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『大統領暗殺裁判 16日間の真実』

『大統領暗殺裁判 16日間の真実』(英題:Land of Happiness)
監督:チュ・チャンミン
出演:チョ・ジョンソク,イ・ソンギュン,ユ・ジェミョン,ウー・ヒョン,イ・ウォンジョン,チョン・ベス,ソン・ヨンギュ,チェ・ウォニョン,カン・マルグム,パク・フン,イ・ヒョンギュン,チン・ギジュ,ユ・ソンジュ,キム・パブレ他

に面会するため老健に寄り、そのまま車で大阪市内へと向かう。この日の最終目的地はなんばグランド花月だったから、新喜劇を観る前にTOHOシネマズなんばかなんばパークスシネマで何か映画を観たいと思っていました。しかし『隣のステラ』『バレリーナ The World of John Wick』は封切り日だった前日にすでに鑑賞済みで、相変わらず『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』『国宝』が席巻中のなんばでは観るものがない。で、駐車場代がバカにならんなぁと思いつつ、途中梅田スカイビルに入庫してテアトル梅田でこれ1本だけ観たのでした。

『KCIA 南山の部長たち』(2020)や『ソウルの春』(2023)でも描かれたパク・チョンヒ暗殺事件。こうも何度も同じ事件を取り上げて映画化しなくてもいいのではと思うのですが、それだけこの事件が衝撃的だったということですよね。「またぁ!?」と思いつつ観に行ったのに、結局私も居眠りする隙なんて一瞬たりともないまま最後まで。監督は『王になった男』(2012)のチュ・チャンミン。

1979年10月26日、独裁者と言われていた韓国大統領パク・チョンヒが暗殺される。犯人として逮捕され起訴されたのは、韓国中央情報部部長以下7名。民主主義のために闘おうとした彼らを見殺しにしてはならないと弁護団が結成されるが、中央情報部部長随行秘書官パク・テジュ(イ・ソンギュン)のみ弁護人が見つからない。なぜならテジュは7名のうち唯一の現役軍人だから。ほかの6名が三審制で裁かれるのに対して、テジュについては軍法に則った単審となるのだ。弁護団は彼の弁護を引き受ける者を手を尽くして探す。ようやく引き受けることになったのは、「裁判は善悪を決めるものではなく、勝つか負けるか」と言ってはばからないチョン・インフ(チョ・ジョンソク)で……。

軍法に則った裁判では確実に不利になるから、インフはなんとか方法を見つけてテジュにも三審制の裁判を受けさせようとしるのに、自分は軍人だから軍人として裁きを受けると言ってテジュは聞きません。寡黙で実直、上からも下からも軍人の鏡と言われていた彼にインフは自らの父親の姿を重ねます。インフの父親は牧師で、罪なき学生がアカ扱いされているのを見過ごせずに匿い、投獄されました。拷問を受けても屈することなく、学生たちをアカだとは決して言わなかった父親。そのせいで家族がつらい思いをしても主張を変えなかった父親。いまテジュの妻子も同じような目に遭っているのに、嘘はつけないと言うテジュ。

同事件を描いたなかでもいちばん柔らかめというのか、笑えるシーンが多々あります。それだけに最後は心が削り取られるよう。テジュを演じたイ・ソンギュンのこれが遺作となりました。エンドロール後の「彼を忘れない」という追悼句にも涙が出そうになります。

独裁者でも崇拝する人が多いのはなぜですか。独裁者につく人なんて、みんなすぐに寝返りそうな人ばっかりじゃないかと思ってしまうのですけれど。

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