『おくびょう鳥が歌うほうへ』(原題:The Outrun)
監督:ノラ・フィングシャイト
出演:シアーシャ・ローナン,パーパ・エッシードゥ,ナビル・エルーアハビ,イズカ・ホイル,ローレン・ライル,サスキア・リーヴス,スティーヴン・ディレイン他
凄く観たいのにタイミングを逃しそうだと思っていたところ、塚口サンサン劇場で17:40から上映の回がある。時間休を取って父に面会後に向かえばなんとか間に合いそうだと車を走らせました。間に合った。
スコットランドのオークニー諸島出身の作家エイミー・リプトロットのベストセラー回想録を映画化したイギリス/ドイツ作品。主演は『ブルックリン』(2015)、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)のシアーシャ・ローナンで、自らプロデュースも務めています。
生物学の修士を取得していながらそれを生かすことができずにロンドンで荒んだ生活を送る女性ロナ。アルコール依存症に陥り、酒を飲んだときの彼女には誰も手をつけられない。恋人のデイニンは我慢強くそんな彼女と接していたものの、飲酒しては暴言と暴力で人を傷つけるロナにこれ以上つきあっていられないと別れを告げる。デイニンに戻ってきてほしくて断酒会に参加するが、いつも途中で挫折。酔っぱらってついて行った男から暴行を受け、命の危険まで感じたロナは今度こそ断酒すると決め、故郷のスコットランド・オークニー諸島に戻るのだが……。
実家は農場。しかし、両親がここで農場を営んでいるのは、ロナがまだ幼い頃に双極性障害を発症した父親が町を追い出されたから。精神病に罹ると追い出されて島送りにされてしまうんですね。躁状態のときはとても良い父親だけど、鬱状態に陥れば人ではなくなったかのようにじっとしているだけ。幼いロナを抱えて夫をあてにできない母親は信仰に走る。成長したロナが酒に走るのも無理はないかもしれないと同情の念が湧きます。
故郷へ帰っても猛烈に酒を飲みたくなるときがある。どうにかその思いと向き合って、孤島パパイ島で絶滅種の鳥ウズラクイナ(臆病ゆえめったに姿を見せない鳥)の調査チームに加わることにしたロナ。ただ島を回って鳥の鳴き声が聞こえないかチェックするだけの日々を送りますが、人のことを詮索はしないけど温かく接してくれる管理人や断酒経験者である老人の存在がよかった。アザラシすらも温かい。
結局鳥には会えずじまいと思ったときのラスト。ロナの声にニヤリとしてしまう。このラストシーンで何もかもが報われた気持ちになります。
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