『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』(原題:The Phoenician Scheme)
監督:ウェス・アンダーソン
出演:ベニチオ・デル・トロ,ミア・スレアプレトン,マイケル・セラ,リズ・アーメッド,トム・ハンクス,ブライアン・クランストン,マチュー・アマルリック,リチャード・アイオアディ,ジェフリー・ライト,スカーレット・ヨハンソン,ベネディクト・カンバーバッチ,ルパート・フレンド,ホープ・デイヴィス他
前週、休日出勤したので、代休を取った平日。晩は夙川のワインレストランに行く予定で、その前に映画と吉本新喜劇。映画は本作を観ることにして、TOHOシネマズなんば別館へ。NGKとは目と鼻の先だから、このハシゴはとても楽ちん。
マニアなファンが多そうなウェス・アンダーソン監督。直近の2作『アステロイド・シティ』(2023)と『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(2021)はなんだかよくわからなくて、ジャージだけで笑わせてくれた『ザ・ロイヤル・テネンバウムス』(2001)が懐かしかった。本作はその頃まで戻るわけではないけれど、やっぱりこの監督は好きだなぁと思わせてくれました。ただし、万人受けはしないと思います。
時は1950年。独立国フェニキア(架空の国)の大富豪ザ・ザ・コルダは、たびたび命を狙われては生き延びている。今回は本当に死を感じたため、このさき何度も暗殺者の手から逃れるのは無理かもしれないと悟り、疎遠だった娘のリーズルを呼び出して全財産を相続させると話す。コルダにはほかに9人の息子がいるのだが、よりによってたったひとりの娘に相続を決めたのはなぜなのか。修道女になろうとしているリーズルは困惑する。
コルダは壮大な“フェニキア計画”を実現させたい。そのためには出資者が必要。出資者のもとを巡る旅に自分を連れて行こうとするコルダを最初は拒絶していたリーズルは、悪名高き父のことではあるが、これがもしかすると世の中をより良くするきっかけになるかもしれないと一緒に旅に出て……。
アンダーソン監督らしいヘンテコな話運びと独特の色使いにカメラワーク。そのひとつひとつが面白いし、役者たちの表情と台詞が可笑しい。監督ファンじゃないとこんな作品は観ようと思わないだろうから、7割方入っている客はみんな笑う笑う。
コルダ役のベニチオ・デル・トロが凄いのは言わずもがな、リーズル役のミア・スレアプレトンのハマり具合が素晴らしすぎる。コルダの家庭教師に採用された実はスパイのビョルンにマイケル・セラ。出資者たちにリズ・アーメッド、トム・ハンクス、ブライアン・クランストン、マチュー・アマルリック、ジェフリー・ライトなどなど。コルダの再婚相手にスカーレット・ヨハンソン。修道院長にはホープ・デイヴィス。コルダを亡き者にしようと会議を開く各国首脳の真面目な顔にも笑う。コルダを恨む弟にはベネディクト・カンバーバッチ。相当イカれています。
最初のほうを観ただけでムリと思った人はムリですよ。ツボにハマれば面白いアンダーソン作品なのでした。
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