『映画 教場 Reunion』
監督:中江功
出演:木村拓哉,綱啓永,齊藤京子,金子大地,倉悠貴,井桁弘恵,大友花恋,大原優乃,猪狩蒼弥,中山翔貴,浦上晟周,丈太郎,松永有紗,佐藤仁美,和田正人,荒井敦史,高橋ひとみ,佐藤勝利,中村蒼,小日向文世他
長岡弘樹原作の警察小説“教場”シリーズは2020年にまずフジテレビ開局60周年特別企画として第1弾が放送されました。その1年後に新春ドラマスペシャルとして第2弾、さらにその2年後に今度はフジテレビ開局65周年特別企画として月9枠で第3弾を放送。昨年暮れ頃から劇場へ足を運ぶたびに「風間公親だ」とキムタクが凄む予告編を目にしたので、てっきり劇場公開作品だと思っていたら、正月休みにNetflixで「あなたへのオススメ」にこれが上がってくる。もしかしてNetflix独占配信作品だけど一部の劇場で公開というやつなのかしら、ならばいったい劇場公開はいつからなのよと思いつつ観はじめました。鑑賞後にネットニュースを見てわかったのは、『映画 教場』は前編と後編に分かれていて、この前編のみNetflixで配信。後編の『映画 教場 Requiem』は来月下旬に劇場公開するのだそうで。いろいろと見せ方を考えるものですねぇ。
TVドラマ版は一度も観たことがないので、過去の話や登場人物についてはまったくわかりません。神奈川県警察学校の教官・風間公親(木村拓哉)は、警察官になることを目指して入学した訓練生たちを前に「ここは警察官として適性のない者をふるいにかける場」と言い切ります。適性なしと判断した生徒には、容赦なく退校届を突きつける冷徹な人物。
風間に嘘をつけばすぐバレる。かつて、交番で自殺を図ろうとしている警察官を見かけて止めた訓練生(佐藤勝利)は、表彰を受けた偉い奴のイメージを持って入学したのに、それが徒(あだ)になります。成績トップの女子(齊藤京子)は、2位の男子を意識しすぎて貶めようとするけれど、男子のほうはその女子に好意を寄せていてストーカーまがいのことをする。幼い頃、兄にいじめられたせいでブラジリアン柔術を習って誰よりも強くなったと自負する訓練生(中村蒼)は、アドレナリンがたぎると相手を殺してもかまわないと思っている。町工場を営む両親が安心できるようにマル暴の刑事になりたい訓練生(金子大地)は、身体に不自由な部分があることを隠したまま入学しています。そんなこんなをすべて見抜いた風間が訓練生たちにどう応対するか。
写真が趣味ゆえに撮影係を申しつけられた訓練生・門田陽光を演じる綱啓永がとてもいい。二枚目役だったり三枚目役だったり、こんなシリアスな役もこなせて、役者としての彼の成長をずっと見ていたくなります。絵が得意な訓練生・渡部流の猪狩蒼弥の役柄も面白い。前編は林遣都が何やら悪事を働きそうな場面で終了。後編も観なきゃ仕方なくなるわけで、上手いこと作っています。乗せられとるなぁ。(^^;
それにしても警察学校ってマジでこんなに厳しいんですか。警察官はみんなこんな訓練に耐え抜いた人!?
