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『HYBE CINEMA NORAEBANG』【応援上映】

『HYBE CINEMA NORAEBANG』(英題:HYBE Cinema Noraebang)

HYBEといえばBTSを輩出した韓国の大手総合エンタテインメント企業。創設者のパク・シヒョクは、もともとは2PMやTWICE、NiziU、Staray Kidsなどを擁する別のエンタテインメント企業に所属していた作曲家だったところ、2005年に独立して起業。2013年にBTSを輩出するまではずいぶん苦労したようです。

そんなHYBEが抱えるK-POPグループのアーティストたちのコンサート映像を上映する“HYBE CINE FEST IN ASIA”が期間限定の週替わりで上映されています。本作はそのオマケ的な特別上映作品で、各グループの代表曲のMV(ミュージックビデオ)をひたすら流すというもの。

人気グループ10組と言われても、私は読み方さえわからないグループがほとんど。もちろんお目当てのBTSはわかるとして、過去になんらかの形で観たSEVENTEENTOMORROW X TOGETHERもわかる。それ以外によく見かけるENHYPENも読み方知らず、帰宅後に調べる始末(笑)。あとはLE SSERAFIM、&TEAM、BOYNEXTDOOR、TWS、ILLIT、KATSEYEが登場します。BTSは残念ながら最初と最後の2曲のみ。SEVENTEEN、TOMORROW X TOGETHER、LE SSERAFIMの曲が多かった印象。ENHYPENも何曲かありました。

「NORAEBANG(ノレバン)」とはカラオケのことだそうで、本作のMVは歌詞付きの上映だから、大画面のカラオケを体験しているかのよう。スクリーンの左上端には次にかかる曲が表示され、右上端にはあと何曲かの表示も。ただし、日本語字幕は無しで、韓国語とその読みをアルファベット表記した字幕だけだから、ある程度歌えなきゃどうしようもないし、歌の意味もわかりません。発声OKの応援上映だったにもかかわらず、客があんまりいないこともあり、みんな恥ずかしいのか歌わない。でもイケメンとカワイイ女子が歌い踊るのを大画面で観られるのっていいですね。ただただニヤける。

応援上映の醍醐味は感じられなかったけれど、ひとりで観に来ていた若い男性客が、退場後に“Dynamite”を口ずさみながら歩いているのが聞こえてきて、なんだかちょっと嬉しくなったのでした。

『この夏の星を見る』

『この夏の星を見る』
監督:山元環
出演:桜田ひより,水沢林太郎,黒川想矢,中野有紗,早瀬憩,星乃あんな,和田庵,萩原護,秋谷郁甫,増井湖々,安達木乃,蒼井旬,松井彩葉,中原果南,工藤遥,小林涼子,上川周作,河村花,朝倉あき,清水ミチコ,ビスケッティ佐竹,堀田茜,近藤芳正,岡部たかし他

イオンシネマ茨木にて、前述の『愛されなくても別に』とハシゴ。

辻村深月の同名青春小説を映画化した山元環監督は大阪芸術大学出身。卒業制作として撮った『ゴロン、バタン、キュー』が2015年度のPFF(ぴあフィルムフェスティバル)アワードをはじめとするいくつものコンクールで受賞。その後、ショートフィルムやTVドラマの脚本・演出・監督を務めてこのたび本作の公開に至る。

茨城に住む高校生・溪本亜紗(桜田ひより)は入学するや天文部へ入部。同学年の飯塚凛久(水沢林太郎)や先輩たちと共に空へと想いを馳せながら部活動に没頭していたが、コロナが襲来する。緊急事態宣言の発令中は登校もできず、制限が緩和された後も部活動は自粛の方向。2020年の夏は楽しみにしていた合宿さえも中止になり、何かできないことはないか考えはじめる。

東京の中学生・安藤真宙(黒川想矢)はサッカーが大好きなのに、コロナで活動できないままサッカー部が廃部になってしまう。放課後ひとりでボールを蹴る真宙にしつこくつきまとうのが理科部の中井天音(星乃あんな)。唯一の新入生である真宙にどうしても理科部に入ってほしいから。最初はウザくてたまらない真宙だったが、かつて一緒にサッカーをしていた先輩・柳数生(秋谷郁甫)が今は宇宙に夢中だと知り、天音の話を聴いてみることにする。

