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『花緑青が明ける日に』

『花緑青が明ける日に』
監督:四宮義俊
声の出演:萩原利久,古川琴音,入野自由,岡部たかし他

イオンシネマ茨木にて、2回目の『木挽町のあだ討ち』を観ました。2回目だと、芝居だとわかっているから変なところで笑ってしまいます。最初の最初から「この人ら、めっちゃ芸達者やなぁ」と思ってふき出してしまって。怪しい客になっていたと思います。すみません。

さて、その後に同じ劇場の同じスクリーンで観たのが本作。日本画家の四宮義俊が監督・原作・脚本・キャラクターデザイン・作画監督・美術監督・色彩設計をすべて自身で務めた長編アニメーション作品です。新海誠監督の『言の葉の庭』(2013)のポスターアートや『君の名は。』(2016)の回想シーンのパート演出なども担当しているとのことですが、ポスターアートだとかパート演出などと聞いても私にはよくわかりません。多方面で活躍している人なのですよね。ふむふむ。

神奈川県二浦市(三浦市に因むとおぼしき架空の都市)に暮らす式森カオルと幼なじみの兄弟・帯刀千太郎と敬太郎。帯刀家は老舗の花火工場“帯刀煙火店”を営んでいたが、兄弟の父親・榮太郎が蒸発。以降、敬太郎は失踪した父親に代わって幻の花火“守破離(シュハリ)”を作ることに没頭しはじめる。しかし、町は再開発のために帯刀煙火店を取り潰したい。立ち退きを迫るも敬太郎は出て行こうとしないまま4年が経過する。

大学入学をきっかけに町を出たカオルのもとへ、今は二浦市役所に勤める千太郎から連絡が入る。まもなく行政代執行によって帯刀煙火店が壊されるから、その前に敬太郎を説得してほしいと言うのだ。カオルはとりあえず帰郷し、千太郎と共に敬太郎に会いに行くのだが……。

冒頭、声が聞き取れなくて不安になりました。これは私の耳が悪いのかしらと心配していたら、その後は大丈夫。しかし、カオル役の古川琴音の声がなんとなく聞き取りづらい気がします。女優としては嫌いな人ではないけれど、声優としては若干の違和感。そしてハチャメチャな敬太郎の声も萩原利久というのはちょっと違う気がして。もう少し高めの声の人のほうがイメージに合っているように思うのです。絵のイメージどおりの声だと思ったのは千太郎役の入野自由と榮太郎役の岡部たかし。声が引っかかるとなかなか物語に没入できません。

「再開発」には否定的な作品のほうが多く、故郷で再開発の話が持ち上がったことがない身としてはどう受け止めるべきなのかも迷います。これだけの土地を占拠して、税金も納めずにいたら、そりゃ出て行けとなっちゃうのかなぁとは思うものの、行政と業者の癒着問題なども組み込まれていて余計に迷う。

シュハリには目を奪われました。こんな花火がもう見られなくなるならば、やっぱり花火工場をそのまま残してほしくなる。

『ナースコール』

『ナースコール』(原題:Heldin)
監督:ペトラ・フォルペ
出演:レオニー・ベネシュ,ソニア・リーゼン,アリレザ・バイラム,セルマ・ジャマールアルディーン他

テアトル梅田にて、前述の『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』とハシゴしたスイス/ドイツ作品。監督は本作が長編3作目となるペトラ・フォルペ。ドイツ出身の女優レオニー・ベネシュが主演を務めています。

スイスの病院。人手不足にもかかわらず、患者を拒めずに常に満床の病棟看護師フロリアが遅番のシフトに入ると、3人体制のはずが1人欠勤で2人きり。あと1人いるにはいるが、見習いの実習生。携帯電話は病院の内外問わずひっきりなしに鳴り、そのたびに優先順位を見極めて対応するフロリアだったが……。