『ワーキングマン』
『ワーキングマン』(原題:A Working Man)
監督:デヴィッド・エアー
出演:ジェイソン・ステイサム,デヴィッド・ハーバー,マイケル・ペーニャ,ジェイソン・フレミング,アリアーナ・リバス他
テアトル梅田で3本目の上映終了時刻が20:32。109シネマズ箕面で21:00上映開始の本作に間に合うかな微妙かなと思いながら車を走らせましたが、余裕のよっちゃん(って死語かしら)、予告編開始と同時に入場することができました。お正月の新御は往復ともにガラガラで良いですねぇ。
去年もお正月に観たよ、ジェイソン・ステイサム。ハゲ俳優のなかでいちばん好きです。顔もダミ声も。本作の監督はその去年の正月に観た『ビーキーパー』(2024)と同じデヴィッド・エアー。派手で軽いアクションものがお得意なのかと思ったら、かつては『フューリー』(2014)の監督も務め、さらにその前にはデンゼル・ワシントン主演の『トレーニングデイ』(2001)やジョナサン・モストウ監督の『U-571』(2000)の脚本を担当しています。で、本作でプロデュースを務めているのはなんとシルヴェスター・スタローンで、脚本もエアー監督と共同執筆しているのですと。なんだそれは、“エクスペンダブルズ”シリーズ繋がりなのか。きっと仲良しなんですね。(^o^)
元英国海兵隊特殊部隊員のレヴォン・ケイドは、現在はシカゴのファミリー企業ガルシア建設の現場監督として働いている。雇い主のジョー・ガルシアとその妻カーラ、一人娘のジェニーは家族同然。大学生のジェニーは特待生として音楽家への道を進むこともできたのに、家業を継ぎたいからと経営学を学ぶことを選択。そんなジェニーをレヴォンは温かく見守り、いつでも助けると約束している。
このようにガルシア一家とは良い関係を築いているレヴォンだったが、海外赴任中に鬱病を患っていた妻が自殺したせいで、義父リチャードからは酷く恨まれている。レヴォンのまだ幼い娘イスラは普段は富裕なリチャードの家に預けられ、レヴォンの面会日にわざわざリチャードは邸宅でパーティーを開くような嫌がらせぶり。親権をリチャードのみにするように弁護士に申し立てている。金のあるリチャードに太刀打ちするのは難しそうだが、賢いイスラは健気にレヴォンを励ましてくれる。もっと金を貯めてなんとかイスラを引き取りたい。リチャードの挑発に乗って暴力を振るったりすれば一巻の終わりだと我慢の日々。
ところがある日、友人たちと出かけたジェニーが失踪。警察に届け出るも家出扱い。レヴォンが特殊部隊員であったことを知っているジョーとカーラは、ジェニーを捜し出してほしいと懇願。厄介事に巻き込まれればイスラを引き取れなくなると一旦は断るレヴォンだったが、ジェニーも娘同様。悲嘆に暮れるジョーとカーラに必ずジェニーを見つけて連れ帰ると約束し、捜索を開始する。すると、ロシアンマフィアが絡む世界的な人身売買組織にたどり着いて……。
こんな話、誰がやっても同じだとは思うのです。リーアム・ニーソンは『96時間/リベンジ』(2012)でも『MEMORY メモリー』(2022)でも人身売買組織に乗り込んでいますし、本作の脚本を書いたスタローンだって『ランボー ラスト・ブラッド』(2019)で乗り込んでいます。誘拐されるのが本人の娘か孫娘か友人の娘か程度の違いで。アクション系の中年俳優なら同じ脚本で誰でもできるでしょう。でも誰がやっても面白くなるんですよね。そして、人身売買がなくならない限り、同じでも何でも定期的に私たちに思い起こさせるものとして作り続けてほしいと思うのです。これがエンタメではなくて実際にあることなんだよと知らしめるために。『サウンド・オブ・フリーダム』(2023)を観たときは衝撃的でしたから。
人身売買に絡むマフィア、変態趣味の金持ち、みんな死んでほしい。せめて映画の中だけでも一掃されればスッキリです。よっしゃ!
