『ブラック・ショーマン』
監督:田中亮
出演:福山雅治,有村架純,成田凌,生田絵梨花,木村昴,森永悠希,秋山寛貴,犬飼貴丈,岡崎紗絵,森崎ウィン,丸山智己,濱田マリ,伊藤淳史,生瀬勝久,仲村トオル他
公開初日の晩、109シネマズ箕面にて鑑賞。
原作は東野圭吾の『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』で既読。そのときの感想はこちら。事件の内容も犯人もほぼ全部忘れていました。覚えているのは、東野圭吾作品の中では好きではなかったということだけ。起きている事件はわりと重いのに、謎を解明するオッサンがやたら軽くて、しかもスベる人。そのせいでイケメンはイメージできなかったから、福山雅治が演じると聞いたときは意外でした。そうだなぁ、原作からは私は生瀬勝久のほうをイメージするかも。
2カ月後に結婚を控える神尾真世(有村架純)が婚約者の中條健太(伊藤淳史)と共に式場で打ち合わせに臨んでいたさい、父親の英一(仲村トオル)の訃報を受ける。急いで帰郷するが、英一が何者かに殺されたらしいと知って呆然。定年を迎えるまで中学校教諭だった英一は教え子たちから慕われ、周囲からの人望は厚かった。誰の恨みも買うはずなどないのに、いったいなぜ殺されたのか。
殺害現場となった実家で、真世が刑事の木暮大介(生瀬勝久)と柿谷誠一(丸山智己)に英一の話をしていると、突如として現れたのは英一の弟である武史(福山雅治)。形の上では英一と武史は同居の家族だったことになっているが、武史がここへ帰ってきたのは何年かぶり。武史はかつてラスベガスで名を馳せたマジシャンで、今は恵比寿のバーのオーナー。虫の知らせで久方ぶりに戻ったと言う武史を木暮は怪しむ。
そんな刑事の疑いを逆に利用して、武史は英一を殺した犯人を調べることに。いくらマジシャンとはいえ、嘘も盗みも厭わない武史のやり方を非難しつつも一緒に真相を突き止めたいと思う真世。すると、英一の教え子だった真世の同級生たちがいずれも最近英一と連絡を取っていたことがわかり……。
原作に面白い印象がなかったこともあって期待度は低めでした。そのおかげでこの映画版は冒頭から華やかなマジックショーを見た気にさせてもらえるのが楽しい。こんな気障な役は福山雅治以外にできそうにもありません(笑)。
コロナの煽りを受けた町でそれぞれに困った事情を抱える元生徒たち。彼らの頼みの綱は、中学時代は最も冴えなかった釘宮克樹(成田凌)。オタクだった彼は漫画家として成功し、漫画『幻脳ラビリンス』が大ヒット連載中。みんな彼のことをバカにしていたくせに、こうしてスターとなるや群がる。広告代理店勤務の九重梨々香(岡崎紗絵)はまるでマネージャーのごとく彼に張りつき、幻ラビで町おこしを狙う建設会社の跡取り息子である柏木広大(木村昴)に銀行勤務の牧原悟(秋山寛貴)は逆らえない。英一の遺体の第一発見者は酒店を営む原口浩平(森永悠希)で、酒瓶のエチケットに幻ラビの登場人物を使用できたらと密かに思っています。また、幻ラビで町に観光客が押し寄せることを祈るのは旅館の女将の池永桃子(生田絵梨花)で、その夫の良輔(森崎ウィン)は同級生ではないけれど英一の教え子。
善人だから恨まれないということはなくて、善人であるがゆえに図らずも誰かの秘密に触れてしまうことがある。しかも善人は無邪気にそれを解決しようとして、「触れる」どころか「障ってしまう」のですね。人って、むずかしい。
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