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『アフター・ザ・クエイク』

『アフター・ザ・クエイク』
監督:井上剛
出演:岡田将生,橋本愛,吹越満,泉澤祐希,北香那,唐田えりか,鳴海唯,黒崎煌代,堤真一,渡辺大知,黒川想矢,井川遥,渋川清彦,津田寛治,錦戸亮,佐藤浩市他
声の出演:のん

仕事帰りになんばパークスシネマにて。18:00からの上映に間に合うかどうかは新御がどれくらい混んでいるかによるのでドキドキします。この日は余裕で間に合いました。

村上春樹の短編集『神の⼦どもたちはみな踊る』に収録されている6つの短編のうち4つがベース。2000年に月刊誌『新潮』で連載されたときは副題として「地震のあとで」が付いていたそうです。つまりこれが本作のタイトルとなっています。NHKで全4回に渡って放映されたドラマのタイトルも『地震のあとで』で、これはその劇場版。ベースとなっている短編が『めくらやなぎと眠る女』(2022)とかぶるので、既視感に浸りながらの鑑賞。第何章と表示されるわけではないけれど、オムニバスというのか連作というのか。

第1章の基は『UFOが釧路に降りる』で、1995年が舞台。オーディオ機器専門店に勤める小村徹(岡田将生)。1月17日に阪神・淡路大震災が発生してからというもの、妻の未名(橋本愛)は食事もろくに摂らずにひたすらニュース映像を見続けていたかと思うと、書き置きを残して突然出て行ってしまう。長期休暇を取ることにした徹は、後輩社員(泉澤祐希)から「妹のケイコ(北香那)に届けてほしい」と箱を預かり、北海道へ。釧路空港でケイコとその友人のシマオ(唐田えりか)に出迎えられる。

第2章の基は『アイロンのある風景』で、2011年が舞台。高校生だった2年前に家出して茨城県の海辺の町にたどり着いた順子(鳴海唯)は、勤め先のコンビニに毎日やってくる客の三宅(堤真一)が流木を集めて夜中に焚き火しているのを見かける。以降、たびたび同棲中の彼氏(黒崎煌代)と共に焚き火に寄っては三宅と言葉を交わすようになる。

第3章の基は表題作の『神の⼦どもたちはみな踊る』で、2020年が舞台。カルト教団の信者である母親(井川遥)のもとで“神の子ども”として育てられた善也(黒川想矢)は、2011年の東日本大震災を機に信仰を捨てた。大人になった彼(渡辺大知)は、病に倒れた教団幹部の田端(渋川清彦)から最期に会いたいと言われて出向く。

第4章は『かえるくん、東京を救う』で、2025年が舞台。かつて信用金庫に勤めていた片桐(佐藤浩市)は今はネットカフェ暮らしの警備員。ある日、彼の前に巨大な蛙の姿をして人間の言葉をしゃべるかえるくん(声:のん)が現れる。かえるくんが言うには、30年前に片桐とかえるくんは協力して東京を救った、再び助けてほしいと。

ね、へんてこな話ですよね。学生の頃、村上春樹が大好きだったのですが、今こうして書いてみると、はたしてあの頃の私に彼の作品が理解できていたのかどうかわかりません。理解できていたとは思えないけれど、なんとなく面白かったのかなと。震災に寄せた話には少し苦手意識がありますが、こんなふうになるとやっぱり村上春樹って凄いなと思うのです。偽善的な雰囲気がいっさいなく、ただ、震災後の人々の気持ちの変化を紡いでいるようで、押しつけがましくない。とはいうものの難解。何度か観たら何が言いたいのか私にもわかるでしょうか。非常に魅力的な出演陣です。

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