『てっぺんの向こうにあなたがいる』
監督:阪本順治
出演:吉永小百合,のん,木村文乃,若葉竜也,工藤阿須加,茅島みずき,和田光沙,円井わん,安藤輪子,中井千聖,長内映里香,三浦誠己,金井勇太,カトウシンスケ,森優作,濱田マリ,浅見小四郎,天海祐希,佐藤浩市他
文化の日。三連休最後の日はおとなしくしていようと思いましたが、同窓会があったせいで老健に入所中の父に面会していないし、行っておこうかと家を出発。そうしたら当然映画も観て帰ろうということになるわけで。109シネマズ箕面にて2本ハシゴの1本目。
女性として世界で初めてエベレスト登頂に成功した登山家・田部井淳子の人生を阪本順治監督が映画化。「実話を基にしたフィクションです」とのテロップが出ます。ゆえに登場人物の名前も微妙に変更されています。
女性登山家・多部純子(のん)は夫・正明(工藤阿須加)にまだ幼い娘と家庭のことを任せ、女性ばかりの登山隊を組んで隊長としてエベレストへ向かう。新聞社から取材に訪れていた北山悦子(茅島みずき)もせめてベースキャンプまでは行ってみたいと同行。途中、雪崩に見舞われたり、シェルパが下山してしまったりして多難を極め、酸素ボンベの残量から考えると登頂を目指せるのは誰かひとりだけ。純子か岩田広江(円井わん)のどちらが果たすかということになり、結局、純子が登頂する。
帰国後、純子はマスコミの取材攻勢に遭い、自分ひとりで成し遂げたことではないと強調するも、世間の注目は純子のみに向いたことから、それを快く思わない仲間たちと決裂する。唯一、純子と交流が続いたのは悦子のみ。
月日が経ち、体調に少々異変を感じた純子(吉永小百合)は、正明(佐藤浩市)に付き添われて病院へ。検査の結果はステージ3の癌で、余命3カ月を告知されるが、純子は自分が3カ月で死ぬわけがないと断言。告知の直後には悦子(天海祐希)を誘って山へ。以後も何年もの間、山に登り続けながら生きて……。
良い話には違いないのですが、吉永小百合の主演作品ではついつい辛口になる私を許してください、サユリストの皆さん。そもそも彼女が何歳の設定なのかがわからなくて戸惑うのです。実年齢は80歳ですよね。夫役の佐藤浩市は64歳。確かに彼女はいつになっても美しいし、80歳には見えないけれど、青年期役ののんは32歳で工藤阿須加は34歳。これがまったく違和感なしなのに対し、80歳だと誰もが知っている吉永小百合がつまり佐藤浩市とほぼ変わらぬ年齢の女性を演じているのだと思うと「うーむ」となってしまうのです。なにしろ阪本監督は『北のカナリアたち』(2012)で彼女の恋の相手に仲村トオルを起用していますし、とことん「吉永小百合は若い」なのでしょう。滝田洋二郎監督は『北の桜守』(2017)で吉永小百合に30代ぐらいの役を演じさせていましたし、ホンマにどないなっとるねん、60代の男性監督たち。みんな吉永小百合教徒としか思えません。(^^;
純子の娘役の木村文乃、息子役の若葉竜也、よかったです。あと、最近とにかく脇役でよく見かける和田光沙が気になります。あ、息子の転校先の高校教師を演じたカトウシンスケと悦子の上司を演じた三浦誠己もあいかわらず味がありますね。そしてこれが「盛った話」ではないのであれば、田部井淳子の夫は凄い。献身的とはまさにこのこと。
個人的には吉永小百合のせいでなかなか素直に観られない部分がありますが、万人受けする作品だと思います。
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