2026年1月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:4630ページ
ナイス数:1973ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2026/1
■成瀬は都を駆け抜ける
のっけから余談ですが、去年は映画418本を劇場鑑賞しました。これだけ劇場通いに励むと読書との両立は難しく、プロフィール欄に年間150冊ほど読みますと書いたのは大嘘に。今年は読書を元のペースに近づけるべく最初に読むならこれでしょう。京大の炬燵でまずふき出し、探偵ナイトスクープ、たねやに叶匠壽庵と来れば関西人ならニヤニヤ。成瀬にちょっぴり変化があっても、成瀬は成瀬。物事をシンプルに考える。「そういう子なので」も言い方と考え様次第。いつまででも見ていたくなるけれど、とりあえずお別れ。またいつか会えるでしょうか。
読了日:01月02日 著者:宮島未奈
https://bookmeter.com/books/22923973
■タラニス 死の神の湿った森 (角川ホラー文庫)
先月発売された内藤了の文庫新刊2冊のうち、“鳴瀬清花”シリーズを先に読んだのは、「登場人物が日本人のほうが読みやすそうだから」でした。後回しにした本作は、“藤堂比奈子”シリーズに登場する、母親殺しの狂気の法医昆虫学者ジョージの幼少期を描いた物語。先月の推測どおり、片仮名の人名に地名は確かに最初は読みにくい。しかし少し先に進めば幼いジョージの哀しき過去に飲み込まれます。愛らしくて賢くてこんなにもいい子を取り巻く忌まわしい環境。比奈子シリーズを読んだ人にお薦めなのは勿論のこと、こっちからそっちに行くのもあり。
読了日:01月04日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/23023668
■白魔の檻
『禁忌の子』の衝撃が残っている間に第2弾も読む。硫黄臭を嗅ぐと温泉の近くだ♪と喜んでいた私は、硫化水素って人を殺せるものだったのかとビビりました。医療用語はまったくわからないので、理解できない点はいっぱい。だから、トリックそのものを十分に楽しめたかと聞かれたら「なんとなく」としか答えられません。しかし、第1弾で城崎の虜になってしまったから、人としておかしいことを自負している彼が、淡々と解き明かしてゆく様子が好きでたまりません。優しいふりのできる人が優しいとは限らないけれど、彼はやっぱり優しいと思いたい。
読了日:01月06日 著者:山口未桜
https://bookmeter.com/books/22737309
■ねこがしんぱい
表紙の猫の絵を見て買わずにいられましょうか。昔飼っていた猫にそっくり。猫が心配な気持ち、わかります。猫が人に懐かないというのも嘘だと思っています。隣家に餌やりを頼んで旅行に出かけたとき、家の裏の道に差しかかったらウチの猫が「ミャーミャーミャーミャー」鳴いて塀の上を走ってきました。隣家の人曰く、わが家の留守中、猫の姿は一度も見なかったそうです。世界でいちばん可愛い猫だと思っていたから、あの猫が死んでから何も飼えずにいます。ちなみに頁を開いて出てくる猫は表紙ほど可愛くはありません(笑)。でもやっぱり猫が好き。
読了日:01月08日 著者:角田 光代
https://bookmeter.com/books/22853755
■ハウスメイド (ハヤカワ・ミステリ文庫)
500頁超の翻訳ものに何日かかるか心配でしたが、先が気になり寝る間を惜しんで読むはめに。前科のある女性ミリー。職を探すも、まともな雇い主なら彼女の犯罪歴を調べてアウト。なのに豪邸に住み込みのメイドとして雇われることに。邸の主人は超イケメンで人柄も完璧。こんな男性がなぜデブのシングルマザーと結婚したのか。優れた小説かと聞かれるとそうでもない気がするのですが(笑)、5頁前後で章が区切られているおかげで読みやすい。もう1章、もう1章と寝られなくなって最後まで。翻訳ものを読むのに弾みがつきそうな1冊となりました。
読了日:01月11日 著者:フリーダ・マクファデン
https://bookmeter.com/books/22729424
■偽医者がいる村 (角川文庫)
