『この本を盗む者は』
監督:福岡大生
声の出演:片岡凜,田牧そら,東山奈央,諏訪部順一,伊藤静,土屋神葉,千葉繁,鈴木崚汰,上田麗奈,関智一,高橋李依,大地葉,小市眞琴,花守ゆみり,上田瞳,石見舞菜香,福山潤,朴路美他
イオンシネマ茨木にて。
前知識なしで観に行きました。予告編を観たときに「読書嫌いの女子が呪いを解くために本を読まざるを得ない状況に陥る物語」程度の認識を持ち、TVアニメ版でもあるのだろうと思い込んでいました。そうしたら原作は『戦場のコックたち』がとても面白かった深緑野分の小説なのだそうで。本屋大賞ノミネート作品とのこと。
書物の街・読長町に暮らす女子高生・御倉深冬。曾祖父が創立した巨大書庫“御倉館”を管理する一族の娘でありながら、大の読書嫌い。ある日、御倉館の本が盗まれ、本にかけられた呪い“ブックカース”が発動。すると読長町全体が物語の世界に飲み込まれてしまう。呪いを解いて町を元に戻すためには、本泥棒を見つけて本を取り返さなければならない。深冬の前に現れた謎の犬耳少女・真白の協力を得て、深冬は物語の世界へと飛び込むのだが……。
本に呪いをかけたのは深冬の祖母。本をこよなく愛する祖母は、稀覯本200冊が盗まれたのをきっかけに、御倉館の本に触れる者すら激しく憎むようになります。呪いは一律ではなく多様。たとえばある本を盗もうとすると、「この本を盗む者はゆで玉子になる」みたいな感じで、動物になったり銅像になったり、とにかく人間の姿から変身させられてしまいます。深冬が本を取り返せば、町はいったん元に戻るけれど、本泥棒はひとりとは限りません。年間どれほどの本が書店から万引きされているかを聞けば、そりゃ犯人はひとりやふたりじゃないでしょう。深冬は次から次へと新たな物語の世界に引き込まれてしまいます。
果たして祖母の本に対する執着は正しいか。本を並べて自己満足に浸っているだけで、読書の楽しみを誰かと共有するつもりはない。書庫に1冊分の隙もなく本を並べるのが至福だなんて、こんな環境で育ったらそりゃ本を読むのは嫌になる。なのに呪いを解くために取り返した本を読んでみた深冬が「え~っ、このオチはないだろう」などと叫ぶシーンが可笑しかったです。物語の中では自分の身近な人たちが登場人物になっていて、役を演じているのも楽しいなぁ。
本はできるだけ綺麗な状態に保ちたいほうです。だから、本を手荒に扱うのはどうかと思うけれど、書庫から抜き出すことすら許されない本なんて、本の意味がないですよね。紙の本を読む人が激減した今、書店も本を売るだけでは商売が成り立たなくなっています。こんなふうにみんなが本を読みたいと思い、読むようになったならばいいのですけれど。
目次
