『アグリーシスター 可愛いあの娘は醜いわたし』(原題:Den Stygge Stesøsteren)
監督:エミリー・ブリックフェルト
出演:レア・ミレン,アーネ・ダール・トルプ,テア・ソフィー・ロック・ネス,フロ・ファゲーリ,イサーク・カムロート,マルテ・ゴーディンゲル,ラルフ・カールソン,アダム・ルンドゲレン,カタジナ・ヘルマン,セシリア・フォルス,アグニェシュカ・ズレフスカ他
毎年恒例の全館停電で職員全員休みの日、なんばパークスシネマにて。
『シンデレラ』をモチーフとする本作は、邦題からしてえげつなそうだからスルーするつもりでいました。ところが、ノルウェーの新鋭エミリー・ブリックフェルト監督によるノルウェー/デンマーク/ポーランド/スウェーデン作品だと知ってスルーできなくなる。スペイン語圏やポルトガル語圏のホラーと同様に、北欧のホラーは気になるもので。しかし考えてみると、北欧ホラーのうち、『ぼくのエリ 200歳の少女』(2008)は好きでしたが、『フィンランド式残酷ショッピング・ツアー』(2012)とか『ボーダー 二つの世界』(2018)とかは気味が悪くて、面白かったけれど決して好きだったわけではないですね。
ネタバレ全開で行きます。
エルヴィラとアルマ姉妹の母親レベッカが、アグネスの父親オットーと再婚。エルヴィラとアルマとアグネスは義姉妹となる。立派なお屋敷に引っ越すことができて喜びを隠せないエルヴィラ。しかも窓を開ければ遠くに見えるのは、憧れのユリアン王子が暮らす城。ユリアンが書いた詩集を肌身離さず携えているエルヴィラは、王子と結婚したいと本気で思っている。
挙式の後、新しく家族となった面々は食卓に着いていたが、オットーが突然吐血して急死。そのとき、富裕だと思っていたオットーが実は一文無しで、レベッカの資産目当てで再婚したことがわかる。屋敷も何もかも差し押さえられ、必要な金を支払えばレベッカにももう幾らも残らない。生活を維持するためには何が何でもエルヴィラを王子のもとへ嫁がせねば。
馬番のイサクと恋愛関係にあったアグネスが馬小屋で情事に及んでいたところを目撃したエルヴィラがレベッカにそれを告げ口した結果、イサクは追い出され、アグネスは汚らわしい娘と罵られる。今までは女主人然としていたところ、レベッカとエルヴィラから“シンデレラ”と呼ばれ、使用人扱いされるようになったアグネス。
アグネスが美人であるのに対し、エルヴィラは小太りのブス。王子と結婚させるために美しく変身させようと、レベッカは美容整形の医者を呼んでエルヴィラの鼻筋を変える。また、レベッカから賄賂を受け取った淑女学校の教師は、エルヴィラにサナダムシの卵を渡し、これを飲めば腹の中に入るものをサナダムシがすべて食い尽くしてくれるから太らないと言う。アルマが止めるのも聞かず、サナダムシの卵を飲み込んだエルヴィラは本当に痩せ、美しく生まれ変わるのだが……。
シンデレラをモチーフにした作品にはB級ホラーの『シン・デレラ』(2024)もあります。本作はどちらかといえばそっち寄りで、めちゃめちゃおぞましいけれど、困ったことに面白い。
エルヴィラの鼻筋を通すために鑿(のみ)を打ち込むところがまず最初のえげつないシーン。サナダムシの卵を飲み込むシーンにもオエーッ。極めつきはシンデレラの靴を履けるようにエルヴィラが自分の足の指を切るシーン。しかも彼女が反対の足の指を切ってしまったのを見て、レベッカは逆の足の指も切り落とします。もうこんなの直視できません(笑)。まともなのはアルマだけで、動けなくなったエルヴィラを連れて、レベッカのもとからアルマが逃げ出すラストシーンには救いがあります。
凄い監督が出てきたものです。ヨルゴス・ランティモス監督のような路線に進みそうな。怖いもの見たさでついつい観たくなる手合い。ルッキズムを扱った作品として『サブスタンス』(2024)と双璧を成すと評されたそうですが、本当にそう。どちらも二度は観たくない。
サナダムシ、どんだけ育っとってん! 気持ち悪すぎて笑いました。
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