青年産科医が、考え得る最善の医療処置をおこなったにもかかわらず胎児は死亡、女性は子宮を摘出。これを取り上げた記事のせいで息を潜めて生きねばならなくなった彼がたどり着いたのは診療所1軒のみの村。追いかけてきたのが記事を書いた記者というのが意外でした。実は記者が意図したのは医療体制の問題を提起するためで、医師を責めるつもりなど毛頭なかったのに、違う方向で話題になってしまった。医師同様に仕事に対する自信をなくし、何も書けなくなっている。診療所の医師と助産師、調理担当の婆ちゃんという顔ぶれが最高です。あったかい。
読了日:01月13日 著者:藤ノ木 優
https://bookmeter.com/books/22358728
■廃校教師 (角川ホラー文庫)
タイトルから勝手にイメージしていたのは台湾ホラー映画『返校』でした。あんな感じで校舎に閉じ込められる生徒たち。そうしたら全く違う。どこまで進んでもホラーにはならず、50頁目辺りでようやく1人死んで、都合3人死ぬけれど、その死に方が不可解な程度。挙動不審な教師は限られていて、もうこの人が本当は存在しない廃校教師確定。しかし不気味というよりは悲哀に満ちています。生徒に寄り添う良い教師だったのに、教師たちからは疎まれ排除される。彼を成仏させる使命を背負ってしまったのが彼女なのかと。いろんな意味でやっぱりホラー。
読了日:01月17日 著者:三浦 晴海
https://bookmeter.com/books/23021280
■志記(一) 遠い夜明け (時代小説文庫 た 19-33)
料理人の次は呉服屋で、その次は医者ですか。読み始めたときはついに男性が主人公かと思ったけれど、そんなはずもなく。医者となる美津が登場するのは本作の最終章。その前章で描かれるのが刀鍛治の暁だから、えっ、暁だけでも1シリーズ書けそうなのに、ふたり出しちゃうなんてもったいないと思ってしまいました(笑)。しかし、氷に例えられる暁と焔のような美津、このふたりがいずれ固い絆で結ばれるのは確実で、楽しみで仕方ありません。きっと双方に過酷な世界が待っている。どうかあんまり虐めないでくださいね。と言っても無理か。(^^;
読了日:01月19日 著者:髙田 郁
https://bookmeter.com/books/22724879
■変な地図
正直に言うと、このシリーズを凄く面白いと思っているわけではないのです。ただ、途轍もなく読みやすい。平易な文章で、初めて聞くような言葉だとか読み方すらわからないような言葉だとか、そんなものはひとつもない。どう書けば売れるのかをよくご存じなのだなぁと思うと嫉妬心すら芽生えます(笑)。巧みに挟み込まれた挿絵にも惹かれ、この地図に秘められた謎を解き明かしたくなる。一言一言を噛みしめて読みたくなるような本ではないけれど、すらすらと読めるわかりやすい本もいいなぁと思うのでした。こうしてシリーズが続く限り読んでしまう。
読了日:01月21日 著者:雨穴
https://bookmeter.com/books/22933300
■神様の定食屋 (双葉文庫)
美味しいものが出てくる話にはとにかく心が躍る。グルメ小説はもう出切った感があるけれど、まだまだニッチというのか、いろんな物語を作り出せるものですね。本作は「成仏できずにいる料理上手の霊に体を貸すはめに陥った男」の話。両親が急逝して妹が継ぐと決めた定食屋を手伝い始めたものの、料理なんてできない。近所の神社で神頼みしたらまさかの展開に。息子に弟子に嫁など、この世に残してきた誰かに食べさせたい料理がある霊が男の体の中へ。それぞれの霊が出て行った後にまた元の男に戻るのではなく、料理や接客を学んで行く姿がいいなぁ。
読了日:01月23日 著者:中村 颯希
https://bookmeter.com/books/11919147
■うちの子が犯人なわけない (コージーブックス)
500頁ほどの海外ミステリは読むのに時間がかかりそうで避けがちでしたが、『ハウスメイド』が超読みやすかったおかげでこれも行けるのではないかと。しかし主人公のことがどうにも好きになれず。元ガールズバンドのボーカルで、化粧だけは上手い。別れた夫の金で息子を名門校に通わせるも、彼女には金がないから万引きもする。息子が唯一心を開いている近所の爺ちゃんとのつきあいを禁じ、そんな息子をひとり残して自分は男漁りって。どうよこれと思いながらも結末が気になって。最後の勇気は買います。にしても不穏な終わり方だなぁ。(^^;
読了日:01月29日 著者:サラ・ハーマン
https://bookmeter.com/books/22625411