長崎の五島では、女子高生の佐々野円華(中野有紗)が急に親友の福田小春(早瀬憩)から避けられるようになって悩んでいた。理由は円華の実家である旅館が県外からの宿泊客を受け入れているせいで、コロナ感染を心配する小春の親が円華とつきあわないように言っているらしいとわかる。落ち込む円華に星を見に行こうと誘ったのが県外からの留学生・武藤柊(和田庵)。

手作り望遠鏡で星を探すイベント“スターキャッチコンテスト”なるものがあることを知った真宙は、チラシに記されている高校の天文部に問い合わせ。たまたま電話に出た亜紗は「中学生でもスターキャッチができるか」と真宙から聞かれて、オンラインでコンテストを開催することを思いつき……。

126分を140分ぐらい冗長に感じて、個人的にはちょっとしんどい。これで終わりかと思ったときが何度かあり、そのたびにアララまだ続くんだとも思いました。車椅子に乗る家族に自作の望遠鏡で星を見せたいというのもお涙頂戴に走りそうな気配があり、私は正直なところ、あんまり得意じゃない。

感動的な場面でいちいちマスクを外して抱擁とかも好きになれなかったけれど、でもでも、せっかくの青春期の大半をコロナ下で過ごした学生たちの「マスクを取って笑い合いたい」、そんな心境をこれで表していたのかもしれません。何よりも夜空がとても美しい。たとえ画面越しであっても同じ想いの人たちと繋がり、同じ星を追いかける。これ以上にない素敵なイベント。宝物になると思います。この映画にケチをつけちゃいかんのだよ、私。

『遠い空の向こうに』(1999)を思い出しました。

『愛されなくても別に』

『愛されなくても別に』
監督:井樫彩
出演:南沙良,馬場ふみか,本田望結,基俊介,伊島空,池津祥子,河井青葉他

イオンシネマ茨木にて。

原作は“響け!ユーフォニアム”シリーズの武田綾乃による同名小説で、吉川英治文学新人賞の受賞作。井樫彩監督の作品を観るのは私は初めて。公開から1週間以上経っていて、もうじき上映が終了してしまいそうなとき。スルーしかけていたのですが、観てよかった。

大学生の宮田陽彩(ひいろ)(南沙良)は幼い頃に両親が離婚して以来、母親(河井青葉)と2人暮らし。働きもせず家事もせず家に男を連れ込む母親に代わって家計を担わなければならないから、宮田は授業の時間以外をほぼすべてコンビニでのアルバイトに費やしている。

体調不良で授業を欠席した日のレジュメを後日もらおうと先生に直談判するが、いかなる理由でも欠席者のフォローはしないと冷たく言い放たれてガックリ。ノートを見せてほしいと頼める友人などいない宮田は、教室でよく見かける木村水宝石(あくあ)(本田望結)に声をかける。あなたにノートを見せて私に何の得があるのかと言う木村と話すのが面倒になって立ち去ろうとすると、宮田と同じコンビニで働く江永雅(みやび)(馬場ふみか)とはつきあわないほうがいいと木村が忠告してくる。江永の父親は殺人犯だからだと。

江永とは大学も同じだが、見た目が派手で愛想皆無の彼女とはバイト先で会っても必要最低限のことしか話したことがない。木村の話を確かめたくなった宮田が江永に単刀直入に聞くと、江永の答えは想像の遥か上を行くもので……。

宮田と江永と木村、三者三様に毒親のもとで育っています。木村だけは毒親というのは当てはまらないかも。地方から東京へ出てきた娘のことが心配で2時間毎に電話をかけてくるという異常に過保護な親だけど仕送りもたんまり。その金を木村は新興宗教につぎ込んでいます。一方の宮田は何が何でも大学は出ないと良いところに就職できないと思って頑張っているけれど、実は母親は娘の奨学金も元夫から受け取る養育費も全部遊興費として使っている。娘に向かって絶えず発する「愛している」という言葉の薄っぺらいこと。また、江永は轢き逃げを犯して逃走中の父親から性的虐待を受け、味方だと思っていた母親からも実は疎まれていたことに気づいて家を出た身。自分こそ最も不幸だと思っていた宮田は江永の話を聴いて愕然とします。

宮田が実家暮らしだと聞いた江永が「いいね、殺したいときにいつでも殺せる」という台詞が衝撃的すぎて笑ってしまったほど。本当に母親を殺したくなった宮田が家を飛び出し、頼る相手は江永しかいません。こうして始まるふたりの生活。

