『愛はステロイド』(原題:Love Lies Bleeding)
監督:ローズ・グラス
出演:クリステン・スチュワート,ケイティ・オブライアン,エド・ハリス,ジェナ・マローン,アンナ・バリシニコフ,デイヴ・フランコ他
109シネマズ箕面にて、前述の『不思議の国でアリスと Dive in Wonderland』とハシゴ。ここは駐車サービスが最悪だから、この日ももちろん一旦出庫して入庫しなおしました。
イギリス出身の女性監督ローズ・グラスによるイギリス/アメリカ作品。ジムのマシーンでトレーニングする面々が映し出されるオープニングロールは、体毛や汗の粒が光る体の部分がどアップになったりして、エロいような不快なような、なんと表現してよいのかわかりません。ただ、不穏な感じは漂い続けていて、これから何を見せられるのだろうという期待感が押し寄せてきます。
レズビアンのルーはトレーニングジムのマネージャー。オーナーは裏社会を仕切る彼女の父親だが、訳あってルーは父親のことを一切無視している。そんな父親は射撃場を経営し、ジムのことはルーに任せたきり。
ある日、ルーはジムにやってきた女性ボディビルダーのジャッキーに一目惚れ。ラスベガスでおこなわれるボディビルの大会出場を目指してヒッチハイクの旅を続けているらしいジャッキーを自宅に住まわせることにする。仕事はどうしているのかを尋ねると、ジャッキーはあの射撃場の食堂でウェイトレスとして働いていると言う。父親には近づかないほうがよいとジャッキーに忠告するルー。
ルーが日々気にしているのは大切な姉ベスのこと。ベスは夫のJJから激しいDVを受けているのに、決して別れようとしないばかりか、JJのことを深く愛している。どうにかしないとベスがJJに殺されてしまうかもしれないと心配していると、ベスが生死の境をさまようほどの重傷を負って病院に搬送されたと連絡が入る。JJは警察に任意の聴取を受けるのみですぐに帰宅が許されるだろう。ベスの病床で久しぶりに父親と対面したルーは、父親がベスとJJは一緒にいるべきだと言うのを聞いてがっかりする。
すると、その話を聞いていたジャッキーは単身でJJのもとに乗り込み、ステロイドで増強した体でJJを滅多打ちにして殺害する。ジャッキーの行動を知ったルーは、JJの遺体を車に積み、とある場所で処分を図るのだが……。
手湿疹を完治させるために脱ステを試みて成功した私としては、ステロイドと聞くだけで怖い(笑)。ボディビルダーって、こうしてステロイドで筋肉を増強させてもよいのですね。大会出場者はステロイドを使用してはいけないのかと思っていました。ジャッキーにステロイド注射を勧めたのはルーだけど、その量はそう多くない。ところが最初は躊躇していたジャッキーなのに、どんどん使用量が増えてゆく。やはり大量に摂取すれば幻覚が見えたりもするようで。
ルー役のクリステン・スチュワート、その父親役のエド・ハリス、ジャッキー役のケイティ・オブライアン、みんな怪演。凄まじい。ベス役のジェナ・マローンがDVに遭った顔がまたえげつなくて。殺されそうになっても逃げようのない人はともかく、逃げようとすらしない人もいるんだと、そのことにいちばん驚く。DVとはそういうものなのか。
めっちゃ面白かった。終盤、まさかの変身には呆気にとられたのち爆笑。これは『サブスタンス』と双璧をなす描写と言えそう。万人には鑑賞を勧められませんが、「変なやつ」が好きな人はぜひどうぞ。
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