『鮫肌男と桃尻女』【2Kレストア版】
『鮫肌男と桃尻女』
監督:石井克人
出演:浅野忠信,小日向しえ,岸部一徳,真行寺君枝,高杉亘,我修院達也,鶴見辰吾,島田洋八,寺島進,森下能幸,田中要次,堀部圭亮,関根大学,清川均,津田寛治,山田新五郎,山野久治,安部聡子他
『マッド・フェイト 狂運』→『ヴィレッジ 声帯切村(コエキリムラ)』→これ。
テアトル梅田にて、“石井克人ワールド”と称して上映されていた4作品のうちの1本で、1998年の作品。原作は1993年から1994年に渡って『ミスターマガジン』で連載されていた望月峯太郎の同名漫画。浅野忠信の出世作ということでいいのかしら。彼ってこの時点ですでに売れっ子でしたっけ。まぁどっちでもいいや。
とある田舎町の郵便局へ金を引き出すべく出向いたホテル従業員の桃尻トシコ(小日向しえ)は、記帳後の通帳を見て愕然。90万円あったはずの預金がすべてなくなっているではないか。ホテルのオーナーで叔父のソネザキ(島田洋八)に電話すると訳のわからない言い草。ちょうどそのとき、郵便局で強盗事件が発生。犯人に撃たれた男をトシコが介抱する。
それから2年が経過。退屈な毎日と叔父の束縛に嫌気がさしていたトシコはひそかにホテルを脱出、車を走らせる。そんな彼女の前に現れたのは、ヤクザの組の金1億円を横領して逃亡中の鮫肌黒男(浅野忠信)。元の生活に戻りたくないトシコは黒男と共に逃げるのだが……。
若かりし頃の浅野忠信は色気があります。小日向しえってココリコ田中直樹と結婚していた時期があったようですが、今はいったいどうしているのか。ほかのキャストも今の活躍を思いながら観るのが楽しい。ヤクザの幹部に岸部一徳。その部下には高杉亘とか田中要次とか堀部圭亮とか津田寛治とか。女性の匂いを嗅ぎ分ける鶴見辰吾が気持ち悪くて、ほとんど台詞のない女帝が真行寺君枝。トシコを逃がすのは実は黒男と仲良しの沢田で、その役が寺島進。愛があって○。凄腕なんだか間抜けなんだかわからないヒットマン山田を演じる旧芸名・若人あきらの我修院達也もいいなぁ。
サメハダとトシコの出会いが明かされ、沢田がトシコを思い出すラストが好きです。これ私、初見でしたね(笑)。
『ヴィレッジ 声帯切村(コエキリムラ)』
『ヴィレッジ 声帯切村(コエキリムラ)』(原題:Azrael)
監督:E・L・カッツ
出演:サマラ・ウィーヴィング,ヴィク・カルメン・ソンネ,ネイサン・スチュワート=ジャレット,カタリナ・ウント,エーロ・ミロノフ他
正月3日にテアトル梅田にて3本ハシゴの2本目。前述の『マッド・フェイト 狂運』の次に。タイトルから怖そうな邦画だと思ってスルーしかけたのですが、時間的にちょうどいいなぁと思って詳細を確認したら、アメリカ/エストニア作品でした。原題の“Azrael”はヘブライ語で「神が助ける者」や「神の救い」を意味し、ユダヤ教やキリスト教、イスラム教において「死を司る天使」として知られているそうです。よくもこんなおどろおどろしい邦題を考えついたもんだ。
声帯を切除した人々で成されているカルト教団が住まう村。ある日、森の中で密会して逢瀬に至福を感じていた女性と男性も村人同士。しかしそれに気づいたほかの村人たちに追われ、ふたりは捕まって別々の場所に連れて行かれる。森には血のにおいに引き寄せられて人を喰らいに来る謎の生物が存在し、女性は生贄に選ばれたらしい。リーダー格の村人から脛を切られ、椅子に縛り付けられて謎の生物の到来を待つ間、見張りの村人たち4人は女性には背中を向けて離れた場所に立つのが習わし。女性が必死で逃げようとするうち、縛っていた紐がちぎれかけたのに気づいて縛り直しに来た1人に抵抗したところ、木片がその村人の首に刺さって死亡。あとの3人はまだそれに気づいていない。女性は命がけの逃走を開始するのだが……。
声を出せる者は誰もいませんから、当然台詞なし。人々も謎の生物も発するのはうめき声だけ。あ、唯一台詞があった人がいたんだった。逃走中の女性を助ける車の男性が。助けたせいであえなくお陀仏となってしまうのですけれど。ネタバレだ。こういうシーンを見ると、逃げているらしき人を助けるべきかどうか迷ってしまう。ちなみに彼が話しているのはエスペラント語のようです。
