『カリギュラ 究極版』(原題:Caligula: The Ultimate Cut)
監督(1980年版):ティント・ブラス,ジャンカルロ・ルイ
出演:マルコム・マクダウェル,ヘレン・ミレン,テレサ・アン・サヴォイ,グイド・マンナリ,ジョン・スタイナー,ブルーノ・ブリーヴ,ジョン・ギールグッド,ピーター・オトゥール他
ボブ・グッチョーネなる人物が成人向け雑誌『ペントハウス』を創刊したのは1965年のことでした。それより10年以上前にヒュー・ヘフナーが創刊した『プレイボーイ』に対抗してのこと。『プレイボーイ』より売れるエロい雑誌を作るという目標があったそうです。おそらくグッチョーネにとってヘフナーは絶対に倒したいライバルだったのでしょうね。そして、1980年には映画にも手を出す。46億円という巨費を投じて彼が製作したのがアメリカ/イタリア合作の本作。監督にはポルノ映画界の巨匠と呼ばれるイタリア人ティント・ブラスを抜擢。金にモノを言わせて錚々たるキャスティングを目指したようですが、オファーした俳優陣にポルノ映画であることは伏せていたため、大変な騒動になったらしい。
主人公カリギュラの祖父で第2代皇帝の暴君ティベリウス役のオファーを受けた『市民ケーン』(1941)のオーソン・ウェルズは、彼の俳優人生最高額のギャラを提示されたにもかかわらず、脚本を読んで出演を拒否。その役は結局ピーター・オトゥールが務めました。主演を引き受けたマルコム・マクダウェルも本作への出演をキャリアの汚点だったとして後悔を見せています。こんな曰く付きの作品を今さら復元する必要があったのだろうかと思いますが、だからこそ観たいと思うのも事実で(笑)。なんと、結果的にすべてオリジナル公開版で使用されていない映像のみで仕上げることになったそうです。観たいじゃあないか。同じ気持ちの人が多いようで、キノシネマ心斎橋にはまぁまぁ客が入っています。
カリギュラはローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの曾孫。近親相姦の関係にある実妹ドルシアと結婚したいと思っているが、ドルシアは兄妹は結婚できないのよと笑う。ある日、カプリ島で隠遁生活を送る第2代ローマ皇帝ティベリウスから呼び出されて馳せ参じると、そこには性病に冒されながらも異常性愛に溺れる暴君の姿が。興味を惹かれるカリギュラ。
順当に行けば次の皇帝はカリギュラだが、ティベリウスはカリギュラの弟ゲメッルスに後を継がせたい。カリギュラに毒を盛って殺害を謀るが、それに気づいたカリギュラが回避。その後、カリギュラの腹心マクロが仮死状態となっていたティベリウスにとどめを刺して殺す。こうして第3代皇帝の座に就いたカリギュラ。
ドルシラの勧めで妻を娶ることにしたカリギュラは、ドルシラが連れてきた巫女の中でリヴィアという女性に目をつけるが、彼女にはプロキュラスという婚約者がいるらしい。それならばと次に選んだのが、巫女のうち最も尻軽で離婚歴もあるカエソニア。カエソニアだけはやめたほうがいいというドルシラの忠告を聞かずにカエソニアと結婚。しかしリヴィアを普通に結婚させるのは面白くなくて、リヴィアとプロキュラスの結婚式に乱入すると、処女だったリヴィアを強姦。さらにはプロキュラスのことも強姦する。
書いていて胸クソが悪くなります。マクロも反逆の罪を着せられて殺されてしまうし、その殺し方もまたえぐい。よくも皆さんこんな作品に出演することにしたもんです。3時間の拷問のような鑑賞時間(笑)。
カエソニアを演じているのがヘレン・ミレンなんですよね。誰もが知る名女優がかつてこんなエロエロ役を演じていたなんて、もうビックリ。ガリガリに痩せていると思っていたのに、淫乱なカエソニア役の彼女は豊満ボディで、ドルシラ役のテレサ・アン・サヴォイと3Pまでしちゃいますから。でもこれは本人じゃなくてボディダブルなのでしょうね。
下品だ、うんざりする、史上最悪の映画などと酷評されつつもヒットした本作。二度と観たくはないですが、こうして一度は観ることができてよかったと思います。ヘレン・ミレンが本作への出演を恥じていないところも素晴らしい。
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