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好きだった映画、嫌いだった映画〈2025年〉

2025年に劇場鑑賞した作品は418本、配信やDVD鑑賞した作品は50本で、合計468本。2024年までに人生6度の300本超を記録していますが、400本超は初めて。各月の劇場鑑賞本数は、1月35本、2月34本、3月37本、4月33本、5月39本、6月37本、7月38本、8月34本、9月30本、10月33本、11月36本、12月32本。配信またはDVD鑑賞した作品については「今年観た映画50音順」で昨日までにつぶやいたので、ここに挙げるのは劇場鑑賞した作品について。

ベストよりもワーストのほうが簡単なので、ワーストを先に。意味不明だった、不快感全開だった、気持ち悪いだけだった、退屈すぎた、時間と金を返してと思うほどの作品はそんなにないけれど、これは返してと言いたい。そんな5本。
『SKINAMARINK/スキナマリンク』
『あの歌を憶えている』
『ガラ』
『メガロポリス』
『サッパルー!街を騒がす幽霊が元カノだった件』

ベストのほうは順位をつけるなんて無理だから、好きだった作品を観た日付順に20本。万人受けしない作品もあるので、皆さんにお薦めできそうな作品ばかりではありません。ただただ私が好きだったというだけ。
『盗月者 トウゲツシャ』
『サンセット・サンライズ』
『ファーストキス 1ST KISS』6回観ました。
『愛を耕すひと』
『ブルータリスト』
『デュオ 1/2のピアニスト』
『アンジェントルメン』
『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』
『年少日記』
『雪子 a.k.a.』
『F1/エフワン』←これも6回観ました。
『罪人たち』
『愛されなくても別に』
『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』
『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』
『バード ここから羽ばたく』
『ブラックドッグ』
『ハンサム・ガイズ』
『秒速5センチメートル』
『ブレイカウェイ』

アニメで好きだったのは次の6本。
『Flow』
『ヨウゼン』
『ナタ 魔童の大暴れ』
『ひゃくえむ。』
『ホウセンカ』
『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』

2025年いちばんの話題作『国宝』ももちろん良かったけれど、あえて私のベストには入れません。私にとっての2025年の「この人」も、吉沢亮横浜流星(顔も演技もふたりとも大好きだけど)よりも、松村北斗ブラピです。

以下つらつらと書いてみると、『ブレイカウェイ』と共にマッツ・ミケルセン生誕60周年祭で上映された『アダムズ・アップル』『メン&チキン』も面白かったなぁ。変態すぎて普通の人には鑑賞を勧められませんけれども。変態といえば、『サブスタンス』『愛はステロイド』のオチがかぶっていて強烈。後者はそのオチまではベスト入りさせたいぐらい好きでした。あのジャイアント化がなければ(笑)。変わった環境の中で観たという点で面白かったのは『The 4 Rascals』。好きだったわけではないけれど、痛々しくて忘れられそうにないのは『盲山』『スノードロップ』。観た直後はなんとも思わなかったのに、日が経つに連れてじわじわと心に沁みてきて今もよく思い出す『プレゼンス 存在』なんて作品もあります。VR用のヘッドセットを装着しての鑑賞を初めて体験した『CHA EUN-WOO VR CONCERT : MEMORIES』も忘れがたい。だってチャウヌめっちゃ可愛かったから(笑)。『大統領暗殺裁判 16日間の真実』イ・ソンギュンがもうこの世にいないのが本当に寂しいです。韓国作品は去年も本当によく観ました。ハマった韓ドラは『埋もれた心』でしたね。

一方、これだけ映画に時間を費やしたせいで、本を読む時間は激減。弟が癌だとわかったときにスマホを持ったのも影響ありすぎ。おかげでそれまでは本を読んでいた時間がスマホを触っている時間になってしまいました。2025年いちばん心に残った本は凪良ゆう『汝、星のごとく』『星を編む』。横浜流星と広瀬すずの共演で映画化、今秋公開予定です。2冊の内容を盛り込んだ映画になるのか、前者だけの話になるのか楽しみです。正直言って広瀬すずってどうなん!?と思ってはいますが、藤井道人監督が決めたキャストなら信じます。