『サプライズ』(2011)で脚本を担当したサイモン・バレットが製作と脚本を務めています。彼は『ゴジラ×コング 新たなる帝国』(2024)の原案者でもあります。『サプライズ』がとにかく面白くて、サバイバル能力に長けた女性が敵を次々に倒していくのがひたすら痛快でした。本作もB級の域は出ないにしても結構面白い。捕まっても、吊り下げられても、埋められても、どうされようがあきらめない女性。埋められて謎の生物に襲いかかられかけたときに「あら、これって!?」と気づくシーンが面白かったですね。これもネタバレしちゃってもいいんですが、気になる人は観に行ってください。おぞましいオチが待っています(笑)。つまりは“Azrael”が主人公女性の名前で、彼女こそが「死の天使」なのねと最後まで観て納得。
おそらくもうじきAmazonプライムビデオでも視聴可能になりそうな雰囲気です。
『マッド・フェイト 狂運』
『マッド・フェイト 狂運』(原題:命案)
監督:ソイ・チェン
出演:ラム・カートン,ロックマン・ヨン,ン・ティンイップ,ン・ウィンシー,チャン・チャームマン,ウォン・チンヤン他
元日はなんばで映画を2本観て、2日は友人宅で昼からずーっと飲んで食べて。飲み疲れて正月休みの残り2日間は家でおとなしくしているつもりでしたが、2日の晩に体重計に乗ったらここ何年も見たことがないくらいに増加しているではないですか。こりゃいかん、家にいたらまた何か口にしてしまいそうだと、食べられない状況作りにまずはテアトル梅田へ。なんばと同じく梅田スカイビルも駐車料金の値上げなし。地下の有人駐車場の係員のおっちゃんたちはみんな物腰やわらかくて親切。
さてさて、本作は『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』(2024)が大当たりしたソイ・チェン監督が、その前年の2023年に手掛けたという作品。『トワイライト・ウォリアーズ』のヒットを受けてこれも公開が決定したのでしょうね。主演は2人、ラム・カートンとロックマン・ヨン。私はどちらも知らないのですが、前者はアラ還で俳優歴も長く、後者は2018年にデビューした香港初の大規模な男性アイドルグループ“MIRROR”に属しているそうで。しかしロックマン・ヨンってあんまりアイドルって顔立ちでもない気がするのは役柄のせいなのか。それとも香港のアイドル顔は韓国や日本のそれとは違うのか。とか思いながら過去のブログ記事を調べてみたら、MIRRORのほかのメンバーが出演している作品を観てるやんか私。しかも「2025年の好きだった映画」に挙げてるし。
不幸な境遇に育ったホイは、救える人がいるならば救いたいという思いから風水に基づく占い師になった。ある晩、娼婦メイの悪運を祓っている途中に大雨に降られ、もう懲り懲りだとメイがその場から立ち去ってしまう。自宅兼仕事場のマンションに帰ったメイを待ち受けていたのは娼婦を狙う連続猟奇殺人鬼。たまたま部屋を間違えて配達に来た青年シウがメイの悲鳴を聞き、どうしたものかと思っていたところにメイを追いかけてホイが到着。ドアを蹴破って侵入すると犯人が飛び出してきて逃走。部屋には無残に殺されたメイの姿があった。通報するホイのそばで、メイの遺体を恍惚の表情で見つめるシウ。
ベテラン刑事ベテラン(←名前)にはシウと因縁があった。シウは生来の残虐性を持ち、鋭い刃物に惹かれ、動物を見れば殺したがる。実姉が寝ている隙に布団の周囲にナイフを並べ立て、起きた姉が顔を含む身体中に生涯消えない傷を負ったこともある。シウに手を焼き恐れる家族が安心できたのは、シウが刑務所に入っていた間だけ。そんなサイコパスのシウを少年時代から見てきたベテランは、今度こそシウが犯人かと思ったが、シウは例によって血を見て目をぎらつかせていただけらしい。警察に同行したホイがシウの相を見ると、まもなく殺人を犯して投獄される運命にあると出る。「人は殺したい、でも牢獄に入るのは嫌だ」と言い募るシウの運命を変えることこそが自分の使命だと感じたホイは……。
ノリが異様(笑)。ホイ役のラム・カートンがやかましすぎてちょっと辟易するほど。一方のシウ役のロックマン・ヨンは、えっ、彼がアイドルなの!?と思うような風貌。たぶんアイドル然としているときはカッコイイかカワイイのでしょうが、本作ではどう見ても世の中からはみ出たサイコパス男。この2人があーだこーだと言いながら奔走する様子はコメディとして観るのが正しいのか。猟奇殺人犯が怖すぎるから笑えないのに、奴を何度も見ていながら目の前にいるときにそうと気づかない刑事はマヌケそのもの。最後は憑依の話になって、もう闇鍋状態です。
睡魔に襲われることはなかったし、面白かったと言えます。だけどどう評価すればよいのかわからないというのが正直なところ。そりゃもう『トワイライト・ウォリアーズ』のほうが断然洗練されていて百倍くらい面白い。こうして監督としてのステップを上がって行くんだろうなぁ。





