手がウンシムで、テホはこの再会に大喜び。ウンシムもしばらくは息子たちのことを忘れて帰郷を楽しむつもりだったが……。

これってインディペンデント作品なんですね。データがほとんどなくてわからないのですが、おそらくまだお若いキム・ヨンギュン監督が、大ベテラン女優のナ・ムニとキム・ヨンオクを起用してこんな聞くもよさげなドラマを撮ったら全世代の心を掴んで大ヒット。確かに良い話だけど、私はそこまで入り込めず。コメディを観るぐらいの気持ちで観に行ったら、中途半端にヘヴィーだったということと、彼女たちの「今」を見ているのがきついということがあります。娘や息子に虚勢を張ってみても、実は尿失禁どころかウ○コまで漏らしちゃうとか、あまり聞きたくない話を見せられる。しかも画面に映るのは婆さんと爺さんばかり。気持ちが乗りません。

最後まで信用できるのは昔ながらの友だちだけよ、そう言われているかのよう。生まれ変わってもあなたと友だちでいたいというフレーズは、私には刺さらない。

『ブロークン 復讐者の夜』

『ブロークン 復讐者の夜』(英題:Nocturnal)
監督:キム・ジンファン
出演:ハ・ジョンウ,キム・ナムギル,ユ・ダイン,チョン・マンシク,イム・ソンジェ,ホ・ソンテ,イ・ソル,ソ・ヒョヌ,キム・チャンヒョン,パク・ジョンファン,チャ・レヒョン,チョン・ジェグァン他

韓国作品を観るならキノシネマ心斎橋。前身のシネマート心斎橋の路線を引き継いでくれているのは嬉しいこと。しかし北摂の劇場でも上映してくれたら仕事帰りにしんどい思いをしながらミナミまで行かなくていいのですけれど。そう上手いこと私の観たい作品ばかりが北摂のシネコンではかかりませんねぇ。

やくざ者だったミンテ(ハ・ジョンウ)は出所して以来なりを潜めていたが、ある晩、弟のソクテ(パク・ジョンファン)から「やらかしてしまった」という連絡を受ける。後日ソクテが遺体となって発見され、ミンテはソクテが誰になぜ殺されたのかをつきとめようと調べはじめる。事情を知っているとおぼしきソクテの内縁の妻ムニョン(ユ・ダイン)は幼い娘を連れて姿を消し、居所を探していたミンテは、ベストセラー作家ホリョン(キム・ナムギル)にたどり着く。ホリョンの小説はまるでソクテとムニョンをモデルにしたかのような話で、登場人物の男性が死ぬことを予知している。ミンテがムニョンを追う一方でホリョンもムニョンを探しているらしく……。

すごく面白そうだったし、実際面白かったのですが、かなり消化不良。できの悪い弟を溺愛する兄は、弟のためなら何でもします。もともと服役していた理由も弟を痛めつけた相手を半殺しにしたから。その弟がどうやら内縁の妻を虐待しているようなのです。ハ・ジョンウ演じる男なら、いくら弟でもこんなゲス野郎は野放しにしておかないように思うのに、ただただ内縁の妻を追い詰めるばかり。きっと真相は別なんだわと期待していたのに、結局ミンテが復讐しまくって終わりという展開で。小説の謎についても真実が語られるだろうと思ったら、何にもないんだもの。

韓国が誇る2大スターとのことだけど、キム・ナムギルのことはほとんど知りません。『クローゼット』(2020)以来2度目の共演と聞いて、ホラーだと思わずに観に行ったらめちゃめちゃ怖かったやつに出ていた人だと思い当たる。こんなスターの共演だから、本国では公開初日に相当な観客動員数を記録し、公開前から世界各国での上映が決まっていたそうな。でも、評判倒れになるんじゃないでしょうか。見どころは無敵のミンテ、ハ・ジョンウだけ。ミナミまで行ったのにさっ。

『風のマジム』

『風のマジム』
監督:芳賀薫
出演:伊藤沙莉,染谷将太,尚玄,シシド・カフカ,橋本一郎,小野寺ずる,なかち,下地萌音,川田広樹,眞島秀和,肥後克広,滝藤賢一,富田靖子,高畑淳子他

MOVIXあまがさきにて、前述の『バード ここから羽ばたく』の次に。

実話に基づく原田マハの同名ベストセラー小説を映画化したのは、本作が長編デビューとなる芳賀薫監督。これまではCMを中心に活動されてきたそうです。主人公のモデルとなっているのは、沖縄・南大東島のサトウキビで純沖縄産ラム“CORCOR(コルコル)”を製造販売する株式会社グレイス・ラムの金城祐子社長。

沖縄の通信会社琉球アイコムに契約社員として勤務する伊波まじむ(伊藤沙莉)。同じ会社で働いているというのに、正社員と契約社員は明確に線引きがされていて、理不尽な扱いを受けることもしょっちゅう。すべてに前向きなまじむは適当に受け流しつつも、将来への漠然とした不安を募らせている。

そんなまじむのささやかな楽しみは、行きつけのバーでマスター・後藤田吾朗(染谷将太)から美味しい酒を飲ませてもらうこと。ある日、ラム酒がサトウキビから造られると知り、純沖縄産のラム酒を造ればいいのではと思いはじめる。ちょうど社内では第1回ベンチャーコンクールの開催が告知され、何かと差別される契約社員でもエントリーOKらしい。さっそく企画書を作成したところ、契約社員では唯一の応募者だったうえに、一次審査を通過して浮かれる。

