2025年7月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1464ページ
ナイス数:530ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2025/7
■でっちあげ (新潮文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】覚悟を決めるために読んでから映画鑑賞に臨んだのに、「氷室律子の供述」のシーンでは帰りたくなりました。最後まで観れば「薮下誠一の供述」が認められるとわかっているからなんとか耐えられる。原作を読んだとき、教師に個人的な恨みがあったとは思えないと書きましたが、映画版では恨むに至った理由がわずかながら提示されています。親に叱られた子どもが苦し紛れについた嘘。このように嘘が発端ならばまだ動機として考えられなくもないけれど、実際のところは動機すらわからないから余計に恐ろしい。
読了日:07月02日 著者:福田 ますみ
https://bookmeter.com/books/442494
■Dr.グレーゾーン (双葉文庫 ふ 30-04)
このタイトルにこのジャケットだから軽くスイスイ読めるだろうと思っていました。それでも、グレーゾーンという語から発達障害を持つ医師を勝手にイメージしていたので、センシティブな話ではあるのかなと。そうしたら、そっちのグレーゾーンではなくて、医師が患者に提示する治療方法というのか解決方法がグレーゾーンそのものでした。毒親の介護に絶望したり、不祥事を起こした家族のせいで体を壊したり、「死ぬ」あるいは「殺す」ことしか考えられなくなっている人への処方箋。本橋先生は素晴らしいけど、コーラは飲み過ぎじゃないですか(笑)。
読了日:07月04日 著者:藤山素心
https://bookmeter.com/books/22616028
■夏の体温 (双葉文庫 せ 08-03)
趣の異なる短編3つ。どれがいちばん瀬尾さんらしいかと考えたら、10頁に満たない3つめかも。2つめは皆が腹黒だと名指しする大学生男子に取材を申し込んだ女子大生作家が主人公でちょっと異色。1つめは夏の病院に入院中の少年2人の交流。こうして書くとありがちな感動話に聞こえそうだけど、長期入院中の僕と、低身長で検査入院する彼との数日間のやりとりは時に笑いを誘います。最期の入院中だった私の母に「またね」と言うと「“またね”あるかな」と言っていたのを思い出して、結局いつものように瀬尾さんに泣かされてしまうのですけれど。
読了日:07月15日 著者:瀬尾まいこ
https://bookmeter.com/books/22617130
■BLOOD 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花 (角川ホラー文庫)
近頃バンパイアがハヤリなのでしょうか。直近に観た映画だけでも、言わずと知れた『ババンババンバンバンパイア』に、ノーマークだったけど楽器を演奏するバンパイアが登場してかなり面白かった『罪人たち』など。本作のバンパイアはもちろん人間だけど、上記映画のそれよりもずっと怖い。赤バッジなんて言葉が出てきたものだから、同著者の別シリーズ=ミカヅチ班と登場人物がかぶっているのかと一瞬錯覚を起こしました(笑)。あっちの班同様に、こっちも本当に良い班になっています。今はこっちの班に肩入れして目が離せなくなっている私です。
読了日:07月22日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/22639934
■能面検事の死闘 (光文社文庫 な 39-5)
もともと愛想のない人が好きだからか(笑)、不破検事のことは最初から大好きですが、惣領事務官のことは未だに好きになれません。けれどふと気づく。彼女がこんな調子で不破に向けて放つ言葉こそ、私たち一般人が尋ねたいことなのだろうと。あまりに青臭く正義をふりかざした質問で、聴けば怒られそうだと思うことを彼女は普通に口にする。そのおかげでわかりやすい話になっているのだと思います。冒頭の殺人現場の描写は生々しくて絶句。子どもまでそんな目に遭わせますか、七里センセ。それだけに、最後は余計に不破の様子が心に染み入りました。
読了日:07月31日 著者:中山七里
https://bookmeter.com/books/22644954
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