今年もおつきあいのほどよろしくお願い申し上げます。

2025年12月に読んだ本

2025年12月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2196ページ
ナイス数:619ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2025/12

■爆弾 (講談社文庫 こ 90-6)
原作を先に読了していた場合のみ、【再読ではなくて映画版を観たので】として映画の感想をこちらに書き込んでいます。本作は先に映画版を観たため、いつもの私のルールに倣えば映画の感想は書かないケース。だけどあまりに原作に忠実で、読んでいる間すべてのシーンが映画に脳内変換されました。日頃から原作と映画は別物と考えるようにはしているものの、目が点になるような改変があるとがっかりすることも多い。その点、本作は佐藤二朗は当て書きされたのかと思うほどそのまんま。山田裕貴染谷将太もよかった。って、結局映画の感想になっとる。
読了日:12月07日 著者:呉 勝浩
https://bookmeter.com/books/22004329

■凶変 警視庁異能処理班ミカヅチ (講談社タイガ ナ-B 18)
前作で結構な佳境に入っていると思っていたけれど、本作こそ佳境ど真ん中でしょうか。どんどん悪魔化してゆく赤バッジ。なのに妹のことを心配している様子には泣けてきます。怜がすっかり逞しくなっちゃって。チームとしての結束力が高まってきて目が離せません。今回いちばん驚いたのは、私の勤務先の名前がそのまんま出てきたことです。最初は「おおっ」とウキウキしていたのですが、その後すぐに雲行きが怪しくなって館長の首がぶった切られる展開に。四天王の一尊だったのなら光栄と思うべきか。あー、びっくりした(笑)。みんなに教えよっと。
読了日:12月14日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/22956557

■有罪、とAIは告げた (小学館文庫 な 33-4)
“静おばあちゃん”シリーズを読んでいた頃、この賢く可愛い孫娘もそのうち主人公になって登場しますようにと願っていました。彼女もこうして裁判官になったのだなぁと思うと感慨深い。父親を殺した罪に問われている18歳の少年。誰かをかばっているとしたら弟しかいないから、七里センセのわりには驚かないオチ。けれど本作はそこよりもAIに裁判を任せるのがありかどうかの話。来月公開のクリス・プラットレベッカ・ファーガソン主演の『MERCY/マーシー AI裁判』の予告編が劇場で流れ始めています。本作とどう違うのか楽しみです。
読了日:12月18日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/22983603

■兄の終い (CEMH文庫 む 01)
映画版のタイトルとは違うのねと思いながら読みはじめました。『兄を持ち運べるサイズに』というフレーズは序盤に登場。上手くこれを拾って映画のタイトルにしたものだなぁと思います。映画も原作も最初はこの兄のクズっぷりに嫌悪感すら抱く。部屋の様子を見れば、息子をちゃんと育てていたのかどうかすら疑わしい。けれど息子の表情や別れた妻子が彼について語る言葉からは破天荒ながらも楽しませてくれる人だったのかと思わなくもない。原作そのままのようでありつつファンタジーの要素を含めた中野量太監督の映画版、とてもよかったです。
読了日:12月20日 著者:村井理子
https://bookmeter.com/books/22840519

■赤い月、廃駅の上に (角川文庫)
どうやら酔っぱらった状態で読んではいけない作品だったようです。飲酒後の帰り道、電車の中で読んでいたはずが、摩訶不思議な世界に引きずり込まれ、頁をめくりつつも訳がわからなくなっていました。酔っぱらっていたらどれを読んでもそうなるか(笑)。奇しくも私が乗車したのは地下鉄御堂筋線と北大阪急行。読みながらまさにその駅を通って帰ったから、出てきた駅名だけははっきりと頭に残っています。そのほかの話も「三途の川を渡る列車の運転が荒かったら嫌やなぁ」などと思ったことだけは覚えていて、薄気味の悪い寝起き。途中下車はしない。
読了日:12月25日 著者:有栖川 有栖
https://bookmeter.com/books/5310066