帰宅して報告すると、祖母のカマル(高畑淳子)と母のサヨ子(富田靖子)は共に喜んでくれたものの、長年豆腐店を営むカマルから、他人様の口に入るものを作るのはそう簡単なことではないと釘を刺される。その通り、新規事業開発部に配属後は、上司の儀間鋭一(尚玄)に窘められ、糸数啓子(シシド・カフカ)からは冷酷とも言えるほどの言葉を浴びせられる。それでも同僚の小野寺ずる(知念冨美枝)や南大東島在住の後輩夫婦・仲里一平(なかち)と志保(下地萌音)の協力を得て、なんとか実現しようとするのだが……。

酒を造りたいとただ言ったって、できるわけがありません。まじむは単に酒好きなだけで、酒造りの知識はありませんから。けれど、あきめたらそこで終わりだと思う彼女は決してあきらめません。工場を建て、真摯に酒造りに取り組んでくれる醸造家に直談判する。一方の啓子は「これはビジネスだから」と、儲けを見込めそうにないまじむの話をスッパリ切り、東京の人気醸造家というのかコンサルタント・朱鷺岡明彦(眞島秀和)に頼めばその名前だけで売れると考えます。

どっちみち太刀打ちできないならば最後は自分らしくと考えるまじむのプレゼンは天晴れ。そりゃ満場一致でしょう。生産者の顔が見えるってこういうこと。彼女の想いに応えた醸造家・瀬那覇仁裕(滝藤賢一)が素晴らしい。

伊藤沙莉の笑顔って、見ているこっちまで笑顔にする笑顔だと思う。酒好きに乾杯。

『バード ここから羽ばたく』

『バード ここから羽ばたく』(原題:Bird)
監督:アンドレア・アーノルド
出演:ニキヤ・アダムズ,バリー・キオガン,フランツ・ロゴフスキ,ジェイソン・ブダ,ジャスミン・ジョブソン,フランキー・ボックス,ジェームズ・ネルソン・ジョイス他

この日の本命は後述の『風のマジム』。なんばパークスシネマへ行くかMOVIXあまがさきへ行くか迷い、ハシゴできそうなラインナップを見てMOVIXあまがさきに行くことに決めました。選んだのはこれ。イギリス出身のアンドレア・アーノルド監督によるイギリス/アメリカ/フランス/ドイツ作品です。

12歳の少女ベイリーは、郊外の荒れた貧困地域で父親バグと異母兄ハンターと共に暮らしている。どうにもいい加減なバグは、少し前に知り合った女性ケイリーとその幼い娘を家に連れてきて、この週末に結婚すると言う。あまりに急な話を受け入れられずにいるベイリーに、ケイリーが用意した衣装を着てブライズメイドを務めろだなんて、娘の気持ちを何だと思っているのか。憤るベイリーはハンターとその彼女ムーンとは仲良くつきあっているものの、彼らの友だちは皆ベイリーのことを子ども扱いして面白くない。

ベイリーには3人の幼い弟妹がいて、母親ペイトンが引き取って育てている。しかしペイトンの彼氏スケートは弟妹や飼い犬を虐待しているのが明らか。なんとか弟妹たちを救いたいと思うが、いったいどうすればいいのか。親のクズっぷりをこぼす相手もいなくてムシャクシャしていたベイリーの前に現れたのは、謎の男性バード。

バードは幼い頃に生き別れた両親を探しているらしい。唯一の手がかりであるメモに記されていた集合住宅の名前を見て、ベイリーはそこが昔ペイトンの住んでいた場所であることに気づく。バードの両親探しに手を貸すべく、ペイトンのもとを訪れて昔のことを聞き出そうとするのだが……。

ちょっぴりファンタジーも織り交ぜられた不思議な作品です。観る作品を迷ってこっちにして私的には大正解。

バグとペイトンはまだ結婚も許されないような年齢でベイリーの親になったらしい。ベイリーを引き取ったバグはとにかくまだ若いし、そもそもアタマも悪いから、生き方がめちゃくちゃ。結婚式の費用もないのに結婚を決めて、どうやって金を工面するのかと思えばを釣ってくる。その亀が分泌する体液に幻覚剤の効果があって、亀を売れば金になると言うんですね。バグの友人たちもそんな奴ばかりだから、どうしようもありません。それでもバグがベイリーのこともハンターのこともちゃんと愛していることがわかるのは救い。一方のペイトンも、娘のことを醜いなどと日常的に言ったりしていたようで、ベイリーは心に深い傷を負って自虐的になっています。バグにはまだ娘を思う気持ちが見られるけれどペイトンはあかんと思っていたら、そうじゃなかった。

ベイリー役のニキヤ・アダムズは鮮烈なデビュー。バグ役のバリー・キオガンのインパクトが凄い。バード役のフランツ・ロゴフスキにはキワモノのイメージがありましたが、それがこの役にも実によく合っています。

ひとりぼっちだと思っていても、どこかで見守ってくれている人がいる。かなりイカれた作品なので、普通のエンタメ作品がお好きな人にはやっぱり薦めづらい。私には忘れられない作品になりました。すごく好きです。