フロリアが病院内を行ったり来たりするだけの作品なのに、みなぎる緊迫感が半端ではありません。患者はさまざまだけど、そりゃ誰でも自分を優先してほしい。検査を受けて何日も経つのに、主治医から何の説明もなくて不安がる老人。便秘で入院し、処置後に認知症を発症したかのような老女。投薬の時間を過ぎていると苛立ちながら言いに来る女性。ナースコールをしてから病室に来るまでの時間を毎回計って嫌みを言う男性。禁煙を守らないアル中女性患者もいます。

ある患者がフロリアのことを天使だと言ったように、この看護師は本当に凄い。終始笑顔というわけでもないし、下手に慰めの言葉をかけたり希望を持たせたりなんてことはありません。淡々とひとつずつ仕事をこなす。しかし、不安に駆られている患者が落ち着けるように最善のことをする。時には子守歌を歌うことも。生身の人間でありながら天使なのです。

時間を計る男性患者、ベランダで喫煙する女性患者とのやりとりは傑作で、ニヤニヤしてしまいました。癌で亡くなった私のは泣き言ひとつ言わなかったけれど、同じく私のが「昼間はどうってことないねんけどね、夜はきついね。こたえる」と言っていたのを思い出し、本作の患者たちのような気持ちだったのかなと思いました。

世界的に深刻な看護師不足に陥っているそうです。この人たちに安らげる時間を。観てよかったと切実に思う作品でした。

『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』

『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』(原題:Shiva Baby)
監督:エマ・セリグマン
出演:レイチェル・セノット,モリー・ゴードン,ダニー・デフェラーリ,ポリー・ドレイパー,フレッド・メラメッド,ダイアナ・アグロン,シルダ・シャウル,グリニス・ベル,ジャッキー・ホフマン,ソンドラ・ジェームズ,リタ・ガードナー他

コロナ下では駐車場代が安くなっていた新梅田シティ。インバウンドが戻ってきてからは徐々に駐車場代が上がり、今はコロナ前の同じぐらいかそれより高いぐらいになってしまいました。日祝のほうがむしろ安くて、仕事帰りにテアトル梅田へ行くときはどこに駐めようかと悩みます。悩むといえば、「ころなか」と書くときに「コロナ禍」か「コロナ下」かも毎回悩みます(笑)。

アメリカ/カナダ作品。カナダ出身のエマ・セリグマン監督による2020年の長編デビュー作。配給会社が『サブスタンス』(2024)を手がけたアートハウス系ストリーミングサービス/配給会社MUBIとやらで、2021年度の最⾼視聴数を記録した作品なのだそうです。タイトルの「シヴァ」はユダヤ人コミュニティのお葬式を指します。

実家住まいで両親からじゅうぶんなお小遣いを受け取っているにもかかわらず、パパ活に勤しむ女子大生ダニエル。そこで出会ったマックスとやることをやっている最中に母親から電話が入る。親戚の誰かが亡くなったらしく、葬式に参列するようにとのこと。葬式だということは伏せ、別の用事ができたと言ってマックスのもとから立ち去るダニエル。

父親のジョエル、母親のデビーと待ち合わせて式場に着いたダニエルは、幼なじみのマヤも来ているのを見て焦る。ダニエルとマヤは高校生の頃「そういう関係」で、レズビアンであることをよく思わないデビーから、葬式の席ではおとなしくしているようにと釘を刺される。

マヤを見ただけでも焦るのに、なぜかその場にマックスの姿も見つけてビックリ。ダニエルはロースクールへの入学を目指しているとマックスに嘘をついていたし、マックスはダニエルに既婚者であることを隠していたのだ。遅れてマックスの妻キムが赤ん坊を連れてやってきたものだから、ダニエルは開いた口がふさがらない。マックスとキムのことを凝視するダニエルを不審に思うマヤだったが……。