■SOUL 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花 (角川ホラー文庫)
内藤了の新刊2冊のうちどちらを先に読むか迷い、“藤堂比奈子”シリーズのスピンオフよりも進行中のこちらを優先することに。殺人をまったく後悔していない様子の死刑囚が告白する別の殺人。調査を進めたところで時効が成立している昔の話。告白が本当だったとしても今更どうなるというのかと思う清花に班長がかけた言葉が心に残ります。この仕事、損得で考えるようになったら終わりだと。もしかするとそれはいろんな場面で思い出さなければならない言葉なのかなと思う。人生すべてが嘘だった人なんていない。千にひとつでも本当のことがあるはず。
読了日:12月28日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/23023409

■越境刑事 (PHP文芸文庫)
内藤了と中山七里だけはどんだけのスピードで書いてるねんといつも思う。いくつものシリーズを同時進行して、好きなシリーズの新刊がなかなか出ない間も何かしら読むものが用意されていますよねぇ。このシリーズもそうだけど、アマゾネス高頭はそこらじゅうで見かけるから久しぶりな気がしない。巷で話題になっている事件を取り込むのが上手い七里センセ。今回はウイグル族弾圧をテーマにするなんて、あなたこそが公安に目をつけられそうです。拷問のシーンは特に女性は目を伏せたくなる描写。部下の郡山の信頼度がダダ上がり。これからも死ぬなよ。
読了日:12月30日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/22848631

今年観た映画50音順〈わ行〉

《わ》
『私たちは天国には行けないけど、愛することはできる』(英題:No Heaven, But Love)
2024年の韓国作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
母子家庭に育つ女子高生ジュヨン(パク・スヨン)はテコンドー部に所属。階級を上げるために短期間での増量をコーチから命じられて困っている。実はジュヨンが階級を上げることになったのは、同階級の親友ソンヒ(シン・ギファン)を国家代表にするべくソンヒの親がコーチに裏金を渡して個人指導を頼んでいたから。しかも階級を上げた試合ではコーチに八百長試合を指示され、憤ったジュヨンは退部する。ちょうどその頃、少年院上がりの少女イェジ(イ・ユミ)を家で預かることになり、同い年のジュヨンとイェジは自分たちの間にある感情が単なる好意ではなく愛であることに気づく。ふたりで過ごす時間にこれ以上にない幸せを感じるジュヨン。一方、ソンヒはコーチから性的虐待を受け続けていた。自殺を図ったソンヒの力になりたいと警察に通報するも、学校も警察もコーチの味方で……。
彼女たちがスマホではなくてポケベルを使用していることから、時代は今よりかなり前だということがわかります。鑑賞後に知ったのは、1999年が舞台とのこと。スポーツ選手が指導者から性的虐待を受けている話はつらい。国家代表のスポーツ選手になることが社会的には大切で、そのためならいくらでも金を積もうとする親や、そういう親を持ち上げる教師たちの姿にも反吐が出そう。彼女たちに幸せになってほしいと切に願います。

《を》《ん》
なし。

今年もおつきあいをありがとうございました。
どうぞ良い年をお迎えください。また明日、新年に。(^^)

今年観た映画50音順〈ら行〉

《ら》
『ランサム 非公式作戦』(英題:Ransomed)
2023年の韓国作品。今はなきシネマート心斎橋で観損ねた作品です。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
1980年代、内戦下のレバノンで実際に起きた韓国人外交官誘拐事件を基にしたフィクション。監督は『最後まで行く』(2014)、『トンネル 闇に鎖された男』(2016)のキム・ソンフン。
外交官イ・ミンジュン(ハ・ジョンウ)は米国駐在を志望していたのに、ソウル大卒の後輩にそれを持って行かれ、自身は外務部の中東担当に回されてがっかり。ある晩、退出しようとしたさいに受けた電話から外交官しか知らない暗号が聞こえてくる。それは2年前にベイルートで拉致されたままのオ・ジェソク(イム・ヒョングク)からの発信だった。ミンジュンは米国駐在を条件に外務部長官(キム・ジョンス)に派遣を直訴。外務部と犬猿の仲の安全企画部を出し抜きたい長官はそれを飲む。現地入りしたミンジュンだったが、ベイルートでは誰も信用ならない。早速空港でも危険に見舞われ、飛び乗ったタクシーの運転手が韓国人キム・パンス(チュ・ジフン)で……。
『極限境界線 救出までの18日間』(2023)と似た話。本作のオ・ジェソクは日本人と間違われて誘拐され、間違いなら解放すればよいものを、そのまま拉致されて酷い日々を送らされていたという不運。交渉するにはCIAやらスイスの実業家やら、あらゆる方面で用意することが必要です。ミンジュンとパンスのやりとりが最高で、韓国作品の面白さを再認識。

