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『モンテ・クリスト伯』

『モンテ・クリスト伯』(原題:Le Comte de Monte-Cristo)
監督:マチュー・デラポルト,アレクサンドル・ド・ラ・パトリエール
出演:ピエール・ニネ,バスティアン・ブイヨン,アナイス・ドゥムースティエ,アナマリア・ヴァルトロメイ,ロラン・ラフィット,パトリック・ミル,ヴァシリ・シュナイダー,ジュリアン・ドゥ・サン・ジャン,アデル・シンパール,ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ他

北新地で12時半からの昼呑みの前に1本だけ。「だけ」というのか、178分の長尺のため、8:55予告編スタートで上映終了は12:05。これじゃ1本しか観られない。大阪ステーションシティシネマにて、フランス/ベルギー作品です。

文豪アレクサンドル・デュマの古典『モンテ・クリスト伯』。日本人はもっぱら『巌窟王』として知っている物語ですよね。私も確か小学生の頃、子ども向けの名作シリーズか何かで読んだのだと思います。ほかにはどんなのがあったかな。『若草物語』とか『赤毛のアン』辺りでしょうね。監督のマチュー・デラポルトとアレクサンドル・ド・ラ・パトリエールはコンビで活躍する脚本家だそうで、主演は『ブラックボックス:音声分析捜査』(2021)のピエール・ニネ

19世紀初頭。船乗りのエドモン・ダンテスは誠実な青年。嵐の夜、難破船から放り出された女性が溺れているのを見つけ、船長のダングラールの制止を振り切って海に飛び込む。無事救出された女性アンジェルはエドモンに感謝するが、ダングラールは「言うことを聞かない勝手な乗組員」として船のオーナーであるモレルに訴える。するとモレルはダングラールを解雇してエドモンを船長に抜擢。

エドモンの父親はモルセール伯爵家の使用人。エドモンはモルセール家の娘メルセデスと恋仲だったが、ただの船乗りの身では求婚することはできない。船長になったことで晴れて周囲にふたりの仲を明かして婚約が叶った。エドモンの人柄を知るメルセデスの家族たちも皆大喜びだったが、ひとり傷ついていたのはメルセデスに想いを寄せていた従兄フェルナン。

エドモンとメルセデスの結婚式の日、教会に現れたのは警察隊。エドモンは検事ヴィルフォールのもとへ連れて行かれ、ナポレオンの支持者との疑いがかかっていることを知らされる。実は海で助けたアンジェルがそうで、彼女はナポレオンの署名入りの手紙を携えていたのだ。アンジェルからそれを奪い取ったダングラールが、エドモンこそがその手紙の持ち主であると偽って告発したのだ。船長に就任して地元いちばんの名士の娘と結婚することになったエドモンはダングラールの嫉妬を買ったというわけ。しかもアンジェルはヴィルフォールが孕ませた愛人の妹。アンジェルがナポレオンの手先と世間に知られては困るヴィルフォールはダングラールと組み、さらにはフェルナンにも「エドモンに裏切られた」と署名させる。

投獄されたエドモンはどれだけ月日が経ったのかもわからずにいたが、あるとき、隣の独房の司祭ファリアと繋がる。エドモンとファリアは一緒に脱獄しようと来る日も来る日も岩を打って道を掘り続け、14年後、ようやくあと数日で外に出られそうだという日にファリアが亡くなって……。

いかんいかん、あらすじ全部書いてしまいそうです(笑)。看守の目をすり抜けて脱獄に成功したエドモンは、自分がなぜ投獄されることになったのかを突き止めると、復讐を果たそうとします。脱獄者が金もないのになぜそんなことができるのかと誰でも思いますよね。それはファリアが財宝の隠し場所をエドモンに教えたから。徳川埋蔵金かよ。

いや~、3時間近く、まったく退屈しませんでした。エドモンの協力者も魅力的。ダングラールとヴィルフォール、モルセールに恨みを持つ若者と共に、念入りに事を進めるエドモン。その賢さには舌を巻く。どれだけ悪党どもが頭を働かせようともその上を行くエドモンには敵いません。

こんな長尺だと配信が始まっても家で観るのは集中力がもたないと思って観に行った作品です。家で観るとついつい休憩して飲酒したりスマホを見たりってことになりますから、こうして劇場で観て正解でした。何よりも、この時代の景色を大画面で観られることが楽しい。決闘のシーンでは『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(2023)を思い出したりなんかもして、決闘のルールっていつの時代も変わらないのねと思いました。

『巌窟王』がこんな話だったのだと思い出す良い機会でした。アンジェルは本作のオリジナルキャラクターですが、演じるアデル・シンパールがカッコよかった。エデ役のアナマリア・ヴァルトロメイは美人だし、見どころ多し。

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