『バレリーナ:The World of John Wick』(原題:From the World of John Wick: Ballerina)
監督:レン・ワイズマン
出演:アナ・デ・アルマス,アンジェリカ・ヒューストン,ガブリエル・バーン,ランス・レディック,カタリーナ・サンディノ・モレノ,ノーマン・リーダス,イアン・マクシェーン,キアヌ・リーヴス他
封切り日、前述の『隣のステラ』の次に、同じくイオンシネマ茨木にて。
“ジョン・ウィック”シリーズのスピンオフ作品。予告編が流れはじめた頃どころかこうして本編を目にするまでスピンオフだとは知らなくて、そっか、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(2023)でキアヌ・リーヴス演じるジョン・ウィックは死んだから、彼の身内の少女が敵討ちでもするんだわと思っていました。全然ちゃうやん。時系列としては、『コンセクエンス』とその前作『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019)の間に位置づけられるのだそうです。
監督は主にTVシリーズで活躍するレン・ワイズマン。リブート版『トータル・リコール』(2012)の人ですね。映画監督としては“アンダーワールド”シリーズでデビュー。それが縁でケイト・ベッキンセイルと結婚するも十数年後に離婚したそうです。ジョン・ウィックの身内でも何でもない女性(笑)を演じるのは『ブレードランナー 2049』(2017)や『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(2019)のアナ・デ・アルマス。同性が憧れるスカヨハ姐さんとはタイプが違うけれど、こっちもカッコイイ。
目の前で父親を殺された少女イヴ・マカロは、“コンチネンタルホテルニューヨーク”の支配人ウィンストンの計らいでジョン・ウィックを輩出した闇組織“ルスカ・ロマ”に預けられる。ルスカ・ロマのディレクターのもと、バレエの指導を受けるとともに殺しのテクニックを叩き込まれたイヴは、12年後、バレリーナとしてのみならず一流の暗殺者へと成長。
父親を殺したのが何者なのか知りたいと考えたイヴはウィンストンを訪ね、世にも恐ろしい暗殺教団の存在を示唆される。ただし、その教団とルスカ・ロマの間にはお互いに干渉しないという暗黙の協定が結ばれており、もしもイヴが教団に乗り込めば掟破りということになる。ディレクターから止められるのも聞かず、教団がいるとおぼしきヨーロッパのとある田舎町へと向かったイヴは……。
ネタバレになりますが、教団は過去千年の間、町ごと統括してきました。一見のどかなこの町では、よそ者が来ればすぐさま排除するのが当たり前。住民たちはおそらく何の疑いもなく自分たちが教団に守られていると感じています。外の世界は危険で、ここにいるからあなたたちは平穏に暮らしていられる。某国のことかと思いましたが(笑)、某国より暮らし向きは良さそうで、住民の誰もが安定した生活を送っていそう。だったら出て行こうとは思わないか。
こんな町から出て行くことを決意したのがイヴの父親でした。イヴの母親が教団の一族で、一族に生まれついたからには教団から抜けることは決して許されない。娘に暗殺者の人生を歩ませたくなかった父親はイヴを連れて脱出。その責任を母親は取らされて亡き者に。教団の主宰はイヴを奪還すべく追ってきて、イヴの父親を殺したというのが冒頭のシーン。後に主宰の息子もイヴの父親同様に自分の娘を連れて教団から脱出しますが、血族を絶やすことがあってはならないと考える主宰は、自らの息子すら暗殺の対象にする。それをこの町の住民は誰もおかしいと思わない。感覚が狂っています。
ジョン・ウィックの出番はさほどないのかと思いきや結構ある。掟破りのイヴを処刑するためにディレクターが彼を町に送り込みます。主宰とディレクターは、ジョン・ウィックがイヴを殺すまで周りは手出しをしないという約束を交わすけど、我らがジョン・ウィックは最終的にはイヴの味方。胸のすく展開。
コンチネンタルホテルニューヨークのコンシェルジュ役、ランス・レディックは確か亡くなったはずが出演していたので、嬉しくなるとともに私の勘違いだったかと思っていましたが、本作のクランクアップ数週間後に急逝とのこと。本当に残念です。次のスピンオフでは誰がコンシェルジュを演じるのでしょう。あと、どうでもいいことだけど、コンチネンタルホテルの支配人役のイアン・マクシェーンって、教団主宰役のガブリエル・バーンと雰囲気似すぎでややこしい。
余談ですが、トム・クルーズと野原ひろしの吹替を担当する森川智之って、キアヌ・リーヴスの声も担当しているのですよね。俄然、吹替版も観たくなってきました。
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