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『パルテノペ ナポリの宝石』

『パルテノペ ナポリの宝石』(原題:Parthenope)
監督:パオロ・ソレンティーノ
出演:チェレステ・ダッラ・ポルタ,ステファニア・サンドレッリ,ゲイリー・オールドマン,シルヴィオ・オルランド,ルイーザ・ラニエリ,ペッペ・ランツェッタ,イザベラ・フェラーリ,ロレンツォ・グレイジェセス,ダニエレ・リエンツォ,ダリオ・アイタ他

友人とナポリ料理のお店でランチする約束をしていた日曜日、その前に映画を1本観られるのではないかと思い、あちこちの劇場スケジュールを調べてみたら、おおっ、うってつけの作品があるじゃあないか。ナポリを舞台にした本作に即決して、大阪ステーションしてシネマで8:45からの回を予約しました。

監督はまさにそのナポリ出身のパオロ・ソレンティーノ。イタリアの巨匠と言われていますが、私の中では巨匠って80歳ぐらいの爺さんのイメージ。ソレンティーノ監督はまだ50代なかばです。監督作だってそれほど多くないですしね。巨匠とか名匠って、いつどの時点で呼ばれるようになるのかしらん。

1950年の南イタリア・ナポリ。裕福な家庭に長女として生まれた娘はパルテノペと名づけられる。パルテノペとはもとはギリシャ神話に登場する人魚の名前で、ナポリの街を意味する言葉。長男のライモンドはパルテノペの誕生をほかの家族と共に見守り、妹にこのうえない愛情を抱いている。パルテノペと幼なじみのサンドリーノ、そしてライモンドは共に楽しい子ども時代を過ごし、美しく成長するパルテノペを女神と崇めて見守る。勉学も好むパルテノペは聡明さでも人々を魅了。大学では人類学を専攻し、試験の審査に当たる教授たちをも舌を巻く解答をしてみせる。

ある夏、ライモンドはパルテノペとサンドリーノをカプリへ行こうと誘う。パルテノペが歩けばその美貌に誰もが目を奪われて注目の的。プールサイドで声をかけてきたのが彼女の憧れの作家ジョン・チーヴァーだとわかり、パルテノペは興奮。ジョンについて行くが、その様子をヘリコプターで上空から見つめていた富豪も彼女を誘おうと必死。こんなふうにモテまくりのパルテノペを見るにつけ、どうしてよいかわからないライモンドとサンドリーノ。特にライモンドの苦悩は深まるばかりで、ついに海に身を投げてしまうのだが……。

ソレンティーノ監督の年齢を知ったのは鑑賞後でした。だから、もっとジジイだと思っていて。オープニング、ビーチや街で映し出されるセクシーな美女やマッチョなイケメンに、ジジイの妄想丸出しやなと思いました(笑)。ところが、ソレンティーノ監督はまだ若かった。そもそも1950年って、監督はまだ生まれてもいないじゃあないですか。最初はそんな感じで好意的に観ることはできなかったのですけれど、それでも風光明媚なナポリを眺めるのはそれだけで楽しいなと思っていたら、話はジジイの妄想ではなくなってゆきます。

パルテノペ役のチェレステ・ダッラ・ポルタはこれが映画デビューだそうで。大抜擢。確かに美しい。ただ、クールビューティーという感じではなく、誰にでもニッコリ微笑んで思わせぶりな態度を取るから罪。みんな骨抜きにされちゃうんです。こんな女性が裸に近いような服を着て歩いていても襲われないんだろうかと心配になるけれど、そうはならないのはナポリだからなんですか。知らんけど。

普通に終わるのかと思ったら、終盤度肝を抜かれるシーンがあります。教授の息子、それ!? 塩と水でできている? 彼を見ても驚かず、「美しい」と微笑むパルテノペは只者ではない。だからこそ教授は息子をパルテノペに紹介したのでしょうね。このパルテノペの感覚は素敵だと思いました。

近親相姦的な雰囲気や、ゲイなのかゲイじゃないのかという雰囲気が印象に残ります。パルテノペ同様に思わせぶりな作品。退屈はしません。これだけ美しければ、何でもいい。

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