《り》
『リトル・シベリア』(原題:Pikku-Siperia)
2023年のフィンランド作品。Netflixにて配信。
フィンランドの田舎町リトル・シベリア。元ラリー選手だったタールヴァイネンが自殺するつもりで雪道を失踪中、突然堕ちてきた隕石が車の屋根を破って車内へ。そのおかげでタールヴァイネンが自殺を遂げられなくなったが、隕石の価値は100万ユーロらしく、町は大騒ぎに。自分のものだと主張するタールヴァイネンから隕石は取り上げられ、博物館に展示されることになる。一方、牧師ヨエルとその妻クリスタは隕石墜落の日に妊活に励んでいたところ、クリスタの妊娠がわかる。しかしヨエルはアフガニスタンに出征したときに被爆したせいで生殖能力がなくなってしまったことをクリスタに打ち明けられずにいた。クリスタの浮気を疑うヨエルは、ひそかに相手を探しはじめると同時に、不眠症に陥って夜間の隕石の見張りを請け負うのだが……。
『トム・オブ・フィンランド』(2017)のドメ・カルコスキ監督の作品。北欧の映画は結構好きだけど、ヨヘルの顔とヨヘルに相談にやってくる住人の顔が似すぎていて困りました(笑)。もっと緩い作品を期待していたら、隕石を狙う者が現れてかなり痛々しい。そんな輩とヨヘルがしょっちゅうやり合うはめに陥って毎度血まみれに。しかも血まみれの上着そのまま毎日過ごすって、服1着しかないんかい。結局、妊娠は隕石の日の奇跡で浮気相手はいません。なくなった隕石の行方を知るのはヨルヘとクリスタのみで、趣味にダイビングを始めるというオチは好き。

《る》
『ルツ&ボアズ』(原題:Ruth & Boaz)
 2025年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
ルツとブリアナはジョージア州アトランタのクラブで活躍中の女性2人組ヒップホップアーティスト。メジャーデビューして売れるに売れることが予想される段になって、これは自分が歌いたかったものではないと感じていたルツは、マネージャーのサイラスに辞めると宣言。多額の契約金を手に入れるつもりだったサイラスは激怒し、ルツの恋人マローンとその父親イーライを強盗事件と見せかけて殺すと、次はマローンの母親ナオミの心配をするがいいとルツにつぶやく。夫と息子を一度に失って悲嘆するナオミがテネシー州ペグラムに帰郷すると聞き、ルツはナオミのそばにいるためについて行く。なかなか仕事を見つけられずにいたところ、ワイナリー葡萄を収穫する仕事があると知り、やってみるしかない。ワイナリーを父親だった先代から受け継いだ経営者ボアズはルツを一目見る気に入り、ボアズを子ども時代から知るナオミも、ルツが息子の恋人だったことを忘れてついついふたりの恋を応援するのだが……。
旧約聖書の『ルツ記』がモチーフになっているのだそうですが、現代のフツーの話です。歌手が畑違いの仕事に就いて、それでも真面目に勤しむうち、さまざまな幸運がもたらされます。ボアズがベビーフェイスと知り合いなんですよね。ベビーフェイスに紹介してもらって一気に歌手への道が拓きます。黒人にワインが造れるわけがないという偏見を吹き飛ばすのも面白いところ。上手く行きかけたところにサイラスが登場するのは予想どおり。ハッピーエンドも予想どおり。後味の良い作品です。

