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『8番出口』

『8番出口』
監督:川村元気
出演:二宮和也,河内大和,浅沼成,花瀬琴音,小松菜奈他

イオンシネマりんくう泉南にて『九龍ジェネリックロマンス』の次に。せっかく関空まで来たのだから1本だけ観て帰るのはもったいなくて。

監督はヒットメーカーの川村元気。この人が関われば何でも間違いなく流行るイメージがあります。始まりはたぶん、企画した『電車男』(2005)。その後も着々と話題性の高い企画を生み出しました。特に印象に残っているのは『告白』(2010)でしょうか。そういえば現在大ヒット中の『国宝』と同じ吉田修一原作の『悪人』(2010)ではプロデュースを担当し、新海誠監督のメガヒット作3本、『君の名は。』(2016)、『天気の子』(2019)、『すずめの戸締まり』(2022)はすべて川村元気のプロデュース。話題作の『怪物』(2023)だって彼の企画とプロデュースで、ホンマになんぼほど儲けるねん、この人と、妬んでしまうほど(笑)。そんな人の久しぶり監督作だからか、公開2日目だったこの日もよく客が入っていました。

“KOTAKE CREATE(コタケクリエイト)”が開発した世界的ヒットゲームなのだそうです。映画化されるゲームが多いですね。実写映画化された作品でいちばん最近観たのは『アンティル・ドーン』。あっちもホラー、こっちもホラー。ホラーがウケるのか。オリジナルのゲームソフトにはストーリーは存在しないところ、この映画版ではストーリーを持たせた作りになっています。ストーリーがなければ映画にならないか。(^^;

満員の地下鉄。ドア付近に立って乗車中の青年(二宮和也)。泣き叫ぶ赤ん坊を抱いた女性をどやしつける男性がいるのを見てなんだかなぁとは思うものの、男性に何か言う勇気などない。周囲の人も同じで、みんな一様にスマホを見つめるだけ。勇気どころか興味すらないのかもしれない。そんな状況に居たたまれなさを感じて下車すると、元カノ(小松菜奈)から電話がかかってくる。彼女とは別れたばかりだが、いま妊娠が判明したと言う。どうするかと尋ねられて、何も答えられない青年。

改札を出て出口に向かうと、地下通路を進んでも進んでも同じところを回っているだけという無限ループに囚われる。壁に掲げられた「ご案内」を読むと、「異変を見逃さないこと」「異変を見つけたら、すぐに引き返すこと」「異変が見つからなかったら、引き返さないこと」「8番出口から外に出ること」と書かれていて……。

3部構成というほどではないけれど、まず二宮くんが歩き回る様子が第1部の『迷う男』として描かれ、その次は第2部の『歩く男』。第1部ではもはやこの世の者ではないと思われた河内大和演じるオジサンが、第2部では二宮くん同様に迷っています。無限ループに囚われて焦るオジサンは、第2部の中で少年と出会う。どうやら少年も迷っているらしく、放っておけなくなったオジサンは少年を連れて一緒に歩きはじめます。すると女子高生(花瀬琴音)と遭遇。彼女も迷っているのかと思いきや、この世の者ではなさそうな。第3部は『少年』で、浅沼成演じるこの少年と二宮くんが行動を共にします。

以下ネタバレです。少年は迷う男の息子。元カノから妊娠したと聞いて困惑する男は、元カノが授かった命が誕生し成長した姿を無限ループの中でが見せられます。元カノとふたり、海辺で自分たちの子どもである少年がはしゃぐ様子を見て、この命を消してはいけないと思ったはず。そう悟ったときに8番出口が目の前に現れて無限ループから脱出し、元カノに電話をかけてすぐにそちらへ行くと話すところで終わります。

つまらなかったことはないのですが、なぜこうなるのか理解できないところがちょこちょこあります。迷う男が喘息である必要性とか、元の「この世界の住人」がここに閉じ込められた理由とか。 喘息は男のイライラを表していると思ってよいですか。また、オジサンや女子高生も迷う男と同じように何か困惑することがあったと思ってよいですか。迷う男と少年のくだりには少なからず心を掴まれましたし、なんだかんだでさすが川村元気というよりほかありません。

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