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今年観た映画50音順〈な行〉

《な》
『ナイブズ・アウト: ウェイク・アップ・デッドマン』(原題:Wake Up Dead Man: A Knives Out Mystery)
2025年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(2019)、『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』(2022)に続く“ナイブズ・アウト”シリーズの第3弾。第1弾は劇場公開されたのに、第2弾以降は配信のみになってしまいました。この第3弾は今月配信がスタートしたばかりです。
不良上がりのボクサーだったジャド・デュプレンティシーは司祭に転身。かつての自分のような若者を救いたいと願っていたのに、あるとき無礼な助祭を殴ってしまったがゆえに田舎の教区に異動を命じられる。その教区の司祭ジェファーソン・ウィックスの説教はまるで人を憎むことを推奨するように扇情的で、ジャドは唖然。信者は皆ジェファーソンを盲信している様子。この状況をなんとか変えなければと思い、ジェファーソンに内緒で説話の会を設けたところそれがバレ、教区の全員を敵に回してしまう。ところが聖金曜日の礼拝中にジェファーソンが急死。倒れたジェファーソンのもとへ最初に駆けつけたジャドが容疑者になるが、地元の警察署長から依頼を受けた名探偵ブノワ・ブランがやってくる。ブノワとジャドは手を組んで真相の究明に挑むのだが……。
2時間超は長いよと思いながらも、キャストがこうも魅力的だと集中力が途切れません。ブノワにはもちろんダニエル・クレイグ。ジャドにはジョシュ・オコナー。ジェファーソンがジョシュ・ブローリンで、彼の忠実な秘書マーサ・ドラクロワ役がグレン・クローズ。地元の警察署長ジェラルディン・スコットにはミラ・クニス、町医者のナット・シャープをジェレミー・レナーが演じています。ジャドを教区に送り込む司教ラングストロム役のジェフリー・ライトもよかったな。どう考えても真犯人はマーサでしょ。そうなんですけど、動機が明かされると気の毒になる。道義に悖るダメ司祭をなんとかして。

《に》
『人間爆弾 立ち止まったら、爆発』(原題:Todos los Nombres de Dios)
2023年のスペイン作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。日本では劇場未公開、WOWOWにて放映。
タクシー運転手のサンティがマドリード空港へ客を送り、帰宅しようとしたそのとき、テロリストによる爆破事件が発生する。逃げ惑う人々のなかに怪我人を見つけて自分のタクシーへと運び込むが、なんとその怪我人はテロリスト3人組のうちの1人、ハザムという青年だった。3人で自爆テロを実行するはずが、ハザムは怯えて実行できず。体に爆弾を巻き付けたままのハザムに銃で脅されて車を走らせることになったサンティ。途中でハザムは爆弾の取り外しに成功するが、サンティは眠気に襲われて事故る。重傷を負ったハザムを見捨てられずにいると、車が通りかかる。ところがその車に乗っていたのはハザムを追ってきたテロの首謀者で、ハザムを即銃殺。殴られて気絶したサンティが目覚めると、今度はサンティの体に爆弾が巻き付けられていた。その爆弾には高精度の振動センサーが備わり、歩き続けなければ爆発するとテロリストが告げる。そのままの姿で助けを求めて街に出るサンティをネットで世界中が見守るなか、着任わずか3日目の女指揮官ピラールのもと、特殊部隊や爆弾処理班が出動して……。
B級としか思えない邦題が付いていますが、シリアスで意外と面白い。この事件の前に長女を亡くし、気力を失っているサンティと妻ラウラ、長男ラウルのやりとりも○。