■クスノキの番人 (実業之日本社文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】3年近く前に読んだ本の一言一句を覚えているわけではないので、原作にどれほど忠実だったかはわかりません。ただ、原作を読んだときに私は東野圭吾に対して相当辛(から)くなっているなぁと思ったことと、昔の彼と比べて切なさが足らんのよなぁと思ったことも。それを思えばこのアニメ映画化はとても上手い。鼓膜が破れそうなほど音楽がデカかったり(これは私の耳の問題!?)、ラップはちょっと違うのではと思ったりする部分もあるけれど、絵にするとこうなるんだとちょっと驚く。そして割と切ない。
読了日:01月31日 著者:東野 圭吾
https://bookmeter.com/books/20778751
■方舟 (講談社文庫 ゆ 10-3)
「2025年に一番売れた本」という触れ込みに、それは読まねばと手に取りました。クローズドサークルを解く頭はまったくないけれど、映画でいうところのシチュエーションスリラーが大好きだから、そんなつもりで読みはじめる。地下に広がる廃墟に閉じ込められた10人のうち1人が殺されたシーンで幕開け。残りの9人のうちの誰かが犠牲にならなきゃ全員死ぬ。って『アルマゲドン』のブルース・ウィリスみたいに「じゃあ俺が」とはならないし。好きになれそうな人物は誰も見当たらず、怖いってば。こんな絶望的なエンディングとは。地獄への方舟。
読了日:01月31日 著者:夕木 春央
https://bookmeter.com/books/22032679
『万事快調〈オール・グリーンズ〉』
『万事快調〈オール・グリーンズ〉』
監督:児山隆
出演:南沙良,出口夏希,吉田美月喜,羽村仁成,黒崎煌代,大政凜,櫻井健人,小坂竜士,池田良,Pecori,和田庵,テイ龍進,松岡依都美,安藤裕子,金子大地他
イオンシネマ茨木にて、『ウォーフェア 戦地最前線』→『長安のライチ』→本作。上映終了は23:45。月曜日だというのにへろへろだ(笑)。原作は第28回松本清張賞を受賞した波木銅の同名小説。児山隆監督の作品を拝見するのは初めてです。
茨城県那珂郡東海村。朴秀美(南沙良)、矢口美流紅(出口夏希)、岩隈真子(吉田美月喜)は同じ工業高校の機械科に通う2年生。秀美の父親は家族への暴力が耐えない。秀美自身はその被害に遭わずにいるものの、学校にも家にも居場所はなく、唯一自分を出せる場がラップをやっているとき。美流紅は可愛く社交的でスクールカーストのトップの存在だが、家には精神に異常を来して年中頭の中がお花畑の母親(安藤裕子)が待っている。真子は農家の一人娘で、養子を取って家を継ぐことが当たり前のように思われている。3人とも、とっとと早く家から、そして村から出て行きたい。
ある日、秀美のラップに興味があるというDJノスフェラトゥ(金子大地)から呼ばれて出向いてみると強姦されそうに。反撃した秀美は、ノスフェラトゥが気を失っている間に金庫の中にあった大麻の種を持ち逃げする。大麻を育てて売りさばけば相当の金になるはず。秀美はたまたま街で出会った美流紅と真子を誘い、園芸部を立ち上げて大麻の栽培を始めるのだが……。
こんなヤバイ相手から大麻を持ち逃げして無事でいられるはずもないのに、若さゆえの浅はかさというのか。それでも、居場所のなかった3人がこんな形で巡り会い、生き生きとした表情で学校生活を送る様子には、彼女たちにこんな日が一日でも長く続きますようにと願わずにはいられません。キラキラネームの美流紅の由来がハーヴェイ・ミルクだとわかるシーンは良かったし、映画オタクの美流紅の口から『哀れなるものたち』(2023)やゴダール、カサヴェテスの名前が出るところも楽しかった。高校生でこんな趣味の友だちから映画に誘われても困りますけれど(笑)。
彼女たちはどこへ向かうのか。居場所が見つかるといいのになぁと思います。
『長安のライチ』
『長安のライチ』(原題:長安的荔枝)
監督:ダー・ポン
出演:ダー・ポン,バイ・コー,ジュアン・ダーフェイ,テレンス・ラウ,チャン・ユエン,ヤン・ミー,チャン・ルオユン,アンディ・ラウ他
イオンシネマ茨木にて、前述の『ウォーフェア 戦地最前線』の次に。監督が『熱烈』(2023)のダー・ポンであることと、テレンス・ラウが出演していることに惹かれて観に行きました。観終わってから知る、えっ、主演も監督ご本人だったの!? 私としてはテレンス・ラウみたいなイケメンが主人公のほうが嬉しいのは嬉しいけれど、本作の主人公にイケメンは似合わない。監督こそこの役にピッタリの風貌。原作は中国の人気作家マー・ボーヨンの同名小説なのだそうです。