江永が父親の殺した相手の息子(伊島空)につけ狙われたり、木村が通う新興宗教の教祖に会いに行くと木村の母親が乗り込んできたりと不穏なシーンがいっぱいですが、不思議と荒んだ気持ちにはなりません。愛されたいと思っているわけじゃない、愛されなくても別にいいし、別にいいんだよと思わせてくれる人がいてほしい。

南沙良と馬場ふみかの演技が最高です。このふたりをいつまでも見守っていたくなる。

『マーヴィーラン 伝説の勇者』


『マーヴィーラン 伝説の勇者』(原題:Maaveeran)
監督:マドーン・アシュヴィン
出演:シヴァカールティケーヤン,アディティ・シャンカル,ミシュキン,スニール,ヨーギ・バーブ,サリタ他
声の出演:ヴィジャイ・セードゥパティ

封切り日、109シネマズ箕面にて21:05からのレイトショー。ボリウッドだもの、161分の長尺で、上映終了時刻は23:55。きっと客は私ひとりだろうなぁと思っていたら、はい、正解。早くも今年8回目の“おひとりさま”

主演のシヴァカールティケーヤンはタミル語映画界のスターだというけれど、全然タイプじゃない。ラーム・チャランでもサルマーン・カーンでもリティック・ローシャンでもない、私にとって鉄板のヴィジャイでもない、ただの暑苦しい男を3時間近く見続けていられるだろうかと懸念しましたが、インドの建設事情があらわになる作品は面白いですね。

青年サティヤはヒーロー漫画『マーヴィーラン』を描いては地元の新聞社に持ち込んでいる。漫画など流行らないと言う編集者はいずれ漫画欄は広告欄になるからと難癖をつけて、原稿を毎度受け取って連載の形は取るものの、サティヤの署名を勝手に書き換えて本名を名乗らせてくれない。サティヤの母親も漫画など金にならないと言っているから仕方のないこと。

そんなある日、サティヤと母親と妹が暮らすスラムが再開発の対象となり、住人たちは立ち退きを迫られる。あまりに急なことで皆戸惑うが、開発業者が近隣に建てたマンションを提供してくれるとのこと。ほかに選択肢はなくて渋々移動すると、そこには見たこともないような洒落た高層マンションが建っているではないか。いつのまにこんなものを建てたんだと驚きつつ喜ぶ元スラムの住人たち。

ところが入居してみるとハリボテもいいとこ。浴室のノブを持てば外れ、写真を飾ろうと釘1本打っただけで壁が崩れる。窓を開けようとすれば窓ごと落下。住人たちが手抜き工事を指摘すると逆に修理代を請求される始末。実は再開発事業の陰には悪徳政治家の存在があった。誰もが怒りを露わにするなか、争いごとが苦手なサティヤだけは事を荒立てないように努め、『マーヴィーラン』の中ではヒーローを悪に対峙させる。すると、例の新聞社の副社長だという美女ニラーが『マーヴィーラン』を気に入り、サティヤは自分こそが作者であることを明かして描くようになる。

漫画の中では気丈でも実際は臆病なサティヤだったが、事故で瀕死となった時をきっかけに天の声が聞こえはじめる。天の声はサティヤを勇者と呼び、民衆のために悪徳大臣ジェヤコディをぶっ潰すように語りかけてきて……。

スターだけあってもちろん不細工じゃないですよ。インドではこの手の顔が人気あるのでしょう。だけど、私はそうじゃないから、タイプじゃない人を3時間見続けるのはやはりツライものがあります。しかも客は私しかいないから、普段は絶対しない「上映中にスマホを見る」をやってしまったじゃあないですか。(T_T)

とはいうものの、冒頭に書いたように、インドの建設業界における不正がどんなふうなのかわかるのは面白い。再開発事業に関わるものとしては『無職の大卒』(2014)がめちゃめちゃ面白かったし、『ハーティー 森の神』(2021)なんかもそうですね。『ジガルタンダ・ダブルX』(2023)も『ハーティー』同様に政治家が森を狙う話でした。また、『ただ空高く舞え』(2020)は再開発の話ではないけれど、民衆も乗れる飛行機を飛ばそうとしたら政治家の妨害に遭ったのですよね。まったく、インドの政治家で崇高な人はいないのかと思ってしまうほど、金が絡むとなると一枚どころか何千枚も噛みたがる奴が多すぎる。