《ぬ》
『ヌルボムガーデン』(英題:Spring Garden)
2025年の韓国作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
韓国の忠清北道堤川に実在する廃屋“ヌルボムガーデン”は、国内三大心霊スポットのひとつと言われているそうです。そこを舞台にしたホラーフィクション。
ある日、ソヒが目覚めると、隣で眠っていたはずの夫チャンスが首を吊って死んでいた。妊娠中だったソヒは葬儀の日に姑たちから責められたせいもあってか流産。後日、チャンスがソヒには内緒で閑静な田舎に中古の一軒家、通称ヌルボムガーデンを購入していたことを知る。そこへ引っ越すと言うと姉のヘランから引き止められるが、生まれてくる子どもとソヒのことを考えて夫がひそかにリフォームを進めていてくれた家だから、住みたい。ところが転居後、ソヒのみならず遊びに来たヘラン一家が幻視に襲われたり、何者かに取り憑かれたかのようになったりして……。
死んだチャンスの姿を何度も目にしたことから、彼が何か言いたいのではないかと思って調べはじめます。チャンスはヌルボムガーデンへリフォームにかよっていたとき、首を吊って自殺を図ろうとしていた女子高生ヒョンジュを助けて看護。世話を焼かれたヒョンジュがチャンスに恋心を抱いてふたりはそういう関係に。妊娠したヒョンジュはこれでチャンスと家族になれると信じるもチャンスと言い争って事故死。家族というものに憧れつづけたヒョンジュが来訪者に取り憑いていた模様。って書いてみると結構面白い話なのに、かなりグダグダです。ちょっと勿体ない。

《ね》
『ねこのガーフィールド』(原題:The Garfield Movie)
2024年のアメリカ作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
親に捨てられた子猫のガーフィールドを拾ったのは心優しき青年ジョン。今は犬のオットーも招き入れ、ジョンと一緒に楽しく暮らしている。ところがある日、自分を捨てた父親ヴィックが現れる。トラブルを抱えるヴィックは、大量のミルクを用意しなければ命が危ういらしい。いまごろ父親面されてたまるかと思うガーフィールドだったが、巻き込まれてしまい……。たしか昨年の劇場公開時は吹替版の上映ばかりだったかと思いますが、それを観逃したおかげでDVDをレンタルしたら、字幕版を鑑賞することができました。ガーフィールドの声を担当するのはクリス・プラット。ヴィックをサミュエル・L・ジャクソン、ジョンをニコラス・ホルトって、その声で観られるのは嬉しい。ガーフィールドのことを全然知らないし、子ども向けだとばかり思っていたら、ヴィックがガーフィールドを手放すことになったときの真相に不覚にも涙が。

《の》
『ノスフェラトゥ』(原題:Nosferatu)
2024年のアメリカ作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
サイレント映画時代の巨匠F・W・ムルナウはドイツ表現主義映画を代表する映画監督。世界的に有名な彼の古典『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922)は、ブラム・ストーカーの怪奇小説『吸血鬼ドラキュラ』を非公式に映画化した作品なのだそうです。非公式に映画化ってどういうことなのかよくわかりませんが、要するに原作者の許諾を得ていないということなのでしょうね。ちなみにストーカーはアイルランド人で、ムルナウは映画化に際して登場人物にすべてドイツ語名を与えています。著作権の侵害を避けるためだったとも推測されていますが、ムルナウにそんな気はなくて、単にドイツの映画ファンを楽しませるためにドイツを舞台にしただけとも言われています。低予算映画の走りなのかしら。とにもかくにも吸血鬼映画はいつの時代も私たちを楽しませてくれます。このたびムルナウ作品をリメイクしたのは、『ウィッチ』(2015)や『ライトハウス』(2019)のロバート・エガース監督。
1838年、ドイツの港町ヴィスブルク在住の青年トーマスは不動産屋の社員。ある日、上司からオルロック伯爵なる人物が山奥の城を購入希望だと聞かされる。足が不自由な伯爵はこちらに来ることはできないから、トーマスにあちらへ出向いて契約に係る手続きを済ませるように指示される。トーマスの妻エレンは長年過去とも未来とも思える悪夢に悩まされており、不吉な予感がすると言ってトーマスを引き留めるが、仕事を断るわけにもいかない。しかしエレンの予感は的中。実は伯爵の正体は吸血鬼ノスフェラトゥで……。
ノスフェラトゥにビル・スカルスガルド、トーマスにニコラス・ホルト、エレンにリリー=ローズ・デップ、オカルトに精通する研究者にウィレム・デフォー。リリー=ローズ・デップの演技が凄かったけど、気持ちの悪いシーンが多すぎる。ノスフェラトゥに取り憑かれた人々が動物をバリバリ食べるシーンとか、オエーッです。エレンが自分を犠牲にして皆を救う、悲哀に満ちた最期。

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