中国、唐代。算術が得意な李善徳(ダー・ポン)は算学家として官僚となる夢を果たすが、愚直なまでの人柄ゆえに不正を絶対に許さない。そのせいで周囲から疎まれていることに本人は気づかず。難儀な仕事はすべて押しつけられ、出世することもなく、下級官吏として勤めて18年。
あるとき、楊貴妃の誕生日に間に合うよう、長安の遥か南方の嶺南から生のライチを取り寄せるように皇帝が命じる。ライチの賞味期限は非常に短いことが知られており、長安から嶺南までの道のりは2週間は見なくてはならないのだから、新鮮なまま持ち帰るなど無理に決まっている。しかし皇帝に向かって無理だとは言えず、皆が考えたのはこの任務を李善徳に引き受けさせること。皆からおだてられてまんざらでもない李善徳は、蜜漬けのライチを運べばいいのだと信じ込まされて書状に署名してしまう。その後、生のライチであると知らされて愕然。
断ることは許されず、ライチを運べずに死罪をなるのは確実。だが、どうせならやれるだけのことはやってどこまで成功に近づけるのかは試したい。覚悟を決めると愛する妻子に別れを告げて向かった嶺南で出会ったのは、商船を保有する商売人の蘇諒(バイ・コー)。李善徳が持つ嶺南の通行証目当てに近寄ってきただけだったが、李善徳の話を聴いて面白そうだから投資すると言い……。
めちゃめちゃ面白かったです。ライチ園を営む若くて綺麗で厳しい阿僮(ジュアン・ダーフェイ)に指南し、李善徳はライチの輸送方法をあれこれ考える。ライチは保(も)って3日。それを過ぎると香りや匂いが落ちたり腐ったりします。壺に水を入れて漬けるなどしても最大で5日。李善徳はまず4経路を考え、どの経路を選べばいつまでライチが保つのかを調べる。皇帝の命令でこんなことをしているというのに、朝廷は金を出しません。嶺南の通行証と引き換えに李善徳に投資することにした蘇諒が「必要経費はいくらだ。その3割増しの金を出す」と言うと、李善徳は「366元」と答え、「んじゃ3割増しで1000元出すよ」と言う蘇諒に、李善徳が「いや、366元の3割増しは996元だ」と答えるシーンなど笑いました。どれだけ真面目なんだ(笑)。
お目当てのテレンス・ラウの役どころは嶺南で酷い目に遭わされていた奴隷の林邑奴。李善徳にこの任務を完了されては自分たちの立場がなくなると思っているお偉方が、李善徳を見張る目的で林邑奴を放ちます。最初は言われるがままに李善徳を見張っては報告していた林邑奴がやがて李善徳の同士になる。憎たらしい宰相役のアンディ・ラウ、許しません(笑)。李善徳の妻を演じるヤン・ミーの美しさには目を見張る。杜甫役のチャン・ルオユンも凄くよかった。
おそらく今年が終わる頃にも思い出す作品だと思います。100点。
『ウォーフェア 戦地最前線』
『ウォーフェア 戦地最前線』(原題:Warfare)
監督:アレックス・ガーランド,レイ・メンドーサ
出演:ディファラオ・ウン=ア=タイ,ウィル・ポールター,コズモ・ジャーヴィス,キット・コナー,テイラー・ジョン・スミス,マイケル・ガンドルフィーニ,アダイン・ブラッドリー,ジョセフ・クイン,フィン・ベネット,ノア・センティネオ,エヴァン・ホルツマン,エンヒキ・ザガ,チャールズ・メルトン他
イオンシネマ茨木にて17:05からの回にまさか間に合うように行けるとは思いませんでしたが、この日の万博外周道路と中環はガラ空きで、17:15に到着。本編に間に合うなら観ようじゃないかと、結局仕事帰りに3本ハシゴすることになりました。
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(2024)のアレックス・ガーランド監督が、同作で軍事アドバイザーを務めたレイ・メンドーサを共同監督に迎えて撮った作品。メンドーサがイラク戦争で体験した実話に基づく。メンドーサはイラク戦争中、JTAC(Joint Terminal Attack Controller=統合末端攻撃統制官)として戦場の最前線にいました。JTACとは、前線航空管制業務を遂行するための特別な認定資格を有する軍人で、航空機を適切に誘導し、誤爆を防いで地上部隊の安全を確保する役目を担っているそうです。本作ではメンドーサ役をディファラオ・ウン=ア=タイが演じています。
