『君の声を聴かせて』(英題:Hear Me: Our Summer)
監督:チョ・ソンホ
出演:ホン・ギョン,ノ・ユンソ,キム・ミンジュ,チョン・ヨンジュ,ヒョン・ボンシク,チョン・ヘヨン他
TOHOシネマズ伊丹にて。
台湾の『聴説』(2009)の韓国リメイク版で、この週かなり優先度高しと思っていた作品です。なぜか『きみの瞳が問いかけている』(2020)のリメイクだと勘違いしていて、えらく話が違うなぁと思ったら、そもそもあっちは視覚障害者、こっちは聴覚障害者の話でした。単に「君の」繋がりの勘違い。
監督は『エンドレス 繰り返される悪夢』(2017)のチョ・ソンホ。主演は『コメント部隊』に出演していたホン・ギョン。共演のヒロイン役はノ・ユンソ。彼女の妹役を日韓合同アイドルグループ“IZ*ONE”の元メンバー、キム・ミンジュが演じています。
弁当屋の息子ヨンジュン(ホン・ギョン)は大学を卒業したものの就職せず、家でボーッとする毎日を送っている。業を煮やした母親(チョン・ヘヨン)はせめて弁当屋を手伝うように言う。小遣いをアップしてやるからという言葉に釣られて配達に訪れたプールで、ヨンジュンは聾唖者とおぼしき女性ヨルムを見かけて一目惚れ。何かのときのためにと学生時代に習った手話を使い、まずは彼女の妹で同じく聾唖者の水泳選手ガウル(キム・ミンジュ)に近づき、ヨルムの情報を得ようとする。電話番号を教えてほしいというヨンジュンに、ガウルは直接尋ねればと笑う。
その後、単車が動かなくなって困っているヨルムを発見。急いでいる彼女に自分の単車との交換を申し出て、修理も請け負う。友人のジェジン(チョン・ヨンジュ)に至急の修理を頼み、翌日ヨルムと会う約束を取り付けるヨンジュン。最初は多少警戒している様子だったヨルムも何かと世話を焼いてくるヨンジュンと過ごす時間が楽しくなるのだが……。
ヨルムの夢はガウルのオリンピック出場。そのためにバイトと学校のとき以外はプールに通い詰めてガウルを支えています。ガウルの身に何かあってはいけないと常に一緒にいたヨルムですが、ヨンジュンに恋をする。ガウルに後押しされて出かけたときに自宅で事故発生。ガウルが病院に運び込まれると、責任を感じるヨルムはヨンジュンとの連絡を絶ちます。
ヨルムにフラれて傷心のヨンジュンを見守る両親。あれほどご機嫌だった我が息子の元気がなくなるのを見て、母親はすぐに息子が失恋したことを悟ります。どんな子にフラれたんだと問うと、彼女は耳が聞こえない、声も出せないと言う。息子の恋を応援したいけど、相手が聾唖者だなんてと考え込む母親に対し、ヒョン・ボンシク演じる父親のあっけらかんとした様子がめちゃめちゃイイ。「なんで? 耳が聞こえたって話の通じない奴、いっぱいいるよ」。笑いました。その通り。
以上、ネタバレを含んで書いてしまいましたが、さらにネタバレ。実はヨルムは聾唖者ではないというオチが待っていて「はぁ?」。両親とその娘ふたりという家族の中で、耳が聞こえるのはヨルムだけ。つまり彼女は「コーダ」なんですよね。そうとは知らずに、ヨルムと一緒に働けば楽しそうだからと実家の弁当屋でのバイトを勧めるヨンジュン。聾唖者に仕事探しは難しいと思っているかのようで、それもどうかと思ったけど、息子の彼女を受け入れることにした両親の前でいきなり喋り出すヨルム。私は耳が聞こえるし喋れるのよと最後に言われても、なんじゃそりゃと思ってしまった私でした。(^^;
目次