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『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』

『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』(原題:Deliver Me From Nowhere)
監督:スコット・クーパー
出演:ジェレミー・アレン・ホワイト,ジェレミー・ストロング,ポール・ウォルター・ハウザー,スティーヴン・グレアム,オデッサ・ヤング,ギャビー・ホフマン,マーク・マロン,デヴィッド・クラムホルツ他

テアトル梅田で『メン&チキン』を観た後、まっすぐ帰りゃいいものを109シネマズ箕面に寄ってもう1本。

若き日のブルース・スプリングスティーンに焦点を当てたという本作は、スルーしてもいいかなと思っていました。だって私はまったくと言っていいほど彼に興味がない。それでも『カセットテープ・ダイアリーズ』(2019)を観たときにはずいぶんイメージが変わりました。彼は単なるロックスターというよりは、テレサ・テン的な扱いだってことはありませんか。いろんなものを背負っていて、同じような思いを持つ人を支えつづけてくれる存在。まるで違ったらすみません。

幼少期、酒浸りの父親をバーから連れ戻すのが役目だった少年ブルース。酔って帰ってきてはブルースを殴る父親のことを母親は責めたが、それで態度を改める父親ではなかった。ずっと父親に怯えながら過ごしていたブルース。それでも映画『狩人の夜』(1955)を父親と観たことはきらめく思い出。

1980年、『ハングリー・ハート』の大ヒットで一躍スターとなったブルース。新曲が期待されるなか、レコーディングエンジニアの友人マイク・バトランを自宅へ呼びつけたブルースは、アコースティックギターのみでカセットテープへの録音を進める。デモテープを受け取ったマネージャーのジョン・ランドーは、ブルースの望みに100%沿ったアルバムに仕上げようとするのだが……。

自宅の寝室に古い機材を持ち込んで録音した曲のイメージそのままでアルバムを作りたいのに、録音スタジオには最新の機材しかないからブルースの望みどおりにはなかなかなりません。新しい機材で古い機材の音を出すことがこんなに難しいとは。素晴らしいのはジェレミー・ストロング演じるマネージャーのジョンで、こんな人が付いていたからこそ、そして誰もがブルースの願いを笑ったり呆れたりせずに仕事に取り組んだからこそ、納得できる形になったアルバム『ネブラスカ』。常識外と言われた名盤の誕生は観ていてうれしくなりました。

ただ、ブルースの恋愛話には首をひねってしまいます。名前が売れた途端、増える知り合い。「体育で一緒だっただろ」と言われて誰が思い出せるねん。そんな元同級生が「俺の妹」だと言って紹介してきた女性フェイとつきあいはじめるって、グルーピーのうちのひとりとつきあうのと変わらんことないですか。しかも彼女、子持ちだし。どれだけ真面目につきあっていたのか知らんけど、を発症したブルースから別れを切り出されて「逃げているだけ」とか「自分と向き合わないと」とか言われても。そもそも彼が鬱病だとは知らなかったので、それはびっくりしました。

クイーンの『オペラ座の夜』を聴いたプロデューサーが駄目出ししたのと違って、こっちのプロデューサーはこんなの売れねぇだろと言いつつも「でもどうせ言うこと聞かないでしょ」と大切に扱うことを約束するのもよかったですね。とはいうものの、彼の曲にはのめり込めそうにありません。メッセージ性が強すぎる。

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