驚きますよね、さっきまで寝ていた相手と葬式で顔を合わせたら。しかも双方まったくの嘘をついていた。ダニエルの嘘なんてまだカワイイほう。彼女はマックスにパパ活相手以上の想いを抱いていたのに、マックスは既婚者だった。しかも独身貴族を気取ってゴージャスな生活を送っている様子だったのに、それはすべて美人実業家の妻が稼いだ金を使ったものだとは。高級ブランドの新作ブレスレットを妻と愛人両方に贈っていたのも笑えます。それだって妻のお金ですからね。

荒んだ気分に追い込まれたダニエルを最後に救うのはマヤ。ダニエルがマックスに話していたロースクールの件こそがマヤの経歴で、幼なじみで恋仲だったマヤがどんどん先に行ってしまう。ひとり僻んでマヤを避けていたダニエル。何もわかっちゃいない父親はかなりウザかったけれど、それでもその能天気さに場が救われることもあるし、娘の気持ちを察する母親の存在も心強いです。

何これ、面白い!と思えた1本でした。

『ブルームーン』

『ブルームーン』(原題:Blue Moon)
監督:リチャード・リンクレイター
出演:イーサン・ホーク,マーガレット・クアリー,ボビー・カナヴェイル,アンドリュー・スコット,ジョナ・リース,サイモン・デラニー,キリアン・サリヴァン,ジャイルズ・サリッジ,パトリック・ケネディ,デヴィッド・ロウル他

TOHOシネマズなんばで『スペシャルズ』を鑑賞後、その5分後に上映開始の本作を観るためになんばパークスシネマへ。5分じゃ絶対無理なので、本編に間に合うように走りました。ぎりセーフ。

リチャード・リンクレイター監督が好きです。特に『6才のボクが、大人になるまで。』(2014)は永遠に忘れない。そんなリンクレイター監督がしょっちゅう主演に起用してきたイーサン・ホークが本作でも主演。ブロードウェイで多くの楽曲の作詞を手がけたロレンツ・ハートの晩年を描いており、1895年生まれの彼が48歳だった1943年に路上で倒れこむシーンから始まります。

その前年の1947年。長年ハートと組んで数々のヒット曲を世に送り出してきた作曲家リチャード・ロジャースは、遅刻の常習犯で酒を飲んでは奇行に及ぶハートを見限り、作詞家オスカー・ハマースタイン2世と組んでミュージカル『オクラホマ!』に臨む。その初演日、劇場に足を運んだハートは最後まで観ることなく立ち去り、ひとり馴染みのバーに入る。もうしばらくすれば、ロジャースとハマースタイン、そしてふたりを賞賛する客たちが祝宴のためにここへやってくるはず。それまでの間、バーテンダーのエディ相手にしゃべり続けるハート。同じくひとりで来ていた先客が作家E・B・ホワイトであることに気づくと、ホワイトの隣に席を移り、今度はホワイト相手に話しはじめる。

ハート役のイーサン・ホークは、よくもこれだけの台詞を覚えられたなぁと驚くほど、ずっとしゃべりっぱなし。マーガレット・クアリー演じる20歳の女子大生エリザベスにのぼせ上がり、「今夜」に期待する様子は哀れで痛々しい。本作はそのエリザベスとハートの文通記録に基づいているのだそうです。

ホワイト役のパトリック・ケネディはなんと穏やかな顔と声の持ち主なのでしょう。彼は、私も子どもの頃にくりかえし読んだ『シャーロットのおくりもの』の著者ですね。のちに彼が『スチュアート・リトル』を書くことになったヒントがハートとの会話の中にあることも知れて面白い。

ただひたすらしゃべるハートは病んでいるとしか思えず、相当ウザい。ウザいけれど、ホワイトやエディ(ボビー・カナヴェイル)、ピアノ弾きのリフキン(ジョナ・リース)との会話には、映画や小説やミュージカルなどさまざまな話題が含まれていて聞き入ってしまいます。タイトルに「!」が付いている作品は駄目だという持論なんかも笑いました。実在する作品や人物などについてのそういった話が面白かった。このイーサン・ホークの髪型は絶対好きになれないけど。(^^;

