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今年観た映画50音順〈ま行〉

《ま》
『マッド・マウス ミッキーとミニー』(原題:The Mouse Trap)
2024年のカナダ作品。
巨大なゲーセンに勤務する女性アレックスとジェイナは、マネージャーのティムからその夜8人の貸切予約が入ったことを明かされ、残業を頼まれて承諾。マネージャーの退出後、ジェイナは彼氏とデートがあると言ってまんまと抜け出し、アレックスはひとりで対応するはめに。しかし貸切の予約者はアレックスの誕生日を祝おうという友人たちのサプライズ企画であるとわかってひと安心。ところがミッキーマウスの覆面をした何者かが現れ、アレックスの仲間たちを次々と惨殺してゆく。また、郊外の一軒家で時を過ごそうとしていた男女のもとにもミッキーマウスが押し入って……。
間違いなく、ここ何年ものワースト級に君臨するクソ映画。ミッキーマウスが瞬間移動するって何ですか。ゲーセンと一軒家のつながりも何もなし。ゲーセンでひとり生き残ったレベッカを収監して刑事が問い詰める体裁を取っていますが、こんなの茶番以外の何物でもないし、殺し方がエグいだけで面白くもなんともない。冒頭、“スター・ウォーズ”を模したテロップに「ディズニーを愛していて、何度も許諾を得ようとしたけれど無理だった。ディズニーは関係ないよ」としつこいぐらいに流れます。はいはい、こんな中身ゼロの映画をディズニーが許すわけないやんかとシラけるだけ。結局、ミッキーとミニーの殺戮逃避行ということにしたいらしく、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(1994)へのオマージュってとこなんですかね。酷い。最悪。クソ。

《み》
『M3GAN/ミーガン 2.0』(原題:M3GAN 2.0)
2025年のアメリカ作品。Amazonプライムビデオにて配信。
大ヒット作『M3GAN/ミーガン』(2023)の続編ということで、公開を心待ちにしていた人が多かったはず。10月に劇場公開が予定されていたにもかかわらず、中止になったのはなぜなのか。
ミーガンの暴走から2年が経過。開発者のジェマは姪のケイディと多少ぎくしゃくしながらも毎日を送っていたところ、FBIがやってきて、ミーガンのデータを売ったのは国家反逆罪だと言われる。身に覚えのないジェマが詳しい説明を求めると、ミーガンを基に製造されたとおぼしき軍用ロボットアメリアが命令にそむいて暴走しているらしい。アメリアが自分の開発に関わった人物を次々に殺害していることから推測して、おそらくジェマも標的となるはず。ジェマとケイディの身柄を保護する代わりに、アメリアに対抗すべくミーガンの軍用モデルを新たに開発せよとFBIは言う。ジェマがFBIを追い返した後、自宅のモニターに死んだはずのミーガンが現れてジェマはビックリ。ミーガン曰く、ボディが破壊されただけでミーガン自体が死んだわけではないと。アメリアの暴走を阻止できるのは自分のみだが、そうするためにはボディが必要、新たなボディを製造してほしいとミーガンから言われたジェマは、葛藤の末、ミーガンと協力すると決めて……。
劇場公開すれば絶対客が入ったはずなのにと観る前は思っていましたが、中止にしたのは正解だったかも。さくっと終わるのがB級ホラーの良いところなのに、120分は長すぎる。それに、邪悪なところが魅力だったミーガンがいきなり正義の味方になっているんだもの。でも中止になったのはそのせいではないでしょうね。ロシアとかサウジアラビアとか、対立国の名前がいろいろ出てくるのがややこしいせいかという気がします。

《む》
『無理しない ケガしない 明日も仕事! 新根室プロレス物語』
2024年の日本作品。Amazonプライムビデオにて配信。
アマチュアプロレス団体・新根室プロレスを追いかけたドキュメンタリー作品。新根室プロレスは2006年に設立。北海道根室市在住のプロレスをこよなく愛するサムソン宮本はおもちゃ屋の店主。地元民を元気にしたいと自ら発起人となって100万円のリングを購入。神社のお祭りなどにステージを設けて興行を開始したところ、思わぬ反響を呼ぶ。所属メンバーはおもちゃ屋の客をはじめとするプロレスファンたちで、酪農家や建設業者会社員など本職はさまざま。しかし全員に共通しているのは「学生時代イケてなかった」ということ。そんなメンバーがスポットライトのもとで輝く。設立から13年経った2019年、人気も沸騰していたというのに、サムソン宮本が平滑筋肉腫という難病に冒されていることが発覚。サムソン宮本は新根室プロレスの解散を決断。病気を克服してリングに戻ることを誓ったけれど、1年後に55歳で息を引き取る。
55歳といえば弟が亡くなったのと同じだから、いろんな思いが胸をよぎります。プロレスに特に興味はありませんが、娯楽が多いとはいえない地域でみんなを盛り上げてきた新根室プロレス。「無理しない、ケガしない、明日も仕事」をモットーに、笑いあふれるプロレスはさぞかし楽しいことでしょう。サムソン宮本の遺志を継ぎ、再始動することになった新根室プロレスを応援したいです。

