『ほどなく、お別れです』
監督:三木孝浩
出演:浜辺美波,目黒蓮,森田望智,古川琴音,北村匠海,志田未来,渡邊圭祐,英茉,野波麻帆,西垣匠,久保史緒里,原田泰造,新木優子,鈴木浩介,永作博美,光石研,夏木マリ他
公開初日、仕事帰りに109シネマズ大阪エキスポシティへ。浜辺美波と目黒蓮に惹かれてか、原作である長月天音の同名ベストセラー小説ファンなのか、北摂の劇場にしては結構な客入り。原作はシリーズ化されているのですね。うん、なんぼでも続編ができそうだ。監督は『今夜、世界からこの恋が消えても』(2022)や『知らないカノジョ』(2024)の三木孝浩。
就活中の清水美空(浜辺美波)は連日届く不採用通知に凹みながら、知人の葬儀に参列するために坂東会館へ。そこで美空が見かけたのは、別の会場の喪主・柳沢亮太(北村匠海)の亡くなった妻・玲子(古川琴音)の姿。幼い頃から死んだ人が見える美空は、それを誰かに話せば気味悪がられると知って以来、「見える」ということを秘密にしてきたが、玲子は夫への伝言を美空に託したいと言う。故人からの伝言があると言ったら引かれるだろうと思いつつ、坂東会館のスタッフ・漆原礼二(目黒蓮)を捕まえて話す美空。驚いたことに信じてくれた礼二が亮太にそれを伝えると、さっきまで絶望の淵で誰の話も耳に入らなかった亮太の目から涙が溢れ出して……。
死んだ人が見える能力を買われた美空は礼二にスカウトされます。葬儀場に勤めるなんて毎日死んだ人とばかり会うわけでしょうと眉をひそめる美空の両親(鈴木浩介&永作博美)を礼二が説得。まずはインターンとして働きはじめた美空が次々と出会う故人たち。先天性の病で亡くなった少女・久保田比奈(英茉)や、事故で亡くなったシングルマザー・長野桂子(野波麻帆)。
比奈がずっと病院暮らしのせいで不幸だったのではないか、どうせ終わる命なら、もっと本人がしたいということをさせてやればよかったと悔いる両親(志田未来&渡邊圭祐)。桂子は今は成人した息子・翔一(西垣匠)と娘・玲奈(久保史緒里)がまだ子どもだった頃に夫・正史(原田泰造)と離婚。その理由を「父親が自分たちを捨てて逃げた」と思い込んでいる翔一は、母親の葬儀にも父親は呼ばないと決めています。しかし、事情があって離婚したことを知っている玲奈は、父親に母親の訃報を届けたい。
こういった遺族の思いなら、美空でなくても聴くことができます。しかし故人の思いは美空でなければ聴くことができません。姿を現した故人から話を聴き、遺族にとっても故人にとっても最善の葬儀となるように努める礼二と美空、そして赤坂陽子(森田望智)をはじめとする葬儀場のスタッフと坂東会館の社長(光石研)。
最初の話からどれも泣けて泣けて。美空自身の姉も美空がこの世に生まれた日に事故死しており、そのとき一緒にいた美空の祖母・花子(夏木マリ)の余命はあとわずか。礼二が葬儀プランナーとなったのは妻(新木優子)を事故で失ったのがきっかけだなんて、泣く要素しかないんです。お涙頂戴に決まっているからそんなに簡単に泣くもんかと思っていたのに、序盤から泣き通しでした。何度も涙を拭っていた私のふたつ向こうの席の客は鼻をズビーッと鳴らしてしゃくり上げながら泣いていましたよ。そうなるのも普通だと思える作品です。
葬儀なんて、所詮遺された人のものだからと思っていましたが、想いを馳せるのはやっぱり大切なことですね。余談ですが、光石研はやっぱり悪人役じゃなくて善人役のときに見たい。
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』
監督:村瀬修功
声の出演:小野賢章,上田麗奈,諏訪部順一,斉藤壮馬,津田健次郎,石川由依,落合福嗣,武内駿輔,早見沙織,松岡美里,天崎滉平,田中光,宮崎遊,綿貫竜之介,草野峻平,永瀬アンナ,山崎真花,喜屋武和輝,佐藤日向,内田修一,木村太飛,猪股速十,白熊寛嗣,高橋伸也,観世智顕,山下タイキ,山寺宏一,佐々木望,種崎敦美他
イオンシネマ茨木にて。
知らないアニメでも劇場版だけは観に行くようにしていますが、“機動戦士ガンダム”シリーズだけはまったく意味がわからなくて、『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(2024)を観たのを最後に二度と観るまいと思っていました。ところがそう思いつつもその後に観た『機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning』(2025)だけはちょっと面白くて、こんな感じならまた観てもいいかもと思ったのが1年前のこと。ただ、執着は一切ないから、ほかに観るものがなければ観ようかなという程度。で、今回は『それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ』とハシゴするに至る。
原作は“ガンダム”シリーズの生みの親である富野由悠季が手がけた1989年出版の同名小説で3部作。『虐殺器官』(2017)の村瀬修功監督が劇場版として映像化したわけですが、これはその第2作に当たり、私は第1作の『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』(2020)を観ていません。冒頭、「これまでのハサウェイ」ということであらすじの紹介映像があるものの、これで何をわかれというのですか。全然わからず。早々について行くのを断念しました。
ハサウェイが人の名前だということも知らなかったし、“マフティー”も人の名前かと思っていたら組織の名前なんですね。誰と誰が味方で誰と敵対しているのかも理解できず。ギギが不思議な能力を持っているのはわかったけれど、いつどこで彼女がハサウェイと出会ったのかも知らんし。最後に敵か味方かどちらかが「ガンダムもどきが」と言っているのを聞いて、「え、もどきなの!?」と衝撃を受ける(笑)。
私のテンションがいちばん上がったのはエンドロール、ガンズ・アンド・ローゼズの“Sweet Child o’ Mine”がかかったときでした。わからないなりにも映像は美しいし、観ていて楽しいのは楽しいけれど、やっぱり初見でガンダムは無理っ!
『それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ』
『それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ』
監督:矢野博之
声の出演:戸田恵子,中尾隆聖,増岡弘,佐久間レイ,山寺宏一,鶴ひろみ,肝付兼太,島本須美,柳沢三千代,かないみか,富永みーな,長沢美樹,坂本千夏,三ツ矢雄二,滝沢ロコ,原えりこ,中村ひろみ,西村朋紘,安達祐実他
こんなものまで観に行く必要ある!?と思いながら、ほかに観るものがなくて。じゃあまっすぐ家に帰ればいいやんという説もあるけれど、観に行ってしまいました。大人気TVアニメ“それいけ!アンパンマン”の劇場版第18弾。って、私、過去に2度劇場版を観たことがあり、1度目は『それいけ!アンパンマン ブルブルの宝探し大冒険!』(2017)、2度目は『それいけ!アンパンマン かがやけ!クルンといのちの星』(2018)でした。前者が劇場版第29弾、後者が第30弾だったのに、どうして今回観たこれは第18弾なのかと思ったら、これって2006年の作品なのですね。てっきり新作だと思って観ていました。今頃ゲスト声優が安達祐実ってどーゆーこと!? 声若いやんなどと思いながら。20年前の作品なんだから当たり前か。
ある日、パトロール中のアンパンマンは、海に浮かぶ箱の中に剥き出しの人形を見つける。持ち帰るとみんな大はしゃぎ。可愛い服を作って着せてあげようなどと話しながら就寝するが、その晩、人形はアンパンマンと同じように“いのちの星”から命を授かる。剥き出しだった人形は可愛い顔をして綺麗な洋服も着た状態で目覚めると、「ドーリィ」と名乗る。「生きたいという願いが叶った」と大喜びの彼女は、自分のしたいことしかしないと決めてワガママ言い放題し放題で……。
相当ムカつきますよ、ドーリィには(笑)。アンパンマンが人を助けるために生きていることなど信じられず、いい格好をしたいだけでしょと罵る。お祭りでみんなが披露する歌の練習をしていると、真ん中に自分のポジションを取りますが、つまらない歌だと文句を言って退散。そんなふうに振る舞っている間に命の光がどんどん陰ってゆくのです。
私はもっぱら霜降り明星のネタでしか見ないアンパンマンですが、長年愛され続けているのがわかりますよねぇ。でもやっぱり、元気のない人に自分の顔をちぎって差し出すのはグロいと思う(笑)。
客は私ともう一組、女の子をふたり連れたお母さんでした。その家族だけならば子どもたちが騒いでもよかったでしょうに、私に気を遣ってくれたお母さんが、子どもたちがちょっと喋るとすぐに「静かにしなさい」と言っていて、申し訳なかったです。わいわい言いながら観てかまわない作品だから。私が行くのは控えるほうがいいかもしれないと反省。
『マーズ・エクスプレス』
『マーズ・エクスプレス』(原題:Mars Express)
監督:ジェレミー・ペラン
声の出演:レア・ドリュッケール,マチュー・アマルリック,ダニエル・ンジョ・ロベ,マリー・ブーヴェ他
キノシネマ心斎橋にて、前述の『天文館探偵物語』とハシゴ。仕事帰りに行きやすい劇場では吹替版の上映しかなく、心斎橋まで行ったおかげでフランス語の字幕版を鑑賞することができました。アニメであっても洋画は字幕で観る派です。本作は“攻殻機動隊”へのオマージュが込められた作品とのこと。
23世紀、火星は人類が住めるような技術革新が進み、人間とロボットが共存している。かといって地球がもう住めない状態になっているわけではなく、私立探偵のアリーヌとその相棒のカルロスは火星と地球を行き来しながら活動している。火星で行方不明になった女子大生ジュンの捜索依頼を受けたアリーヌとカルロスは、捜査を進めるうちにロボットを巡る大企業の陰謀に気づく。世間ではロボットを煩わしく思って排除しようとする動きと、逆にロボットを解放しようとする動きの両方があって……。