『スペシャルズ』

『スペシャルズ』
監督:内田英治
出演:佐久間大介,椎名桔平,中本悠太,青柳翔,小沢仁志,羽楽,前田亜季,平川結月,矢島健一,六平直政,石橋蓮司他

姐様方とNGKに行く前にひとりなんばで映画のハシゴ。まずはTOHOシネマズなんばにて、『ナイトフラワー』(2025)の内田英治監督による本作を鑑賞しました。

暴力団の二大勢力のうちの片方、風間組のナンバー2である熊城(椎名桔平)は、なんとしてでも親分の風間(六平直政)を「いちばん」にしたい。そのためにはもう片方の本城会会長の本条(石橋蓮司)を殺さねばならず、以前から本条を追っては急襲を仕掛けている。しかし用心深い本条は何人もの影武者を用意しているらしく、熊城が殺したのは影武者ばかり。いったいどうすれば本物の本条を殺せるのかと苛立っていたところ、舎弟のひとりが物凄い情報を持ってくる。

その舎弟曰く、彼の娘を通わせているダンス教室に、本条の孫娘(平川結月)も通っているとのこと。孫娘を溺愛する本条は、毎年おこなわれるダンス大会だけは影武者を立てずに本人が必ず観に来るだけでなく、見やすいように最前列に席を確保しているらしい。それを聞いた熊城は、ダンスの経験がある腕利きの殺し屋たちを集めてダンス大会に出場させ、ステージ上から本条を撃ち殺すことを思いつく。

熊城に呼び出されたのは3人。今は足を洗って児童養護施設で働くダイヤ(佐久間大介)と、いずれも一匹狼の殺し屋、桐生(中本悠太)とシン(青柳翔)。ひとり1億円というギャラを提示されても最初は断ったダイヤだったが、児童養護施設が立ち退きを迫られていることを知り、地主から買い取る金を作るために引き受けると決める。但し、いざというときに逃げられては困るからと、ダンスチームに熊城も入るようにとの条件をダイヤは付ける。

こうして練習を開始した彼らだが、何かといえばすぐに小競り合いに。巷のダンス教室に入るも、レッスン中に喧嘩を始めて器具を破壊するなどして、すぐに出禁を言い渡される。どうしようかと思っていたところ、児童養護施設にいる明香(羽楽)と出くわす。彼らが殺し屋だとはもちろん知らないまま、ダンスの指導を買って出る明香。5人いればフォーメーションを組めるのにという明香の一言で、熊城は刑務所時代の兄貴分・村雨(小沢仁志)をチームに引き入れて……。

客入りが良いのはSnow ManやらNCTやらのメンバーが出演しているからというだけでしょ!?と思っていましたが、大変失礼いたしました。すごく面白かった。だいたい内田監督のことがあまり得意ではないという思い込みもありまして。なんだよこの監督、半端に暗い話が多いじゃないかと今まで思っていたのに、こんな楽しい話も撮れるんだわと目からウロコ。こっちの内田監督作品のほうが断然好きですね。

集められた殺し屋たちは、ダンスの経験があるといってもバレエだし、所属していたというダンス部も、ひとりは男子がダンスなんてといじめられていたし、もうひとりは町内会でフォークダンス。村雨に関しては盆踊りです(笑)。最初は気恥ずかしさもあってやる気を見せなかった面々が、「上手い下手は関係ない。パッションが大事」だと言う明香の指導のもと、次第に踊ることが楽しくて仕方なくなっていく姿がよかった。殺し屋らしくオチもきっちりついていて、きっちりエンターテインメントでした。今も頭の中に流れる“センチメンタル・ジャーニー”と“フライディ・チャイナタウン”♪

鑑賞後に中本悠太くんについて調べました。彼はお母さんがファンだったという東方神起を見て衝撃を受け、10代半ばで単独渡韓、K-POPアイドルグループのメンバーになる夢を果たしたそうで。応援したくなりました。