《め》
『メリー・リトル・エックスマス』(原題:A Merry Little Ex-Mas)
2025年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
学生時代、建築学部だったケイトは、医学部だったエヴェレットと結婚。故郷の町ウィンターライトに戻って開業医となると言うエヴェレットを支えつづけて20年。建築家になって世界を変えるという自分の夢はどこへやら、ウィンターライトの便利屋として毎日を送っていた。子どもたち2人も成人し、長女シエナは恋人のナイジェルとまもなく結婚するだろう。消防士になりたいと主張する長男ゲイブにはなんとか大学に行ってほしいが、それはゆっくり説得するとして、そろそろ自分の夢を叶えるときが来たのではないかと思い、家を出てボストンに引っ越そうと画策している。ところが、エヴェレットが浮気をしていることが判明。しかも浮気ではなく本気で、ケイトと別れて相手のテスと再婚したいと言う。エヴェレットにそんな相手がいることを知らなかったのはケイトだけ。しかも自分とは真逆のタイプのテスのことをシエナもゲイブもナイジェルまで気に入っているらしく、傷ついたケイトは……。
環境保護活動に熱心で、何事も節約を貫いてきたケイト。テスはと言えば、子どもたちを連れ出して流行の服をどんどん買い与えます。いつでも仕事優先で誕生日も記念日も関係なかったエヴェレットが、テスとは時間を割いて過ごしていることが面白くありません。そんなとき、クリスマスツリー用の生木売場で出会ったひと回り以上年下のチェイスが声をかけてくる。こりゃもうオバハンの妄想(笑)。最終的には元サヤに戻るんだから、勝手にしてって感じです。ヒマでほかに観るものがない人だけどうぞ。

《も》
『木曜殺人クラブ』(原題:The Thursday Murder Club)
2025年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
原作者のイギリス人作家リチャード・オスマンはテレビ司会者でもありプロデューサーでもあるそうです。彼によるミステリー小説の人気シリーズの映画化。
高級老人ホーム“クーパーズチェイス”には、毎週木曜に集まって未解決事件謎解きを趣味とする“木曜殺人クラブ”がある。メンバーは、経歴不詳でMI6に所属していたとの噂もあるエリザベス(ヘレン・ミレン)、労働組合のリーダーだったらしいロン(ピアース・ブロスナン)、PTSD専門の精神科医だったイブラハム(ベン・キングズレー)。ここに最近入居した元看護師のジョイス(セリア・イムリー)が加わる。クーパーズチェイスはトニー・カラン(ジェフ・ベル)とイアン・ベンサム(デイヴィッド・テナント)による共同経営だったが、イアンは金ほしさにクーパーズチェイスを潰して高級マンションとイベントスペースに建て替えようとしていた。それを知った入居者と、自身の母親も入居中のトニーは激怒。少なくとも母親が健在な間は絶対にイアンの好きにはさせないと公言していたトニーが何者かに殺される。木曜殺人クラブはさっそく活動を開始。以前クーパーズチェイスに防犯の講義にやってきたことのあるフェアヘイブン警察署の女性巡査ドナ・デ・フレイタス(ナオミ・アッキー)を協力者として丸め込むのだが……。
これだけの名優が揃えば面白くないわけがない。ほかにも食い意地の張った主任警部としてダニエル・メイズが出ていたり、エリザベスの夫としてジョナサン・プライスが出演していたりして、認知症の兆候が見える彼の役を好演しています。ジジババ役者の演技に魅せられる楽しい作品です。もっとも、いくら役者が良いからって、話がつまらなければ駄目でしょうから、脚本も良いんでしょうね。

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