『Sky ふたつの灯火 前篇』(原題:Sky: The Two Embers Part1)
監督:エヴァン・ヴィエラ
ナレーション:梶裕貴
どういう作品なのだか知らないままずっと気になっていましたが、上映は朝か真昼間の1回のみの劇場が多くて観に行けずにいました。週が変わってようやく終業後に駆けつければギリ間に合いそうな17:20からの上映あり。109シネマズ大阪エキスポシティへ。
アクションアドベンチャーゲーム“Sky 星を紡ぐ子どもたち”はアメリカのゲーム開発会社“thatgamecompany”が開発して2019年7月より配信開始。世界中にファンがいるゲームなのだそうですが、私は何もかもわからないまま観はじめました。どこの国の作品なのかすら知らなくて、あら、梶裕貴がナレーションを担当しているけれど日本のアニメーション作品ではないのねと驚いたぐらいで。はい、アメリカのアニメ作品です。以下、前知識なしで観た私が書くあらすじ。
孤児らしき少女。誰にもかまわれることなく、自分で作った木彫りのおもちゃを売って日銭を稼いでいる。ある日、海から引き上げられた生物の赤ん坊が政府に連れて行かれそうなのを見て、咄嗟にその赤ん坊を連れて逃げる。以来、身を隠しつつ暮らしていた少女と生物だったが見つかってしまい……。
本編後に日本人デザイナーらを含む制作関係者のコメント映像があり、これを観るまではいろいろとわからないことばかりでした。ゲームのファンを対象としている作品でしょうから、このゲームの存在すら知らなかった私が観るものではなかったかもしれません。しかし、コメント映像を観ればなるほどとわかって面白い。
舞台となっている国こそが“Sky”なのですね。『エリジウム』(2013)みたいな帝国が築かれているのかと思っていました。光を失ったSkyで人々が生きるためにはなんとかして光を集めなければならない。そこで体内に光を蓄えている生物を捕獲しては光を採取しています。このイルカのような見た目の生物が“マナティ”と呼ばれていることもコメント映像で知りました。光を採取されたマナティは死んでしまう。本編だけ観ると、政府のお偉いさんが自分たちのために光を採取しているように感じたけれど、民のためを思ってのことだったとは。
光を作る術を知る人はずっと前にいなくなってしまった世界でしたが、マナティを連れて逃げた先で蝋燭を見つけた少女が蝋燭の作り方を覚えます。暗闇に包まれた国で蝋燭に火の灯る様子のなんと美しいこと。
台詞はなし。少女の「あ」とか「う」とか、マナティの鳴き声がある程度。木で作られたかのような人物の顔は、目の部分に穴があいているだけで鼻も口もなし。最初は不気味にすら感じていましたが次第に慣れる。なんとも不思議で幻想的な作品でした。コメント映像のおかげでなんとなくどういう世界かわかったから、後篇までにもとのゲームのことももう少し知っておきたいですね。
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