『秘顔 ひがん』(英題:Hidden Face)
監督:キム・デウ
出演:ソン・スンホン,チョ・ヨジョン,パク・ジヒョン,パク・ジヨン,パク・ソングン他
キノシネマ心斎橋にて、前述の6回目の『ファーストキス 1ST KISS』の次に。
上映時刻になっても入場のアナウンスがなく、何事かと思ったら、機材トラブルがあった模様。15分遅れての入場となり、予告編なしの本編からの上映でした。客は私を含めてたったの3人だったけど、予告編を楽しみにしている人も多いんじゃないかなぁ。私の場合、シネコンでの予告編は暗唱できるほど観ていますが、ミニシアターでの予告編は観たい。とはいうものの、本作はもともとの上映終了時刻が23時近かったから、それより遅くなるよりはいいか。
スペイン作品『ヒドゥン・フェイス』(2011)の韓国版リメイクなのだそうです。予告編を観たときに面白そうだと思い、かなり期待して心斎橋まで出向いたのですけれど。
しがない食堂の息子に産まれたソンジン(ソン・スンホン)は、今はある交響楽団の指揮者。楽団のオーナーであるヘヨン(パク・ジヨン)の娘でチェリストのスヨン(チョ・ヨジョン)から逆プロポーズを受けて婚約したゆえのポジション。豪奢な中古物件をリフォームし、ソンジンとスヨンは新生活を始める。
スヨンと結婚すれば金の心配は不要だし、名声も手に入れて今後は安泰。しかし、ヘヨンはイケメンのソンジンをお飾りの指揮者としか見ていない様子なのが腹立たしい。不満を見せるソンジンを慌てさせようと、スヨンはソンジンに宛てたメッセージ動画を残して家出する。
わがまま娘のことだから、数日でケロっとした顔で帰ってくるだろうとヘヨンは言う。スヨンの帰りを待つべきだとソンジンは考えていたが、チェロの席を空けたままはよろしくないと言うマネージャー。ヘヨンの手配でチェリストに応募してきたミジュ(パク・ジヒョン)を面接したソンジンは、シューベルトが好きだというミジュとその理由に驚き、すぐに彼女に惹かれるのだが……。
現在から3カ月前、7カ月前へと時を遡り、また現在に戻って描かれます。オリジナルのスペイン作品を観ていないので、このリメイクとどう異なるのかわかりませんが、ちらっと読んだところでは、恋人だか夫だかの浮気を疑う女性が秘密の小部屋に隠れたら閉じ込められて出られなくなった、みたいなことだったかと。鍵がなくなったとか壊れたとかの事情による事故なのか、誰かにハメられたのか。オリジナルと同じなのかしら。
ネタバレですが、とにかくこのリメイク版では、スヨンとミジュがレズビアンで恋人同士の関係。本当はふたりが一緒に住むはずだった家に、スヨンは自分が同性愛者であることを隠してソンジンと住むと言うのです。傷ついたミジュは、スヨンからしばらく身を隠してみるつもりだという計画を聞いたときに、ふと仕返しすることを思いつきます。
かつてスヨンとミジュが共にチェロを練習していたこの家にはマジックミラー付きの隠し部屋があります。そこにしばらく潜むことにしたスヨンをミジュが閉じ込めて、スヨンの目の前でソンジンと激しい絡みを見せつける。ミジュ役のパク・ジヒョンがとても綺麗なので、彼女目的で観に行くならオススメしますが、話としてはイマイチ。なんというのか、とても嫌な話なんです。
最終的には部屋から出てきたスヨンがソンジンと合意のもとミジュを閉じ込めますが、ミジュもそのことを楽しむかのように、スヨンを部屋に招き入れて今から絡みますよ、的な。このラストで一気にチープな作品になってしまった気がします。結構な濡れ場なので、私以外の客は男性2人だったからなんとなく気まずいし。私がいちばん後ろに座っていたのが救いです(笑)。
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