《れ》
『霊薬』(原題:The Elixir)
2025年のインドネシア作品。Netflixにて配信。
業績不振に陥る製薬会社ワニワラスの社長サディミンから招集をかけられた親族一同。てっきり他社と合併してサディミンは引退する話を聞かされるのだと思っていたが、姿を現したサディミンは髪の毛フサフサお肌ツルツルでやたら若返っている。満面の笑みを浮かべて彼が言うには、永遠の若さを保てる新薬の開発に成功したから、会社はこのまま継続すると。ところがその後すぐにサディミンは血を吐いて倒れ、ゾンビとして蘇る。噛みつかれた使用人たちもゾンビ化し、サディミンの長男バンバン、長女ケネスとその夫ルディおよび幼い息子ライハン、サディミンの後妻でかつてはケネスの親友だったカリナがなんとか邸から脱出。しかし、邸の外にもゾンビが大量発生して、村は阿鼻叫喚の様相を呈していた。逃げ惑ううちにバンバンとケネス、ルディとライハンとカリナの二手に分かれてしまい、前者は地元のワニレッジョ警察署へ、後者は民家へとたどり着いてそれぞれ身を潜める。その民家の住人ニンシーの恋人がたまたまワニレッジョ勤務の警察官ラフマン。それぞれを心配しながら連絡を取り合っていたが、ルディもゾンビに噛まれて……。
この手のB級作品で116分は長い。中だるみもあるけれど、インドネシアのゾンビ映画を観る機会はなかなかないと思われ、この機会に観ておくのもいいのではないでしょうか。エンドロールでは、村のこのような状況など知らずに都会でサディミンからの連絡を待つタワマン暮らしの夫婦の姿。あの新薬が映し出されて、あら、次の舞台は都会なのね。楽しそう(笑)。

《ろ》
『ロイヤル・ネイビー 全滅地帯』(原題:Sunray: Fallen Soldier)
2024年のイギリス作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。日本では“未体験ゾーンの映画たち 2025”にて上映。
元エリート海兵隊員アンディは仕事柄家を空けがちだったが、一人娘のレイチェルは父親の仕事を理解し尊敬していた。アンディの言いつけを守ってレイチェルは麻薬には絶対に手を出さなかったのに、恋人のキャッシュと出かけた晩、キャッシュが不在にしている間にほかの女性たちから勧められてノリで麻薬を吸ってしまう。するとすぐに過剰摂取反応を起こし、泡を吹いて死亡。アンディはレイチェルを死に至らしめたのはキャッシュに違いないと考え、まだ会ったことのないキャッシュを探しはじめる。一方のキャッシュがレイチェル死亡を知ったのは葬儀の後。キャッシュの父親は犯罪組織のトップで、キャッシュに自分の後を継がせるべく麻薬取引にも関わらせていたが、キャッシュは決してレイチェルに麻薬を渡そうとはしなかった。しかしそんなことを知る由もないアンディは麻薬に関わる輩を激しく憎み、キャッシュのいそうな場所を探してはその場にいる者たちを殺してゆく。アンディのチームだった海兵隊員たちもそれに協力するのだが……。
かなり酷い作品でした(笑)。最初に出てきたのは間抜けな男たちだったから、こいつらが主人公のコメディかと思ったら、こいつら速攻で殺される。殺すほうが主役のアンディだったわけですが、話がぶつ切りで破綻しています。麻薬を吸っていそうな者が集う場へ乗り込んで皆殺しにして行くって、その死体はどうするんだ。引退した海兵隊員がここまでできるものですか。こんな神妙な顔をして行為を正当化されても。チームの面々はそれなりに格好いいけれど、邦題とまるで合っていません。劇場で観ても面白くなかったでしょうが、大画面のほうがまだよかったかなと思う。

今年観た映画50音順〈や行〉

《や》
『山逢いのホテルで』(原題:Laissez-moi)
2023年のスイス/フランス/ベルギー作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
熟年女性のクローディーヌは、アルプスの麓にある町の自宅で仕立て屋を営みながら脳性麻痺の息子バティストをひとりで育てている。彼女の息抜きは、毎週火曜日、ロープウェーに乗った先にあるホテルで客を物色し、後腐れのないアバンチュールを楽しむこと。その日限りの肉体関係を心がけていたが、あるとき、ダムの調査にやってきたドイツ人男性ミヒャエルと恋に落ちて……。
最初は観るのをやめようかと思うほど気持ちが悪かった。だって、どう見ても60歳ぐらいの化粧の濃いオバハンがホテルのフロント係に今日の狙い目を尋ねるんです。ホテル公認の売春婦かと思ったらそうではなくて、ただベッドに男を誘って数時間を楽しむだけ。こんなオバハンの誘いに乗るなよと言いたくなりました。その思いは最後まで変わらなかったけど、次第にオバハンの化粧にも慣れてなんとか最後まで。バティストを捨ててミヒャエルとアルゼンチンへ飛ぶと決意するも、土壇場になってやっぱり息子のもとへと戻ります。重い内容のわりに深みはあまり感じられず。主演のジャンヌ・バリバールって、マチュー・アマルリックの奥さんだったのですね。なんにせよ、アラ還になっても裸体をさらして濡れ場に体当たりの根性は凄い。

