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『親友かよ』

『親友かよ』(英題:Not Friends)
監督:アッタ・ヘムワディー
出演:アンソニー・ブイサレート,ピシットポン・エークポンピシット,ティティヤー・ジラポーンシン,タナコーン・ティヤノン,ナティチャ・チャンタラヴァリーレカ,インカラット・ダムロンサッククン,プラモート・スワングソーン他

シアターセブンにて前述の『おばあちゃんと僕の約束』とハシゴ。第96回アカデミー賞国際長編映画賞のタイ映画代表として出品されましたがノミネートには至らず。同賞にノミネートされたのは『PERFECT DAYS』(2023)、『雪山の絆』(2023)などで、受賞したのは『関心領域』(2023)でしたね。『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017)の監督ナタウット・プーンピリヤ(別名:バズ・プーンピリヤ)が製作に名を連ねています。もうひとりの製作者ワンリディー・ポンシティサックは『ホームステイ ボクと僕の100日間』(2018)や『バーン・クルア 凶愛の家』(2023)のプロデューサーでもあるのですね。

高校3年生の男子ペー(アンソニー・ブイサレート)は、あと1学期を残すのみという時期に恋人メイジからふられる。ペーの人格を否定するような言葉を投げつけられたうえに、彼女が新しくつきあうのは女子と聞かされてペーは激怒。カッターナイフで彼女に切りかかり、刃傷沙汰となって退学処分を言い渡される。

致し方なく別の高校へ最終学期に転入したペー。隣席のジョー(ピシットポン・エークポンピシット)が人懐っこい笑顔で話しかけてくるが、どうせすぐに卒業するんだもの、友達なんか要らない。ほぼ無視してもなんだかんだと話してくるジョーだったが、ある日、ペーの目の前でジョーが事故に遭って死んでしまう。

同級生の死を最初はみんな悼むけれど、じきに忘れてしまうだろう。ペーだって特に感慨はない。そう思っていたところへやってきた大学生が、短編映画のコンテストにエントリーすることを勧めてくる。もしも入賞すれば無試験で大学に入学できるというではないか。成績が良いわけでもなく、大学に合格しなければ家業の製粉工場を継ぐように父親から言われているペーは、絶好のチャンスを逃す手はないと考える。

ジョーに返し損ねたUSBの中を確かめると、そこにはジョーが書いた感動的な短編が収められていた。それはジョーが短編小説コンクールに応募した作品で、大賞受賞が決まっていたのに、ジョーの死亡により取り消されたらしい。ペーは自分がジョーの親友だったと偽り、この短編を映画化して大学への推薦入学を狙いたい。校長やジョーの親もペーの企画を喜び、卒業式でジョーを追悼する会を開催して映画を上映しようということになる。

ところが自分こそがジョーの親友だったという女子ボーケー(ティティヤー・ジラポーンシン)が現れ、ペーのことを嘘つき呼ばわり。実際に嘘つきだから反論できずにいたところ、ボーケーも映画の撮影につきあうと言い出す。さらには、学校に古いパソコンしかなくて嘆いていた映画オタクたちを捕まえて協力を要請。校長がペーのために最新のパソコンを用意してくれると言うからそれで釣って。

映画オタクには嬉しいネタ満載。クリストファー・ノーランスタンリー・キューブリックマーティン・スコセッシJ・J・エイブラムス“スター・ウォーズ”シリーズの数多くのキャラクター創造者で、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(2023)で製作総指揮を務めたジョージ・ルーカスなどなど、登場する名前は数知れず。『TENET テネット』(2020)を参考に映画を撮影しようとするシーンは相当おもしろい。映画じゃないけど、男子高校生の夢に「日本へ行って“一蘭”のラーメンを食べる」なんて夢もあって笑っちゃいます。

ジョーが想いを寄せていたリウ(ナティチャ・チャンタラヴァリーレカ)との関係、実はジョーのことが好きだったとおぼしきボーケーとの関係、それぞれに切なくてめちゃめちゃ青春。本当はそんなに親しくなかったとしてもこうして思い出せばいい。今まで観たタイ作品の中でいちばん好きでした。

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