2006年のイラク。メンドーサを含む米海軍特殊部隊シールズのアルファ1小隊8名は、敵陣を眺めるのに手頃な家屋を見つけて侵入。怯える民間人家族におとなしくしているように説き伏せると、そこに潜伏して周囲の建物を見張る。怪しい動きをする者を見つけたらすぐに撃ち殺せるようにスナイパーのエリオットがスタンバイしていたが、アルファ1の潜伏を察知した敵兵が先に動きはじめる。聖戦(ジハード)開始が宣言されたと見られ、あっというまに民間人は街から姿を消す。すると、アルファ1が潜伏する家屋に手榴弾が投げ込まれ、エリオットが負傷。隊長のエリクはすぐさま緊急脱出のための車両を要請するが、その車両に負傷兵を乗せようとしたさいに車両もろとも爆撃を受ける。エリオットはさらに深い傷を負い、下士官のサムも両足を激しく損傷。ほかの者たちもパニックに陥る。指揮を執れる状態ではないエリクは、駆けつけたアルファ2の隊長ジェイクに後を任せるのだが……。
地獄です。最初は士気を高めるべく陽気にふるまっていたアルファ1の面々。潜伏先として白羽の矢が立てられた家屋の住人はたまったものではありません。幼い子どももいるというのに寝ているところを叩き起こされ、壁もぶち破られて、勝手にそこを基地にされる。挙げ句の果てに最後は「敵しかおらんから」と米軍によって家屋ごと爆破されてしまうのです。ま、このときは屋上のみが砲撃されるので、1階にいるようにとは言われるのですけれど。それにしたって何の罪で入居中の家がぶっ潰されてしまうのか。
兵士たちも百戦錬磨というわけではないから、攻撃を受けてビビる。負傷した兵士の足からは骨が見え、痛みに耐えかねて「モルヒネをくれ」と叫ぶ。阿鼻叫喚の中からどうやって脱出するか。音楽による演出はなし。米兵の英雄視もなし。ドラマティックな盛り上げも皆無で、ただただ戦場の惨状が描かれています。
戦争は何のため? 誰のため? 猛烈に疲れました。凄かった。
『見はらし世代』
『見はらし世代』
監督:団塚唯我
出演:黒崎煌代,遠藤憲一,木竜麻生,菊池亜希子,中山慎悟,吉岡睦雄,スー・ユチュン,服部樹咲,石田莉子,荒生凛太郎,中村蒼,井川遥他
TOHOシネマズ西宮で『ダウントン・アビー/グランドフィナーレ』→夙川でひとりランチ(当然昼呑み)→シアターセブンで本作を。『ダウントン・アビー/グランドフィナーレ』はまぁまぁ早朝からの上映だったにもかかわらず睡魔に襲われることはありませんでしたが、これはボトルワイン1本空けた後の鑑賞だから、そりゃ寝ますよね。(^^;
短編『遠くへいきたいわ』(2021)で注目された団塚唯我監督の記念すべき長編デビュー作とのこと。『遠くへいきたいわ』は未見ですが、団塚監督はまだ28歳。26歳のときに本作を撮り、カンヌ国際映画祭監督週間に日本人最年少で選出されたそうです。『世界一不運なお針子の人生最悪な1日』のフレディ・マクドナルド監督といい、若くても凄い人は凄い。ちなみにオリジナル脚本です。
再開発が進む東京・渋谷。胡蝶蘭をメインに扱う花屋の配送係として働く青年・高野蓮(黒崎煌代)。あるとき、配送先に父親・初(遠藤憲一)の職場が挙がっているのに気づいて蓮が届けることに。初は売れっ子のランドスケープデザイナー。何時も仕事優先で、母親・由美子(井川遥)が亡くなったときもその場にいなかった。由美子の死後、自分と姉・恵美(木竜麻生)と疎遠になっていた初を久しぶりに訪ねてみたものの、声をかけることはできず……。
本作を観に行ったのは、主演の黒崎煌代に興味があったからです。『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(2024)で主人公の友人役を演じていて、ちょっと面白い役者だなぁと思っていました。後で調べたら、最初は女優の名前だと思い込んでいた「煌代」が彼の名前で、「こうだい」と読むことを知りました。全体的にほわんとした印象なのに、目つきが変態も演じられそうな感じ(笑)。声も顔から想像するより低くて、いろいろと興味を惹かれます。
母親の亡き後、娘と息子から逃げた父親。今は事務所の若い社員(菊池亜希子)と結婚まで考えている。そんな父親のことを娘は無視しているのに、息子は固執していて、父親の周りをうろついたり連絡を取ろうとしたりする。父子3人で出かけた折に現れるのは母親の幻影か幽霊か。家族に目を向けない父親であっても、夫の仕事に打ち込む姿が好きだったと亡き妻から言われた初がむせび泣くシーンはちょっとよかったかな。蓮が自分の中で気持ちに整理をつけていこうとする姿も。
最初の何分かおそらく私は寝ていたと思うんですが、あんまり影響なかったと思われます(笑)。





