『ひとつの机、ふたつの制服』(原題:夜校女生)
監督:ジュアン・ジンシェン
出演:チェン・イェンフェイ,シャン・ジエルー,チウ・イータイ,ジー・チン,ホアン・ジーリン,ジェン・ジーウェイ,トゥー・シャンツン他
休日出勤の代休を取った日、晩の飲み会前にテアトル梅田にて、2本ハシゴの1本目。
1990年代後半を舞台にした台湾作品です。香港や台湾の作品ではしばしば取り上げられる統一試験。学歴がすべての世の中だから、良い大学へ入るためにはまずは良い高校に入らなければなりません。富裕家庭ではもちろんのこと、貧困家庭ではなおさらのこと子どもが、ひいては親が良い生活を送れるように、我が子を良い高校に入れて良い大学に進めるようにすべてを賭けると言っても過言ではありません。ほかの国でもそんな感じなのですかね。
1997年の台北。父親が急逝したのち生活が困窮するなかで、長女・小愛(シャオアイ)(チェン・イェンフェイ)と次女・咪宝(ミーバオ)(リン・ユーウェン)をひとりで育ててきた母親(ジー・チン)。小愛には何が何でも良い大学に入学してもらわなければと名門の第一女子高校を受験させるが、小愛は全日制に不合格、夜間部になんとか合格する。夜間部なんて格好悪いと小愛は拒否するも、ほかに通う場がないのだから致し方ない。入学式では「全日制も夜間部も関係ない、同じ第一女子高校」と校長が言う。制服は確かに同じだが、ネーム刺繍の色が違う。同じというならなぜ色を変える必要があるのかと文句を垂れる小愛と新しい級友たち。
こうして始まった高校生活。全日制と夜間部は同じ教室を使い、同じ机を使う生徒同士を「机友(きゆう)」と呼ぶらしい。授業を受ける時間がずれているからお互い顔を合わせることはめったにないが、机の中に手紙を入れるなどして机友と関係を築くことはできる。小愛の登校時にたまたままだ教室にいた机友・敏敏(ミンミン)(シャン・ジエルー)と言葉を交わすと、敏敏はサバサバとしたと美人女子で成績も学年3番以内の秀才。敏敏にすぐに憧憬の念を抱く小愛。毎日手紙をやりとりするようになったふたりは学校外でも会うように。
そのころ小愛が想いを寄せていたのは、バイト先の卓球場にやってくる路克(ルー・クー)(チウ・イータイ)。ところが、敏敏から気になる男子がいると言われて連れて行かれた先には路克がいた。自分も路克が好きだということを敏敏に言えず、自分が夜間部の生徒であるということを路克に言えずに高校生活が進んでゆき……。
すごく好きな話かもしれないという予感が最初はありましたが、わりと月並みな展開。小愛は劣等感に苛まれつづけながら、それでも彼と会う時間が楽しくて、本当のことが言えません。路克のほうも小愛のことが好きで、それに気づいた敏敏が途端に嫌な女子になってしまいます。何もかも暴露されて傷心の小愛が描かれる辺りまでは、うーむ、こんなもんかと思っていました。しかし、敏敏に当てた小愛の手紙が読まれる辺からやっぱり好きだなと思いはじめます。敏敏を欺き、路克に嘘をつき、自分にも嘘をついていたと言う小愛。ここから勉強に没頭する彼女は人が変わったよう。
台湾地震を経る年代に設定したのもよかったと思います。ギデンズ・コー監督絶賛に偽りなし。
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