ジェヤコディ役には思いっきり悪人顔のスニール。ニラー役のミシュキンは本当に綺麗。一度見たら忘れない風貌のヨーギ・バーブは、やっと仕事にありついたと思ったら欠陥工事の修理ばかりやらされるはめになったうえに責任を押しつけられそうになるタミル人クマールの役で、今回も笑わせてくれます。韓国映画でいうところのユ・ヘジンオ・ダルスの役回りってとこですかね。天の声を担当するのはヴィジャイ・セードゥパティ。さすがです(笑)。

中盤まで集中力は途切れがちでしたが、天の声の力を借りなければヨワヨワで腹立たしいほどだったサティヤが本物の勇者となる最後は最高。終わってみれば楽しかったと言えるボリウッドなのでした。

『おい、太宰 劇場版』

『おい、太宰 劇場版』
監督:三谷幸喜
出演:田中圭,小池栄子,宮澤エマ,梶原善,松山ケンイチ

公開初日、仕事帰りに109シネマズ箕面にて。

三谷幸喜の完全ワンシーンワンカットシリーズ第3弾!」と銘打たれていますが、第1弾と第2弾が何やったか知らんし。調べてみたらWOWOW制作のシリーズで、三谷幸喜のオリジナル脚本を彼本人が監督を務めて一度もカメラを止めずに撮るというのがウリのシリーズらしい。第1弾が『short cut』(2011)で中井貴一鈴木京香の共演、第2弾は『大空港2013』(2013)で主演が竹内結子。そしてその両方に出演している梶原善がこの第3弾で一人三役を務めています。WOWOWでは6月29日に放送され、7月11日に劇場版として公開されました。

友人の結婚式に参列した夫婦・小室健作(田中圭)と美代子(宮澤エマ)は、北鎌倉からバス停を探して歩くも見つけられず。地元民の打雷次郎(梶原善)を見つけて道を尋ねるが、兄の四郎(梶原善)と電話で白熱中の彼はバス停の場所をなかなか教えてくれない。ようやく聞き出してバス停に向かおうとしたそのとき、健作はここが太宰治ゆかりの地であることに気づく。

ここ八里ヶ浜は、まだ無名だった太宰治(松山ケンイチ)がカフェーの女給をしていた矢部トミ子(小池栄子)と心中をはかった場所で、今日はまさに同じ日。興奮を抑えきれず、太宰がいたこの浜辺を散策しはじめる。すると、洞窟を抜けた先には当時の太宰とトミ子がいるではないか。しかも打雷兄弟の父親・四郎次郎(梶原善)まで生きている。この心中が未遂に終わり、太宰は生き残って『人間失格』を執筆し人気作家となるものの、トミ子は死んでしまうことを知っている健作はどうすべきか迷い……。

鑑賞後にあらためてWikiなどを読んでみると、太宰ってめちゃめちゃ死のうとしていた人なんですね。20歳で初の自殺未遂(「初の」と言うのも変だけど)、約1年後に今度は初の心中未遂。これが本作のモチーフになっているようで、鎌倉の小動岬で女給と心中を図り、彼だけ生き残って彼女は死亡。その後も試験に落ちては自殺を図り、嫁の不倫を知っては嫁と心中を図り、それでもモテモテで再婚して愛人もいて、どちらとの間にも子どもを授かって、すごいやっちゃなぁ。結局最後は心中を果たして本望だったでしょうか。

三谷幸喜だから、こんな太宰の心中事件もあっけらかんと描いています。自分だけ死んでしまうのだと知ったトミ子は、途中でそんなの嫌だわと思うけれど、心中相手を探しているとしか思えない太宰が美代子をその相手に選びそうになったときライバル心が芽生える。そして、心中から生き延びてみせるとにこやかに健作に言い放つ姿が良いです。

田中圭の起用は間の悪いこととしか言いようがありませんが、それはそれ、これはこれで観りゃいいと思います。そもそも私は不倫否定派ではないから、田中圭と永野芽郁のことはどうでもいい。しかし、どうでもいいからそれとは切り離して考えて観に行ったほうがいい作品だよとまでは言えません。少なくとも三谷幸喜の前作『スオミの話をしよう』(2024)よりは面白かったですけどね。

ところでTVドラマ版と劇場版には何か違いがあるんですか。