最初は面白くて食らいつくように観ていたのですが、途中から難解になり、しばし眠りに誘われる(笑)。その後ふたたび覚醒して、わからないながらも最後まで。
アリーヌは人間ですが、カルロスはアンドロイド。かつてアリーヌのパートナーだった人間カルロスの複製体です。冒頭、このコンビが何年もかけて追っていたハッカーのロベルタを地球でやっと捕まえたというのに、火星に連れ戻ってきてみるとロベルタの逮捕状が消えている。逮捕状がない一般市民を捕らえることはできず、悔しさに顔を歪めながらもアリーヌはロベルタを解放します。終盤になって、大企業の陰謀を暴こうとしたときに思い出すのがロベルタのこと。凄腕のハッカーであることは明らかだから、ロベルタに協力を仰いで大企業のシステムに潜り込むのです。
難解ではあるものの、ロボットたちが人間によって一方的に制御されたり解放されたりするさまはなんだか切ない。大企業のCEO・ロイジャッカーが黒幕かと思っていたら、各国のお偉方たちだったというのは『WAR/バトル・オブ・フェイト』と同じでした。政治家って、ろくなことを考えないものですね。
ロボットたちが次々とアップデートされていくなか、旧式のカルロスは「アップデートしろと言われるからそうしようとするのに、いつもメモリ不足でアップデートできない」とぼやくのには笑いました。そのおかげでカルロスからは人間味が消えません。それでも最終的にはロボットたちは自ら命を絶つ。ロボットの集団自殺なんて光景はそのうち見られるものなのかも。それも人間が仕組むのでしょうか。
『天文館探偵物語』
『天文館探偵物語』
監督:諸江亮
出演:寺西拓人,大原優乃,肥後遼太郎,室龍太,高田翔,原嘉孝,SHIGETORA,西田聖志郎,新名真郎,西岡徳馬他
職場や自宅の近所の劇場では観るものがなくなり、前日はなんばパークスシネマへ、この日はキノシネマ心斎橋へ。年末に比べて道路がまぁまぁ空いているのはありがたい。深夜の帰り道はいつでもスイスイだから、車で行くのはやめられません。
timelesz(旧名Sexy Zone)メンバーである寺西拓人が初主演。鹿児島県オールロケ作品なのだそうです。それもあってかご当地ムービー的な色合いが濃い。寺西くん自身が鹿児島出身で町おこしに一役買うということなのかと思いましたが、彼は神奈川県の出身だから、特にそういうこともない様子。
繁華街と歓楽街が隣接する南九州一の商業・娯楽エリア、鹿児島県の天文館。宇佐美蓮(寺西拓人)はバーテンダーとして働きつつ、相棒の山下健斗(肥後遼太郎)と共に探偵としても活動し、街の人々が抱えるトラブルを解決している。バーのマスター・有村悠一郎(新名真郎)は店の奥に無料の託児所を設け、子どもの預け先に困っているシングルマザーたちを助ける根っからの善人。
ある日、通りで話していた健斗と近所の住人がスリに遭う。健斗が追いかけるも取り逃がし、逃げおおせたとホッとしていた犯人・橋口凪(大原優乃)を取り押さえたのが蓮。問いただしてみると、凪は6歳の息子・翔真(上村俊介)を連れてDV夫から逃れてきたのだと言う。翔真を託児所で預かることにして、凪には近くの飲食店での仕事も紹介。一件落着したように思われたが、凪にはまだ秘密があるようで……。
凪の夫は地方創生担当大臣・板倉雄馬(西岡徳馬)の息子・靖幸(室龍太)で、跡取りとなる翔真を連れ戻したいがために誘拐騒ぎとなります。と同時に、雄馬が天文館の再開発プロジェクトを進めていることがわかり、蓮が奔走するというお話。
鹿児島出身なのは寺西くんではなくて、マスター役の新名真郎だと鑑賞後に知りました。エンドロールでエグゼクティブプロデューサーに彼の名前があったことから、あれ?この人の企画なのかなと思ったりもしていたところ、どうやらその通りだったようです。
ご当地ムービーを観るといつも、配信などでも十分だったかなぁと思ってしまうけれど、ここに携わった人たちはきっととても嬉しいし、やった感があると思います。そういう人たちの笑顔のために、こんな作品を撮るのはとてもよいこと。皆さんにお疲れさまと言いたくなります。天文館にも行ってみたくなりました。