《ゆ》
『ユア・ソング』(原題:你的情歌)
2020年の台湾作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
台北在住の音楽教師ユゥ(アリス・クー)は、浮気した恋人と再構築を望むも婚約を破棄され、逃げるように花蓮の田舎町へと移り住む。ピアノ教師として再出発した彼女が出会ったのは、やはり台北からこの町へとやってきた教師シン(フー・モンボー)。シンはかつて統一試験で首席を獲った秀才で、将来どんな職業にでも就けるだろうと皆から思われていたのに、理想の教育を追い求めて教師の道を選んだ結果、ずっと非正規雇用に甘んじている。新たな教育事業の展開を志して広報活動をおこなったところで興味を示す者は現れず、くすぶったまま。そんなシンは校内でオーディションを企画し、ひとりの生徒アドン(シェ・ポーアン)に歌の才能を見いだす。ボーカルとギターをアドンに任せ、ほかに楽器のできる生徒を集めると、ボーイズバンド“七月男孩”を結成。オーディション番組への出場に向けて練習を開始するのだが……。
シェ・ポーアン自身が人気オーディション番組『超級偶像』の出身で、本作でスクリーンデビューを果たしたそうな。歌が上手いのはもちろんのことイケメンだから、そりゃ売れるでしょう。ただ、シンとユゥはちょっと魅力に欠ける。シンの理想も不明瞭だし、浮気した恋人にキレるユゥを見ていると、そりゃ逃げたくもなるよねぇと思う。アドンはユゥに想いを寄せ、シンもユゥに惹かれて、生徒と教師の三角関係に終始するのかと思いきや、終盤に明かされる「ユゥが花蓮に来た理由」にビックリ。傷心の彼女が目標に定めたのは、初恋の相手シンを探し出して再会すること。見事それを叶えたのに、シンのほうはまるで覚えていませんでしたって。どう反応すればいいのかわからんがな。ま、アドンは台北に出てスターになり、シンとユゥは結婚して可愛い男の子を授かりましたというハッピーエンドです。「探し求めていた成功とは、実は気持ちの問題だった」というシンの台詞は腑に落ちる感じがして好きだけど。

《よ》
『夜明けの蜃気楼』
2025年の日本作品。Amazonプライムビデオにて配信。
編集者の雨宮省吾(南圭介)は、締切を守らない作家・東雲茉莉(鞘野美咲)がこもりっきりの海辺の宿を訪れる。省吾は妻との間にいた娘・佐知(MEL)を乳幼児突然死症候群で亡くした折に、妻の責任として激しく責め立てた。妻は一切言い返さず、自分のせいだと受け入れた。省五は酷いことを言ったと謝りたいのに謝れないまま時が過ぎるが、佐知がイマジナリー娘として省吾の目の前に現れるようになってから10年以上が経過している。イマジナリー娘の佐知は成長して18歳、今や妻とそっくりの風貌。茉莉は以前から聞いていた佐知の存在を信じ(但し、省吾の妄想の産物ではなく幽霊として)、省吾を変人扱いせずに佐知にもよく話しかけてくれるのはありがたいところ。そんなある日、宿で働く女性・笠原まひる(MAHO)の妹が訪ねてくる。妹によれば、まひるは家出したまま行方がわからなくなっていたらしく、こうして居場所を探し当てた妹がまひるに会うためにやってきたのだ。しかしまひるは妹に会うことを頑なに拒否して……。
目の中に入れても痛くないほど可愛がっていた子どもを失うのはたまらなく悲しいことでしょう。その責任をすべて妻に押しつけたことが誤りであるとわかっているのに口には出せない。こんな父親にはっぱをかけるべく存在しつづけるイマジナリー娘。やっと妻に電話をかけられるようになった父親を見届ける優しい物語でした。増本竜馬監督、今後の長編作品に期待します。